雑録

金色ラブリッチェ「シルヴィア√」の感想・レビュー

打ち込めるものを無くし人生の生き甲斐を喪失した男が上流階級の女のために存在意義を見出すはなし。
王女と釣り合うために研鑽する主人公くんですが、応援してくれる周囲の方が遥かにキャラ立ちしている。
シルヴィアよりヤンキー娘:理亜と、シルヴィアの妹:カミナルの方が愛着湧いてしまいます。
(そして理亜は死亡フラグ立てまくりなので、シルヴィアよりも理亜√が気になって仕方がない)
シナリオはドロドロがない明るく軽いご都合主義。部活問題も許嫁問題もとてもアッサリと解決する。
「大事なのはいまカッコイイことじゃねーよ カッコつけることだよ」というのがシナリオのテーマ。

シルヴィア√概要


  • 野球部問題の真相
    • 主人公くんは名門野球部を退部した後、生き甲斐を無くして学校を退学しプー太郎となっていたわけですが、なぜ退部することとなったのでしょうか?それは野球部の封建制と試合のたびに駆り出される学校応援の問題があったのです。野球部の応援ってホント大変であり、甲子園出場を生徒募集の広告塔にしているような高校では強制的に教員や生徒たちが駆り出されます。主人公くんは野球部の捕手でバリバリと活躍していたのですが、吹奏楽部に所属していた愛する女(シナリオの途中から実妹と判明する)が応援に駆り出されて大切な演奏会と予定がブッキングしてしまうと、その野球部の封建的な体制に疑念を感じ、意見具申してしまうのです。勿論、お偉方は野球部が甲子園に行くことが第一であり、吹奏楽部など学校の宣伝工作のための装置としてしか見なしていません。全ては残念な結果に終わってしまいます。反抗した主人公くんは退部を余儀なくされ、それにより野球部は1回戦負け、さらにイモウトたちの演奏グループも空中分解という展開になってしまうのです。こうして全ての現況とされた主人公くんは総スカンを食い、学校を退学することになったのでした。


  • 階級格差モノのお約束(1)釣り合わない問題
    • 今まで打ち込んできた野球を辞めさせられた主人公くんは、第二の人生として何を生き甲斐とするのか?プラプラしていた主人公くんですが、上流階級の女のために自分磨きをすることに励んでいくことになります。当初は身分が〜階級が〜能力が〜釣り合わない〜とか何とかウジウジしている主人公くんですが、ここに二人の強力な助っ人が現れるのです!!
    • まずはヤンキー娘:理亜は幼少期の約束から主人公くんとシルヴィアをくっつけようとするのですが、主人公くんが落ち込むたびに発破をかけてくれるのですね!カッコつけようとすることは悪いことではない!!いやむしろカッコつけろ。カッコつけようと努力することがカッコイイんだ。シルヴィアのためにカッコつけろと奮起させてくれるのです。
    • そして二人目はシルヴィアのイモウトのカミナル。お姉ちゃん大好きっ子であるカミナルは、姉に近づく主人公くんがはしたないのは許せないという理由で主人公くんに特訓を施すのですが・・・主人公くんがカッコつけるために上流階級の所作を積極的に学ぼうとすると、それはもう付きっ切りで教えてくれるのです。カミナルはカミナルで主人公くんが真摯で誠実に自分の教えを学んでいる姿をきてきゅんきゅうしちゃうわけです。そして社交パーティーの時に主人公くんが見事上流階級としての立ち居振る舞いをバッチリ決めると、今まで育ててきた主人公くんの成長を喜び好感度マックス!!フラグが成立してシルヴィアとともに姉妹丼となります。


