雑録

罪ノ光ランデヴー「真澄あい」シナリオの感想・レビュー

悲劇に酔うことでしか自我の均衡が保てず現実から目を背けようとするメンヘラを救済するはなし。
体験版まではとても面白く、罪というテーマや絵本というモチーフ、ヒロインのキャラクター造詣も好ましいものである。
しかし製品版はシナリオがブツ切りで各場面を無理やり繋ぎ合わせた感じが非常に強い。
またヒロインに心情変化をもたらすイベント発生が唐突すぎであり、もう少し丁寧に描けなかったものかと。
いきなり学生寮が燃えてヒロインと復縁とか、これまで描いた主人公くんの精神的成長はなんだったの?
最後も「キミが罪でしか繋がれないとかいうなら俺は村に放火して罪を背負うから」(演技)→ヒロイン「ヤメテー」。
商業的には小奇麗にまとまっています。だが練られた思想に基づくテーマ性はほとんど感じられない。

真澄あいシナリオ(製品版)概要


  • 折角主人公くんの精神的成長を描いていたのに学生寮バーニングで復縁とか台無しだぜ!
    • 真澄あいは主人公くんの幼馴染なのですが一向に名前を覚えてもらえませんでした。その衝撃はあいにとって計り知れないものであり、その存在を刻み込むために、「罪」という悲劇に走ることになっていきます。過去における孤児院放火事件の犯人は自分であると虚言を吐き、主人公くんに対して「無実の女の子を犯罪扱いしてしまったという罪」を植え付けていきます。罪悪感を舐め合おうとすることでフラグ構築を図ろうとするあいを主人公くんは退廃的であると一刀両断。あいの後ろめたい感情を受け入れることはありませんでした。主人公くんに拒絶されたあいはツンツン状態となりますが、主人公くんはあいへの想いを捨てたわけではありませんでした。復縁を試みようとする主人公くんでしたが、周囲の助言もあり、自分の独りよがりに気づいていきます。想いが報われようが報われまいが、自分の隣にヒロインがいなくても、その幸せを願ってあげるのが愛なのだと気が付くのです。こうして主人公くんは真澄あいをモデルにした絵の修復を試み、あいの幸せを表現しようとするのです。ここまでは主人公くんの精神的成長が描かれており、好意的に読めます。しかしここから展開がすっごく大雑把だと感じられるのです。なんとイキナリ理由も説明も因果関係もなく、ヒロインを主人公くんと復縁させるという装置のためだけに、シナリオライター学生寮を火事で燃やしちゃったよ☆→ヒロインがトラウマを発動しファビョったところを主人公くんが支えてフラグ再構築(分かりやすいチャート方式)。



  • あいちゃんは悲劇に酔ってるだけなので現実に目を向けさせましょうね。
    • ファビョったヒロインを無条件肯定して復縁した主人公くん。しかしここで第二の問題となるのが、過去における孤児院放火事件の真相でした。あいが犯人じゃないのなら真犯人は誰なのでしょうか。主人公くんはこれまで目を背けてきましたが、現実を受け入れる覚悟をします。真相は主人公くんの父親の自殺によるものでした。主人公くんの父親は過疎化する村のための産業復興として、孤児院の誘致による人口増加を目指すモデルケースを試み、融資を得ることに成功しました。しかし村民はヨソモノかつ両親がいない孤児たちを白眼視し村に溶け込ませようとはせず、経済的支援も打ち切られてしまうのです。主人公くんの父親は頑張って家族でやり直そうという選択はしませんでした。それこそ「罪による記憶の継承」という手段をとり、孤児院を放火し自殺することで村人に罪悪感を植え付けたのでした。
    • 主人公くんの父親自殺事件の真相を知ったあいちゃんは、自分の考えと主人公くんの父親の行動に共通点を見出し、再び悲劇に酔っていくのです。そんなあいちゃんを変えるのは並大抵ではありませんね。シナリオライターは主人公くんにどのような行動をとらせるのでしょうか?ドキドキ・ワクワクだぜ!と思っておりましたら・・・。なんと主人公くんが村に放火しちゃうぞ☆とか言い出し、あいちゃんを試すのです。メンヘラなお前がそんなに罪とか罰とかを求めるなら、俺はお前の幸せのために、村を放火して記憶に刻んじゃうよーン、ほらほら燃えちゃうよーン(演技臭丸出し)。メインヒロイン「ヤメテー、ワタシガマチガッテイタワー」。こうして、悲劇に酔いたい症候群から目覚めた少女は現実を見ることができましたとさ、めでたしめでたし。なんかあいが転向するのもあっけなさすぎだし、主人公くんがとった手段も陳腐っぽく感じるのですが、他のプレイヤの皆様はどのように感じられたでしょうかね?

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