罪ノ光ランデヴー「椿風花」シナリオの感想・レビュー

インセストタブーでセカイ系エンド。同メーカー作品夏ペルのイモウト√の焼き直し。同工異曲。
手垢にまみれた粗製乱造の物語消費であるが、強いて独自性を挙げれば封建的な閉鎖性が強いこと。
主人公くんが村の地主の子弟であり土地と人民に束縛されているからこその解放性がある。
しかし主人公くんが束縛を断ち切るイベントがすごく雑であり、残念な感じ。
束縛と苦悩→唐突に崩落事故で風花危機→輸血問題で血縁バレ→村八分→村(=セカイ)を捨て女を選択。
物語構造的にも真澄あいを救うための部品的な要素が強く、キャラ自体の魅力も薄いように思われます。
このメーカーはインセストタブーのセカイ系に何か強いコダワリがあるのかしらん?

椿風花シナリオのキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 実姉ではないと見せかけて本当に実姉でしたとさ
    • 主人公くんのトラウマの一つに母と姉に捨てられたという事件がありました。しかし母が姉を連れて出て行った真相は、父親死亡の原因を祖母が母親に転嫁して圧力をかけ追い出したからでした。主人公くんは、本当の意味で捨てられたのではないことを、よく分かっていたのです。しかし祖母が死に、天涯孤独の身になると、家族が恋しくなるというもの。そこへ現れたのが椿風花であり、体験版では姉である雰囲気をプンプンと纏わせています。風花の役割は主人公くんの癒し役であり、真澄あいさん問題により心にぽっかりと穴が開いてしまった主人公くんを慰めていきます。こうして好感度が蓄積されていき、そのうち風花が実姉であるのではないかと主人公くんも思い始めるのです。当初風花は、主人公くんの姉ではなく、姉を間接的に交通事故で死なせてしまった犯人であると身分を偽ります。まぁ実際は本当に姉なのですがね。弟ラブであった栞姉さんは別離した弟の動向が気になり身分を偽って村に来たものの、久々に会った主人公くんは傷心ブレイクハートに陥ってしまったというわけさ。弟を助けたいという姉の想いが恋心に変化するのは時間の問題であり、フラグが形成されます。



  • 封建的な束縛とセカイ系による解放
    • 主人公くんは風花と結ばれ、その後実姉であることも知ります。家族愛に焦がれる主人公くんに対し、風花は肉欲を求めたため、インセストタブー(近親相姦の禁忌)に主人公くんは苦悩していくことになります。主人公くんは封建的なムラ社会で育ったため、異分子排除に敏感であり、先祖伝来の土地と人民をも軽々しく手放せなかったのです。こうした主人公くんの煩悶を一挙に解決させるのが、トートツに落盤崩壊事件。巻き込まれた風花は特殊な血液型であり、使えるのは弟である主人公くんの血だけだったのです。風花はあっけなく回復するのですが、輸血した際に風花と主人公くんは実の姉弟であることがばれてしまったのでした。当然狭い田舎では瞬く間に噂が広まり、主人公くんは村八分にされかけてしまうのです。ここでは「ヨソモノ」である風花が主人公くんを誑かしたことになっており、ムラ社会は風花を捨てて共同体に戻ることを主人公くんに要求するのです。ムラを出たことのない主人公くんにとってはムラの生活が世界の全て。つまりは、セカイを選ぶか、女を選ぶかの選択を迫られるのですね。はいはいセカイ系展開。愛する女のためだったらセカイなんてクソくらえです。こうして主人公くんはムラを捨て去り、姉との幸せを選び取ったのでした。

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