雑録

蒼の彼方のフォーリズム 第六話「決戦、そして」の感想・レビュー

けっこう面白いと思う。ついEnterキーを押す作業に熱中してしまった。
第6話は共通√の最終場面で3年生の先輩方が引退する夏の大会。
ヒロインズの戦闘シーンが描かれていくのだが、わりと真剣に読んでしまった。
特にみさきちの歪みっぷりがかわいい。良い感じに挫折と精神崩壊のコンボが炸裂します。
才能に依存して楽しくやってきた少女が壁にぶち当たり辛酸を舐める展開は大好物だ。

夏の大会の試合まとめ

  • (1)部長VS乾
    • 部長の引退試合。相手は最終的にトーナメントで優勝する乾さん。乾さんは今までのフライングサーカスとは違って、試合を俯瞰しコントロールするという戦略をとります。この全く新しいスタイルに皆が敗れ去っていくことになるのですが、部長は自分のスタイルを貫き通すことで一矢報いることに成功するという結果になったのがこの試合です。部長はスピード狂で素早さにパラメータを全振りする人間でした。自分のこだわりを貫き、最後まで戦います。試合をコントロールしようとする乾さんに対して、3年間のひたむきなスピードへの執着が発揮されるシーンは思わず熱くなること請け合い。最後の最後で乾さんとの攻防を制した部長は1点をもぎ取ります。試合には敗れたものの、夏の大会では乾スタイルを打ち砕いた唯一の人間となっています。
  • (2)真白VS佐藤院
    • 第4話以来の本格的な登場となった真白さん。経験値も実力も足りない真白が用いることになった作戦が謀略戦です。真白の相手となったのは高飛車お嬢様的なフリして実は素直で面倒見の良い佐藤院嬢。真白はその人の良さに付け込む戦術をとるのですが・・・しかしながら真白はやり過ぎてしまいます。フライングサーカスでは目線によるフェイントは当然の如く認められています。しかし、真白はマナー違反を発動。なんと隕石が堕ちてきていると佐藤院嬢を騙してしまうのです。おのれ謀ったなと佐藤院嬢は激怒。真白はフルボッコにされてしまったのでした。
  • (3)みさきちVSりかりか
    • やる気のないみさきち。なぜならりかりかを格下に見ており、剥き出しの戦意に辟易してしまったから。りかりかは基本に忠実で丁寧な飛行を行うので、攻撃パターンやフェイントが見え見えでありみさきちに言いようにあしらわれていきます。鼻白むみさきちに対してりかりかはそれでも奮戦し、戦闘スタイルを変化させて襲いかかってきます。りかりかの変容にみさきちは舌なめずりをし「ちゃんと小枠なれるじゃん」と戦意昂揚、ようやく同じ土俵にたてたとやる気回復。接近戦を挑んでくるりかりかに対し、優位に立つとあとは何もしないまま旋回し続けタイムアップ。こういう勝ち方もあると学んだみさきちと、反復練習では現状を打破できないと思い知ったりかりかでした。
  • (4)みさきちVS真藤
    • さきちの心のライバルである真藤さんとのバトル。真藤さんはみさきちと当たる前の試合で接近戦で相手を叩きつぶしていました。みさきちと主人公くんは当然接近戦の心構えをしていたのですが、真藤さんはスピード勝負に打って出ます。真藤さんの作戦は既にもう前試合から行われており、固定観念に囚われたみさきちは思うように力が発揮できません。真藤さんの繰り出すフェイントにことごとく引っかかってしまいます。ここへきてみさきちのメンタルの弱さが露呈。感覚だけで勝ち上がってきたみさきちは、相手の動きをよく見たり攻撃を先読みしたり試合を俯瞰して捉えることができなかったのです。もはやこれまでかと思いきや主人公くんのリードが炸裂します。フェイントにひっかからないよう目をつぶらせると真藤さんの動きを主人公くんが先読みし、攻撃を指示。接近戦に持ち込むことに成功します。ドッグファイトならかなりの腕を持つみさきちは攻撃をしかけ、得点をあげるのですが、ここでもみさきちはメンタルの弱さを露呈。相手を待てずに行動し、かわされてしまいます。あげく、接近戦をやろうかという固定観念をもう一度植え付けられた結果、またもや真藤さんはスピード戦に切り替えたので、みさきちの心は折れてしまい、敗北したのでした。みさきちは真藤さんの強さを見せつけられ、本気で強くなりたいと願うのでした。
  • (5)明日香VS真藤
    • 明日香の資質にみさきちがどす黒い感情を渦巻かせるはなしその1。真藤さんとのバトル後、フライングサーカスを本気で取り組みたいと思ったみさきちに厳しい現実が突きつけられます。それは真藤さんはみさきちとのバトルにおいて全然本気じゃなかったということです。また格下と思っていた明日香が急速にレベルアップし、圧倒的な資質の差を見せつけることもみさきちの焦燥をいざなうのです。明日香はフライングサーカスでのバトルにおいて、冷静に相手の行動を先読みし柔軟に戦闘を変化させるという戦略面に長けていました。これまでは基礎力不足で良い戦略を練れても身体がついていかなかたので負けていただけでした。徐々に基礎スキルが上がってくると明日香は自分の戦略を実行できるようになっていきます。真藤さんとの試合でもエアキックターンを織り交ぜて翻弄し、真藤さんに本気を出させるのです。唸りながら覚醒する真藤さんはみさきちとの戦いでは見せることのなかった技を次々と繰り出してきます。これを呆然と見つめていたのだがみさきち。真藤さんが自分との試合では全然本気ではなかったことに愕然とし、さらに心のどこかで格下と見ていた明日香が実は自分よりも資質で上回っていることに衝撃を受けるのです。みさきちの心の中にはどす黒い感情が湧き上がってきます。
  • (6)真藤VS乾
    • 勝戦。これまたみさきちが精神崩壊するはなし。みさきちは自分を圧倒的に負かした真藤さんを目標としていました。また自分に勝った相手が優勝すれば、相手が悪かったと言い訳することができます。みさきちは真藤さんの優勝を欲していたのです。しかし、ここに乾さんが全く新しいフライングサーカスのカタチを提示し、競技の概念を覆してくるのです。これまでフライングサーカスはスピードで勝負したりドッグファイトで近接戦をしたりするのがセオリーとされてきました。しかしながら乾さんは相手の行動を先読みし、試合をコントロールして勝利する方法を開発したのです。これに対して主人公くんやみさきちは衝撃を受けます。これまでの自分たちの努力が否定された気分になり、ショックは計り知れないものでした。しかし明日香を見てみると、なんとキラキラした表情で新しい戦闘スタイルに魅入っているではありませんか。主人公くんとみさきちは明日香の資質を認識することになったのでした。そして決勝戦は乾さんの勝利。真藤さんの勝利を信じて疑わなかったみさきちは動揺が隠しきれず、さらに明日香に対する劣等意識が芽生え始めます。これまで自分の身体能力だけで勝ち上がってきたみさきちは挫折を味わう結果となってしまったのです。

