こころリスタ!「長沢星歌シナリオ」の感想・レビュー

世の中を斜めに見ているコミュ障ヒキコモリ妹を社会復帰させるはなし。
他人とのコミュニケーションを厭い機械音声でしゃべるという工夫がキャラ立てをしている。
星歌がヒッキーになったのは、幼少時にステージの上でおしっこをもらしたからであった。
トラウマを克服した星歌はネットアイドルとして成功するよエンドを迎える。

雑感


  • アイドる?アイドらない?
    • 主人公くんの妹である星歌は長年ヒキコモリを患い、留年しない程度に学校に行く程度でした。斜に構えて世の中を眺めシニカルな態度をとるものの、その胸には熱い思いがあったのです。なんと星歌はネット世界ではバーチャルネットアイドルとして活躍していたのです。星歌はかつてアイドルの真似をしたら主人公くんがかわいいかわいいと喜んだため、アイドルになりたいと思っていたのでした。そんな星歌はなぜヒッキーになったのでしょうか?その理由はエンド後のエピローグで語られます。すっかりアイドルヲタになった星歌は或る時ライブに行くと、突発的に人材発掘オーディションに参加できることになりました。その際、ライバルに精神的重圧をかけられ極度の緊張状態となってしまった豆腐メンタルの星歌は、ステージの上でおもらしをしてしまったのだとか。そのため再びアイドルになることに躊躇していたのですが、ご都合主義的展開によりスカウトを受けます。これに対して主人公くんがネット世界のバーチャルアイドルと星歌との共演ユニットの結成を考え出します。こうして新感覚リアルバーチャルアイドルとなった星歌は成功を収めてハッピーエンドを迎えるのでした。



  • カノジョがジャ○ーズヲタだった時の男性の心境
    • 星歌はジャ○ーズヲタであり、シナリオ内でカウントダウンライブに付き合わされることになります。マリポ先輩√でもそうでしたが、偶像としての男性に女子がキャーキャー言うのを許せるのってスゲーな主人公くんと改めて思います。あくまでも紙芝居が好きな自分にとっては、中の人がどーとか、ライブがどーとかって関心が薄いのです。男であれ女であれ集団で偶像に熱狂する様子は哺乳類が集団としての機能を示す光景なのでしょう。芸能人とかで付加価値をつけた機能性のないグッズとかが経済を回しているのもポピュラーカルチャーのエネルギーというのはすごいものよ。
    • そしてこの作品の良いところは熱狂に騒ぐヒロインがそれを自覚しており恥じている描写が秀逸なところ。星歌はジャ○ーズヲタである自分を暗黒面と指しており、とてもではないが他人にはさらけ出せないといいます。兄であり長年暮らしてきて良いところも悪いところも知っていて自分を許容してもらえるからこそ、自分を見せることができるというのです。兄弟は他人の始まりともいいますが、自分とは価値観を異にする身近な存在っていうのは、こういうような人間もこの世界にはいるのね、という多様性を認めることができるための第一歩のように感じられました。