ChuSingura46+1-忠臣蔵46+1-の感想・レビュー

歴史登場人物女体化モノ。赤穂浪士を引き連れて忠臣蔵を行う。
主人公は剣道で幼なじみに怪我をさせたことによりトラウマを抱える浅野家末裔の深海直刃。
元禄時代にタイムスリップし、赤穂浪士の武士道に触れることで、おのれを成長させていく。
過去をループさせることで、様々な登場人物たちをクローズアップ。
物語を読み進めることにより、歴史の変革に挑んでいく!!
面白いのですが、さすがに5回も忠臣蔵するのは少しだれます。

1周目;大石内蔵助ルート(普通に忠臣蔵)

主人公くんが赤穂浪士の一員となって普通に忠臣蔵をします。1周目は元禄時代にタイムスリップしたことによる現代との相違の描写があり、面白く読めます。プレイヤーに忠臣蔵ってこんな話なんだぜ!!という筋書きを提示するのが1周目の機能となっており、新鮮な気分で大石内蔵助と一緒に討ち入りライフを送れます。昼行灯と言われながらも筆頭家老としての重責に悩む内蔵助を支えてあげればフラグは成立さ。主人公くんは剣道場の息子でかつては実力者だったものの幼なじみの女の子に怪我を負わせてしまったことにより剣を握れなかったのでした。ですが、その主人公くんが武士道や命のやりとりに際して、再び剣を握ることが出来るようになる描写はぐっときます。そして台所役の下級武士がはぶんちょされているところで忠義に上下は無い!!と唱える所も格好良く演出されています。1周目の討ち入りは本当に熱くなれ吉良を倒すところでは引き込まれましたとも。・・・で、本作では吉良上野介は呪いにかかっており、主人公くんは現代に帰れるかと思いきやループをしてしまい、浅野内匠頭処刑前まで戻されてしまうのでした。

2周目;堀部安兵衛ルート(主人公が歴史を変革しようとして失敗)

2周目ループは記憶リセットされず、過去を保持したまま忠臣蔵に挑戦。主人公くんは再び内蔵助に仕えようとしますが、過去を知るが故の発言が怪しまれてしまうことになります。そして内蔵助には仕えず、江戸に行き堀部安兵衛の元で生活していきます。主人公くんは荻生徂徠を脅して徳川綱吉側用人である柳沢吉保に干渉しますが、逆に踊らされてしまいます。2周目の醍醐味は元禄時代の江戸文化を疑似体験できることでしょう。長屋暮らしや庶民生活、旗本の困窮や参勤交代事情などが楽しめます。そして主人公くんは堀部安兵衛の熱い忠義に触発され剣術修行に邁進していきます。ですが結局は過去は変革できません。歴史の大きな流れに翻弄され、主人公くんがアクションを起こしたことにより、史実で脱盟することになっている人物達が次々と死んでいきます。さらに堀部安兵衛が呪いをかけられ吉良側に廻ってさぁ大変。討ち入りの際、主人公くんは安兵衛と対戦し、正気に戻らせることに成功しますが、またもやタイムリープし、最初からに戻されてしまいます。

3周目;大石主税ルート(ループする現状に絶望した主人公をヒロインが支える)

3周目、主人公くんは歴史に翻弄されることを諦め、傍観者に徹します。ですがほんの気まぐれで大石主税が野犬に襲われているところを助けたため、許嫁とされてしまうのです。主人公くんに懐き、好感度MAXな主税に対して、主人公くんは素っ気なく接し、まさにドSプレイ。主人公くんが関わったせいでまたもや赤穂の家臣が死んでしまうとついに主人公くんは精神崩壊!!納屋にぶち込まれ発狂しながら悶え苦しみます。そんな主人公くんを救ってくれるのがこの大石主税なわけです。主人公くんの心の痛みを分かち合うために、主人公くんと同じように自分にも猿ぐつわを嵌め両手両足を縛られるプレイで失禁するまで付き合います。そんな主税を垣間見た主人公くんは徐々に心を解放していくのでした。そこへ訪れるのが近衛家との縁談問題。結婚式が開かれ主税が寝取られてしまう!!というところで主人公くんはようやく主税への想いに気付き、略奪愛を結構するのでした。まぁ、全部猿芝居で大石内蔵助が仕組んだものでしたが・・・。そして主税に未来から来たことを打ち明けて、元の時間軸に戻ろうと画策します。荻生徂徠の呪いを打ち破り、現世へ戻るのでした。現世へ戻った後、主人公くんが赤穂を訪れて、300年の時を経て、主税との想い出に触れるという伏線回収はグッときます。

