2017年度初頭に人口に膾炙した『けものフレンズ』(1話〜10話)を見た雑感など。

ポストアポカリプスもの。文明崩壊後の箱庭セカイ(廃墟と化したサファリパーク形式の旧動物園)において、擬人化した獣たちと触れ合いながら、各気候帯をモチーフにした遺物を辿り、「人類とは何か」を再発見させる教育番組です。

  • 社会科教育としての『けものフレンズ
    • ケッペンの気候区分や各気候帯の特色を学べると言えば地理学習。人類が獲得した固有の能力に重点をおけば先史時代の歴史学習。そして「人類とその他の動物を分けるものは何か」についてを考えれば、社会制度や経済システム、理性や宗教など政治経済倫理の公民科学習となります。


 

 

  • 見どころ!!
    • みどころは何と言っても各話において挿入される「人類の叡智タイム」。またCパートでは「帽子」がキーアイテムとなっており、それを被って移動するかばんちゃんを追跡する小話が挿入されるのですが、そこでこれまでの伏線が回収され「箱庭セカイの設定考察」に繋がっていることも視聴者の興味を引いているのだと思います。そしてOPの終わり部分でこれまでに登場したフレンズたちが何かを作っている様子が最終回にどう収束されるのかも注目ですね。

各話メモ

  • 1話「サバンナ地方」
    • 主人公の少女「かばんちゃん」とその相方であるサーバルキャットの出会うはなし。
    • ストーリーの前半は「記憶喪失」のかばんちゃんが「自分が何の動物か知るため」に図書館に向かうことがテーマとなっているのだが・・・。「1話の時点で」、サーバルキャットに向かって「あなたはここの『ヒト』ですか?」と言っているシーンとかが話題になったことで有名ですね。おま、「ヒト」だって認識してるじ
    • ヒトとしてのかばんちゃんが、他の動物と自己を比べて、身体能力などで劣等意識を感じるところが色々と考えさせられる内容です。他の動物よりも弱いからこそ、自然界に働きかけて環境適応をしてきた人類が浮き彫りになります。そのうえでサーバルが「フレンズによって得意なことは違うから〜」と肯定感を極限にまで高めてくれるセリフはすごい皮肉ともいえるかもしれません。
    • 人類の叡智タイムとしては、発汗による代謝機能、地図の読解、道具の作成などが登場します。
    • Cパートでは、かばんちゃんを捕まえないとパークの危機であることが紹介されます。
  • 第2話「ジャングル地方」
    • サファリパークを開設するAIロボが登場し、サファリバスを修復するはなし。
    • 人類の叡智タイムとしては河川に橋を架けるというインフラ整備を行います。
  • 第3話「高山」
    • サファリバスのバッテリーを充電するためにソーラーパネルを求めて高山に上るはなし。
    • 人類の叡智タイムとしては地上絵による情報伝達を行います。
    • Cパート再開。「サバンナ地方」でカバにあってセルリアンに注意するよう言われる。
  • 第4話「砂漠地方」
    • 前半はスナネコとの交流を通して各砂漠の種類が解説されます。
    • 後半はツチノコとの交流を通して娯楽施設と貨幣経済が紹介されます。さらに人類の叡智タイムとして、ピクトグラムの認識が扱われます。
    • Cパートでは「ジャングル地方」でかばんちゃんが河川にかけた橋がピックアップされています。
  • 第5話「湖畔」
    • 分業と協業により建築を行う話。
    • 人類の叡智タイムとしては、ミニチュア模型の開発や各々の特性を組み合わせて共同作業を行う提案をします。そして考えるのが得意な動物ということでホモ=サピエンスネタが登場。
    • Cパートでは「高山地方」。足漕ぎ式ロープウェーによる登山、頂上カフェが機能している様子が紹介されます。そしていつのまにか「お宝」扱いに。
  • 第6話「平原」
    • 戦争と集団ゲームとスポーツに関するはなし。
    • 人類の叡智タイムとしては、ルールを決めて危険がないように勝負を行うという形式が提示されます。またかばんちゃんが「もしかしてヒト?」と問われます。