ショップ屋のアンちゃんの試合講評


  • みさきの感覚に頼りすぎたプレイ
    • 「ここだけの話だけど、みさきちゃんはつまんないね。みさきちゃんは明日香ちゃんと逆だね。プレイを感覚に頼りすぎてると思う」
      • 白瀬さんの言っていることはよくわかる。みさきなりに考えてプレイしているんだろうけど……。体の反応が抜群にいいから、普通のスカイウォーカーよりも頭を使わずにプレイできてしまっているのかもしれない。
    • 「これまで使わなかった部分を使うっていうのは、一朝一夕でできるようなことじゃない…みさきちゃんがどうかって話じゃない。一般論としてこういうのは本当に難しいことなんだ。」
      • …だって使わずに勝てたのだ。必要ないものを使おうとは普通、思わない。壁にぶち当たっても、今までの自分の経験を頼りにするから、体だけでどうにかしようとする。頭の使い方がわからにままになってしまう。
  • 明日香とみさきの比較
    • 「そこで頭の使い方を教えるっていうのは大変だよ。特にみさきちゃんみたいなタイプはね。まとめていうと、明日香ちゃんはFC脳がいいと思うんだ。頭を使って、先を見通して、相手の動きを見て自分で考えて、行動している。今は体がついていってないけどね。で、みさきちゃんはFC脳が鍛えられていない。咄嗟の反応で動いているだけで、全体を見通したり、相手の動きを見て考えたりしていない。つまり彼女には戦略がない。明日香ちゃんは頭が鍛えられてるけど体はまだまだ。みさきちゃんは体が鍛えられてるけど頭はまだまだ。そういうことになるね」
    • 「結論を言うとだ……才能の引き出しやすさも努力のさせやすさも、明日香ちゃんがずっと上だと思う。彼女はもしかしたら本物かもしれない。明日香ちゃんは秘めた身体能力が発揮できれば、みさきちゃんをもすぐに超えるだろうね。これまで出し方を知らなかっただけだから。」
  • みさきは歪んでてカワイイ
    • 「フィジカルだけを鍛えるならそこそこ行くだろうね。だけどそのままじゃ本物になれない…来年の大会のベスト4レベルの強さまでなら簡単に行くよ…きつくいえば天才肌であって天才ではないと思う。彼女の才能の限界が目の前にあったとしても、僕は少しも驚かないね…もし僕がコーチするなら、明日香ちゃんよりもみさきちゃんを選びたいね…真っ直ぐな性格の人より、歪んだ性格の人の方が好きだからね…ああいうタイプがFCを本気で続けていれば、そのうち性格は歪むだろ?…そうなったら、そこから伸びるかもしれないよ」

さきち煩悶特集