12の月のイヴ 「由紀√グランドエンド」の感想・レビュー

父親と不和であった不治の病のタイムリープ少女を救済するはなし。
作品のテーマとなっているのが「父子相姦と無限ループ」。
愛する女を治すためにお医者さんになるよ!!と書くとありふれた展開。
無限ループに入った際の絶望感とかよく描けていたかと。
主人公くんの決意がループ脱出をさせる所とか和解のシーンが見せ場。

由紀ルート概要


  • 父子相姦と無限ループ
    • 未来世界で不治の遺伝病に毒された由紀は時間跳躍をして過去の世界へやってきます。そこは自分の父親(=主人公くん)が学生時代の時間軸でした。由紀は父親と不和であったので、父親が学生時代どんな人格だったのか興味がありました。由紀は父親である主人公くんと接していくうちに惚れ込んでいきます。そしてついに二人はLet'背徳!夜伽を交わして子作りに励むのでした。ですが二人には「不治の病」問題が横たわっています。次第に病が進行して衰弱していく由紀の姿を見せつけられ、主人公くんは次第に疲弊していきます。ここではホスピスを持つ家族の苦悩がとてもよく描けており思わずグッとくる所でしたね。死ぬ、死ぬと宣告され続けながら生き続け、「死ななくて良かったという安堵」と「まだ死なないのかという焦燥」が心を蝕みます。そして由紀は女の子を出産し、同名である「由希」と名付けるのでした。そしてとうとう主人公くんと娘の由希を残して由紀は死ぬのでした。死因は遺伝病。と、なると娘も遺伝病であることが濃厚でその不安は的中していしまいます。つまり、由紀=由希であり、遺伝病が発病すると過去へと跳躍して父親の学生時代と結ばれ、そして自分を産み死んでいくという「無限ループ」を繰り返していたのです。


  • 父親との和解
    • 無限ループのからくりに気づいた主人公くんは絶望感に打ちひしがれます。自分にはどうすることもできない無力感と娘が遺伝病に毒されるという懊悩が主人公くんを次第に無気力モードにさせていきます。そうです、こうして父親と不和になった由紀という現象が再現されたのでした。あれ程、自分は娘をぞんざいに扱わないと誓っていたのに現実なんてこんなものよと娘との関係は疎遠になるばかり。そして、恐れていたクリスマスイヴ、つまりは遺伝病が発病して過去跳躍する時間がやってきたのです。ここで主人公くんの脳裏には死んでいったはずである由紀の姿がちらつきます。何十回、何百回と繰り返してきた過去の自分たちが責め立てます!主人公くんは一念発起!!タイムリープ寸前に娘の前に駆けつけます。そして心情吐露と謝罪タイム。無限ループのからくりによる絶望を懺悔し、それを娘から許されたのです。こうして娘に救済された主人公くんはタイムリープの力を手に入れ過去へと跳躍し、未来を変えに行きます!!


  • お医者さんになるよ
    • 過去跳躍した主人公くんは無限連鎖を断ち切るため、由紀と子作りをすることを拒否します。そして一緒の時間軸を生きて娘を作るのではなく“未来で待ってる”と由紀は消えていきます。デモムービーの冒頭の部分ですなぁ、思わず感慨もひとしおです。ここから主人公くんは由紀の病を治すためにお医者さんになろうと決意し、研究医への道をまっしぐら。「タイムリープ」・「医学研究」・「親との和解」と三拍子揃うとatledという作品がかつてあってだなぁとか思わなくもありませんね。主人公くんの研究は一筋縄ではいかず、時としては絶望ばかりでした。しかし、絶望のために由紀の笑顔を思い出した主人公くんは何度でも立ち上がります。そして単純なことに気づきました。由紀はもう自分の娘として生まれてないから遺伝病ではないのではないかと。それを言ったら自分が自分を出産していたのに、無限ループを断ち切ったらその存在は消滅してしまうのではないかい?と疑問を呈せざるを得ませんが、記憶は保持したまま別の両親から生まれたということになってました。なんというご都合主義。最終的に主人公くんの研究も成功し、由紀の病も治療され、再び二人は巡り会ってハッピーエンドを迎えます。年の差カップル誕生です!!でもそう考えると主人公くん一度タイムリープしてるからすごい精神年齢になりそうだ。