4周目;清水一学ルート(吉良家の末裔が忠臣蔵を改竄しようとして失敗)

世間では4周目の評価がイマイチなのですが、私は4周目大好きだぜ。4周目は吉良上野介の末裔が、現代における吉良家への風評被害を何とかしようと歴史改変に乗り出します。赤穂浪士明治維新後の近代、その忠節の精神を国家がプロパガンダとして利用したものであり、曲解されていると主張します。まぁ、歴史というものは解釈であり、時代や政権によって歴史叙述は変わるものですからねー。主人公くんも吉良家の末裔に対し、吉良家の名誉を回復するためには論文書いて学会に発表しろよと主張します。ですが吉良家の末裔さんは歴史そのものを変えなくては!!と息巻き元禄時代に再びタイムスリップ。上杉家や柳沢保良に掛け合い歴史改編をねらいますが歴史という大きな流れは結局のところ変えることはできません。絶望する吉良家の末裔。そして一方で主人公くんは赤穂浪士の負の側面を目の当たりにします。脱盟していった浪士たちや貧困に喘ぐ下級武士に接していくのですが、特に橋本平左衛門のエピソードが取り上げられています。吉良討伐を先走った結果、怪我を負い、アル中になり、妹を吉原に売り払い、無理心中を遂げるという転落っぷり。これは平左衛門だけというわけでなく、誰もがなりうる姿として提示されているのです。で、吉良家末裔はこの事件を契機に歴史変革の儚さを悟り、主人公くんと共闘して、黒幕を打ち破ろうとお互いを串刺しにし、5回目のループを決めたのでした。

5周目;矢頭右衛門七ルート(赤穂浪士たち死なないで日本を防衛する)

5周目はトンでも展開に突入。浅野家2代目には傍流がいたという設定。不遇な扱いをされた意趣返しに元禄大地震で日本滅亡させちゃうぞ☆という流れになります。また右衛門七と接する中で、主人公くんの過去が深く掘り下げられます。右衛門七は当初ウザキャラのように描写されており、剣の修行もろくすっぽしません。この右衛門七が人を殺す強さを身につけていくのが大筋の流れなのですが、可愛がっていた犬を殺害することで生命のやりとりを克服していきます。この右衛門七に対して、主人公くんが怪我をさせてしまった幼なじみが重ねられていきます。主人公くんのお家は剣道場を営んでおり、幼少期から竹刀を握ってきた主人公くんは大会でも優勝を重ねる実力。ですが己の力量に慢心しているところもありました。ある日、格下だと思い適当にあしらってきた幼なじみと乱取りをしたら、意外に追い込まれてしまい、ついムキになってフルボッコにしてしまったのです。こうして幼なじみを意識障害にしたことでトラウマ持ちとなった主人公くんですが、右衛門七との稽古で気絶させてしまった時にこのエピソードが蘇り苦悩したりします。こうした伏線回収を眺めながらも最終決戦へと突入。なんと!あっさり綱吉や柳沢は懐柔されており、討ち入りはフェイクで元禄大地震まで赤穂浪士たちを現代に潜伏させます。そして元禄大地震前夜、ラスボスである浅野の傍流に向かい合います。まぁ結構演出は頑張ってるみたいですが、消化試合チックなノリは否めません。実は主人公くんも浅野家の傍流の末裔であったことも判明し、浅野家傍流対決で見事ラスボスを討ち果たし、めでたしめでたし。赤穂浪士一行は、赤穂にほど近い小島が与えられ、史実に逆らわずひっそりと暮らしたのでしたとハッピーエンド。