    • Cパートは「砂漠地方」。ラッキービーストの反応条件の話になり、かばんちゃんが被っている帽子の原型についていた「もう1本の羽」を見せられることになります。
  • 第7話「ジャパリ図書館」
    • 文字の読解、料理、火の使用に関するはなし。
    • サファリパークで獣人化した生物たちは動物がヒト化したものというはなしや、セルリアンについての伏線が張られます。
    • 人類の叡智タイムとしては、虫眼鏡による火起こしが提示されます。
    • Cパートは「湖畔」。サバンナで帽子を見つけた時にボスことラッキービーストがしゃべり出した話になり、フレンズにとって重大なものが埋設されている場所が分かったとの情報が回収されます。
  • 第8話「ぺぱぷライブ」
    • 偶像崇拝に関するはなし。
    • 人類の叡智タイムとしては、「他者への共感能力」が示されます。
    • パークの四方が海に囲まれていること、ヒトがいなくなって久しいという情報が回収されます。次の目的が「港」に決まります。
    • Cパートは「平原」。かばんちゃんが帽子泥棒扱いされており、パークの危機とはかばんちゃんを巨悪と勘違いしているということが分かります。
  • 第9話「雪山地方」
    • 環境適応能力に関するはなし。
    • 人類の叡智タイムとしては、冷帯や寒帯に即した住居(かまくら)や移動手段(ソリ)の開発、衣服による気温の変化への対応が扱われます。
    • Cパートは、じゃぱり図書館。神聖なる「山」に入るために許可を貰おうとします。ここで「四神」のはなしが出てきます。
    • そしてCパート2回目は「ぺぱぷライブの会場」。2週遅れが1週遅れになりました。噴火の日に帽子がとられたことが回収されます。またフレンズがどのようにして生まれるかの話になり、サンドスターが動物、もしくは動物「だった」ものに当たるという条件が提示されます。かばんちゃんも噴火の日に生まれたことから、かばんちゃん遺骨説が出てきました。
  • 第10話「ロッジ」
    • サファリパークがなぜ廃墟と化してしまったのか、ヒトが島から撤退した原因の伏線が張られます。またかばんちゃんが被っている帽子の持ち主であるミライさんの全体像が初登場。またミライさんと共に前代サーバルちゃんが登場し、それをみた現サーバルちゃんが太古の記憶を思い出し涙します。
    • 人類の叡智タイムとしては、幽霊の正体は記録映像のホログラムであることの推測。
    • Cパートは「雪山地方」。かばんちゃんへの好感度がなぜかうなぎ上りになっております。博士から「山」に入る許可を得たので、「泥棒」を追いつつ、お宝に向かっていると述べます。ここでキタキツネがレアアイテムを持って行かないと死んじゃうよと発言し、ギンギツネからゲームの話でしょと突っ込まれるのですが、10話終わりの方でミライさんがサーバルとボスバトルに挑む描写が挿入されるので、そことリンクするのか?という予測がうまれます。
    • 生き物や生き物だったものにサンドスターが反応してフレンズが生まれるが、セルリアンは無機物と反応して生まれるとのこと。ニホンオオカミがセルリアンのなかには自分がセルリアンだと気づかない者もいると述べていることを考慮すると、かばんちゃんはミライさんの帽子にサンドスターが反応して生まれたセルリアン説が発生するのが分かります。しかしここでサンドスターにもいくつか種類があることがにおわされ、それによりフレンズになるかセルリアンになるかが分かれるのか?という謎も生まれます。
    • サファリパークは四方を海に囲まれているとのことであり、かばんちゃんたちは海を目指しているわけですが、ここでミライさんたちは海運ではなく空輸で運ばれたことが判明します。
    • そしてCパート2回目で「ロッジ」。ついに直前まで追いつきましたね。噴火により崖から落ちた時に、「黒い影」が帽子を持ち去ったことが判明。そして、それはその時に生まれたフレンズなんじゃ?という疑問が提示されます。「黒い影」がかばんちゃんであるとすると、かばんちゃん=セルリアン説(ミライさんの帽子にサンドスターがあたった)、かばんちゃん=死骸説(人類の死骸にサンドスターがあたった)、異なる種類のサンドスター説などが考えられそうですね。