南十字星恋歌 香乃梨グランドエンドの感想・レビュー

南十字星恋歌の香乃梨シナリオは「反逆のカノリ姫」というおはなし。
母との絆を切り裂かれ、権謀術数うずまく宮廷の中で精神を削られた香乃梨は復讐の念を抱く。
グローバル資本主義の中、輸出指向型工業を展開し、雇用を生み出しインフラ整備を行っていく。
民族資本家を成長させ原住民を教化し、白人支配の国家システムを経済によって崩壊させろ!
しかし!シナリオの展開と構成が雑で最後の裏王戦もすごく適当に終わってしまった・・・

グランドエンド概要


  • 香乃梨クーデタ
    • インベルン公国は複雑な国家の成り立ちをしています。それは「公国」の中に「国王」と「公爵」が存在していることでした。ヨーロッパ本国は既に滅亡し、植民地であった「公国」の統治権を公爵が国王に貸与する形で国家体制が成り立っているとの設定です。王位継承者が断絶した場合に限り、貸与された統治権が返却されるという契約が交わされています。現国王は王位継承者の断絶の危機に対し、亡き息子の落胤であった混血の香乃梨を祭り上げたのでした。ここから香乃梨の苦難は始まります。一種の策謀で日本から連行された香乃梨は、帰国することも叶わず、母と切り離され、人種差別に晒されながら生きることを強要されました。表面上は香乃梨に媚び諂う一方で、裏では雑種と見下し蔑みの目が向けられる宮廷生活の日々。香乃梨の心は次第に摩滅していきます。こうして香乃梨は怒りと怨恨を滾らせて、復讐に身を焦がしていくことになります。香乃梨の願いは「現国王による香乃梨母への謝罪」であり、それを成し遂げるために「国家体制の転覆をはかる」ことになります。経済特区を設けて先進国の資本を導入しながら原住民の雇用創出を実現しインフラを整えていきます。こうして民族資本家を成長させ社会の下部構造を膨張させることにより王政を倒す絶対主義革命を進めていくのでした。しかしながらここで問題発生。公爵が突如として国王に挑戦し、公国の統治権を取り戻すべく襲いかかってきます。


  • 香乃梨立憲君主制へ移行
    • はい、ここでトンでも設定SF展開はいりまーす。公爵と香乃梨は公国の秘宝をめぐって争っているのですが、その秘宝とは不老不死の公国の始祖さまでした。現段階の文明ではオーバーテクノロジーを誇り、遺伝子操作やクローン技術に長けています。日本が公国を支援しているのも、この始祖さまの力を欲していたからでした。封印が解かれた始祖さまと香乃梨は対峙し、その場面へご都合主義展開で主人公くんもやってきます。そして主人公くんの出生の秘密が明らかに。主人公くんは始祖さまが愛した男のクローンであったことが判明し、始祖さまは主人公くんにアプローチをしかけてきます。反発する香乃梨は始祖さまの力などいらないと主張するのですが、それは始祖さまの力を担保に債務超過にある公国の財政を再建しなければならないことを意味していました。始祖さまに拘束された主人公くんと分かれた香乃梨は、必ずや公国を改革して戻ってくると誓います。・・・そしてここからの展開がものすごく雑。香乃梨が革命を行う様子はモノローグで飛ばされ、債務が処理され立憲君主制の国家と生まれ変わります。ヒロインズの力で主人公くんを解放する描写も数クリックで終了。すると始祖さまはいきなり飽きた、寝るとか言い出して、主人公くんは拘束を解かれたのでした・・・。雑すぎではないでしょうか?