はるるみなもに!(体験版)の感想・レビュー

へっぽこ外ツ神の力となって一人前の海神に育て上げろ!!というおはなし。
信仰が薄くなり分断化していく地方社会を自然崇拝により再統合させましょう。
神の力を引き出す触媒の力を持つ主人公くんは海神・山神・雷神と交流を重ねていきます。
神様としての自己の存在意義に悩むヒロインズが主人公くんに支えられてアイデンティティ確立。
主人公くんもまた神としてのイモウトを持つが故の神職コンプレックスを解消していきます。
体験版では漁により父を亡くした少女が祖先崇拝を受け入れるところまでプレイできます。
Clochetteでは『かみぱに』『あまつみそらに』に続く神様系統の3作目。

体験版概要

  • 地域共同体の分断化と信仰による地方社会の再統合について
    • 主人公くんは神社の子弟。まだ神職の資格を得ているわけではないのですが、家業を手伝い良き後継者とならんとしていました。そんな主人公くんが暮らす地方社会は、「産業の盛んな海側の地域」と「自然が残る山側の地域」に分かれており、主人公くん一家は山側の祭祀を司っていたのです。一方で海側の地域は従来の気風に加えて、再開発により都市化が進んだこともあり、神に対する信仰は薄く、神社に神が不在である状態が続いていました。物語は、神としての能力を持つ少女が海神に就任するところから始まります。しかし招かれた少女はへっぽこだったのです。主人公くんはなぜか神の力を引き出す触媒としての異能を持っており、へっぽこ少女の力を引き出していきます。こうして外から招かれた外津神である少女を、立派な産土神として育て上げることが、当面の目標となっていきます。果たしてメインヒロインは地域共同体を鎮守し、地縁集団としての氏子を守ることができるようになるのでしょうか。体験版では海神少女に貧乏神と荒魂(あらみたま)が襲い掛かってきます。


  • 怪異を解決しながら信仰を回復しヒロインとの絆を高める構造
    • 貧乏神事件では幼馴染、荒魂事件ではツンドラのキャラクターの掘り下げが行われます。貧乏神事件は、幼馴染が情けをかけてしまったがゆえに商店街が衰退しかけるという展開。除霊を試みる主人公くんたちに対して幼馴染が善性を発揮して貧乏神を浄化し福の神に転化させることができたという流れです。
    • そして体験版の一大ビックイベントとなっているのが荒魂事件です。漁師の娘であるツンドラは神様を嫌っていたのですが、それは漁に出た父親がそのまま行方不明になったがゆえ、海神の守護を信じられなくなっていたからなのです。漁師の父は娘に会いたい一心で地縛霊となってしまい幽霊船を漂わせていました。その船が起風発雷を引き連れて、港に接近してきたのです。この荒ぶる魂を鎮めるのが本格的な最初のお仕事。主人公くんは雷神・海神引き連れて事件に対峙します。この鎮魂を通して各神様たちは自己の存在理由を確立していきます。雷神は今まで祀られたことがなく、雷を落とすしか能がなかったのですが、自分の力の深淵を知ります。また海神は主人公くんを触媒にして力を得てツンドラのために献身します。主人公くんズの活躍により荒ぶる魂は鎮められ、ツンドラはダディの魂と再会することができたのです。よかったねツンドラ
    • こうして神の守護に疑念を感じていたツンドラの信頼を得て、それを機に漁村エリアの信仰も回復したのでした。しかしこれを見て心中穏やかでないのが山神である主人公くんのイモウト。今まで主人公くんの力を独占してきたイモウトは、その主人公くんの力が自分だけでなく他の神にも作用することを知り、独占体制が崩れたことを痛感します。それゆえ、従来は学校にも通わず山村エリアの神事に全うしてきたのですがそれに耐えられなくなってしまいます。以上によりイモウトも学園に通うように取り計らわれることになります。学園には海神・雷神・山神の三柱神が集う体制が形成されました。神様3人、幼馴染、ツンドラに囲まれた主人公くんの学園神様怪異譚が始まったのです!!といったところで体験版はお開きとなります。