雑録

フローラル・フローラブ体験版の感想・レビュー

キリスト教系富裕階層学園における異能護衛活劇モノ。
安易にデレない陰のある主人公の人物像を、救済されたヒロインたちが支えていく、バリバリの「少女救済」。
キリスト教や聖書などの世界史ネタや租税回避地や宗教原理主義などの時事問題などが上手く題材に取り入れられている。
メインヒロイン最強伝説であり主人公くんへの絶対的信頼とそれに対する主人公くんの守護天使ぶりがステキ。
体験版は王女ヒロイン問題が中心となり、王党派による国王崇拝と皇位継承問題の解決が扱われる。

雑感

  • 異能護衛活劇
    • 主人公くんは虐待を受けた孤児。救貧院において出資者である資産家の娘(メインヒロイン)と出会います。主人公くんは母親に犬畜生のように扱われながらも母親を犬のように盲信していたのですが、そんな呪縛から解放してくれたのが、メインヒロインだったというわけです。そして主人公くんはメインヒロインに奉公する爺やの養子となります。ある時主人公くんは火災に巻き込まれるのですが、それを自らの命と引き換えに救済してくれたのが爺やの長男であり、そのため主人公くんは爺やの養子として引き取られたのでした。爺やの家系はメインヒロインの実家を陰に日向に支える忍者的な護衛役であり、主人公くんもその技術を継承していきます。また主人公くんは火災をきっかけに「人が善人か悪人かを天使の羽で見分けられる異能」を手にしていたのです。こうして主人公くんは護衛術と異能によりメインヒロインを守る守護天使役となったのです。主人公くんは火災前後の記憶を失っており、それを取り戻したいと思っています。伏線としてはメインヒロインの手首にあるヤケドが提示されており、火災事件と何やら関係がある様子。また黒髪ツンデレ√を通して主人公くんの実家問題を、王女ヒロインを通して爺やの長男問題を、シスターヒロインを通して異能の謎を、それぞれ扱う構造になるであろうことが匂わされています。こうして各ヒロインの問題を解決しながら主人公くんの過去の謎の解明が行われ、グランドエンドでメインヒロインの重たい愛情を受け入れる決意をするのでしょう(多分)。作中で繰り返し指摘されているモチーフが使徒ペテロの役割であり「キリスト処刑時には主を裏切ったが、ネロ帝の迫害の時には再びローマに戻り信仰を示した」という題材がキー概念になりそうです。


  • 王女ヒロイン問題
    • プロローグは、王女ヒロインの皇位継承問題を通して「主人公くんの人物像」と「人間関係の配置」を紹介する機能を持っています。王女ヒロインはよくあるヨーロッパの公国出身設定であり、租税回避地として経済的な恩恵を受けており、右派勢力である国王崇拝とキリスト教系宗教原理主義が絡み合った複雑な国家情勢なのだとか(時事ネタ満載やな)。要約すると以下の通り。(1)現女王が即位する際、男系相続を慣例としていたため継承争いが起こり、王女ヒロインも巻き込まれた→(2)結局、現女王の即位が承認され、王女ヒロインは第三皇位継承者となった→(3)ここで分裂してしまった血統を統合するため現女王の二人の王子のどちらかが王女ヒロインと婚姻することになった→(3)王女ヒロインは特に婚姻に反対はしていなかったのだが、王子が二人いるためどちらかを選ぶことができる主体性を持ってしまった→(4)伝統的保守派が台頭し、第三後継者である王女が国王を選ぶとは何事だ!!第一後継者の王子には自分の嫁を主体的に見つけて欲しいと騒ぎ出す→(5)キリスト教系宗教原理主義を利用して王女ヒロインに干渉→(6)主人公くんたちに成敗される(分かりやすいチャート方式)。ここでは全てが面倒という王女系ヒロインは昼行燈を装っており実は非常にクレバーで主人公くんが信頼できるかどうかを試す駆け引きを行っていたことや、その結果主人公くんを自分の事しか信じていないと断罪する描写、それを受けた主人公くんが自分自身すら自分のことを信じていないと自嘲するシーン、そしてそんな主人公くんを最後まで信頼するメインヒロインなどがおススメとなっております。