  • 階級格差のモノのお約束(2)許嫁問題
    • 上流階級モノでは、恋のライバルとして攻略ヒロインに許嫁がいて〜とかいう障害が立ち塞がるのがお約束パターン様式美ですね。シルヴィア√では3人ほどいるのですが、全てご都合主義でアッサリ解決となります。
    • まずは本国におけるライバル。シルヴィアには地元貴族に許嫁とされる人物がいたのですが・・・なんとそれはシルヴィアの実兄でしたとさというオチ。なんとシルヴィアは楽団派と騎士院派の派閥争いのために王族に養子縁組されていたという過去が判明します。そして許嫁のウワサとなっていたのはお兄ちゃん。ついでに攻略ヒロインのクッころ系騎士とも血縁が判明します。そしてむしろお兄ちゃんには、シルヴィアが好きなのは主人公くんであるという真実がフツーに伝わっており、愛するイモウトをたぶらかしたのがどんな人材なのかという意味で訝しく思われていたのです。そしてフツーに気に入られます。アッサリ!!
    • 次に現れるライバルが、日本のマスゴミ成金ぼっちゃんキャラ。このお方は完全に噛ませ犬であらっしゃられます。ヤンキー娘:理亜ちゃんが世紀の歌姫:マリアさんに扮してマスコミに出る際に、この成金ぼっちゃんに話を通す必要があったのですが・・・。理亜とシルヴィアは直接連絡できることとなったのでアッサリと役立たずに。しかも成金ぼっちゃんが画策した「自分とシルヴィア王女が接吻を交わしているところを大衆紙にリークさせる」作戦は茶番に終わり、主人公くんがシルヴィアを守って好感度アップするためだけの装置に使われるのでした。あまりにも噛ませ犬!!
    • 最後のライバルが、シルヴィア王女の初恋相手だったソーマくん。しかしこれはもう既に問題が解決していました。なんと幼少期にシルヴィアはソーマくんに告白しており、その際シルヴィアに自分が女だということを打ち明けていたのです。こうしてヤンキー娘理亜ちゃん=世紀の歌姫マリア=シルヴィアの初恋相手ソーマくんの関係が明らかになり、問題は解決されたのでした。


  • シルヴィア王女のアイデンティティ拡散
    • 主人公くんは理亜やカミナルに支援されて自分磨きをしていくのですが、その一方でシルヴィアの方でも人物像の掘り下げが行われます。シルヴィアで扱われるのがアイデンティティ拡散問題について。
    • 前述のようにシルヴィアは王家の血統ではなく、派閥抗争の人質のために養子縁組された存在でした。幼少期のシルヴィアはこれに悩み、王家が銀髪であるのに対し、自分が金髪であることにコンプレックスを感じてしまうのです。そんなシルヴィアに対して金髪サイコーだぜ☆と肯定してあげたのが、幼少期の主人公くんであり、こうしてシルヴィアは自己を肯定でき、積極的に王族に馴染めるように血のにじむような努力も厭わず、ロイヤルとしての所作や礼儀作法をみにつけたのでした。
    • しかしそれでも思春期になれば自分が何者であるかとか考えちゃうお年頃!シルヴィアは自分が努力で身につけたものは、本来の自分を包んでいる「皮」にしかすぎないと感じちゃうのです。アイデンティティクライシス。そんな少女に対して承認欲求を満たしてあげればフラグは成立さ。主人公くんはここでも理亜から修得したカッコつけるの肯定論で演説を打ち、「皮」であったっていいじゃないか!カッコつけようと努力している生き様が素晴らしいのだ!自ら優れたらんとするあなたの本質は美しいのだ云々というような趣旨のことを述べて口説きアイデンティティを確立させてあげるのです。


  • 過去の清算
    • 部活問題において、吹奏楽部の女の子の演奏会のために身体を張った主人公くんのエピソードが紹介され、主人公くんに昔の女がチラついた際に、やったぜワケアリモトカノか!?と思ったのですが、アッサリと実妹でしたとネタ晴らしされます。いやいやいやそれでも実妹でも愛するお兄ちゃんのためにインモラル展開か!?とも期待したのですが、その方向もなし。そしてなし崩し的に主人公くんと、主人公くんを野球部から追放したピッチャーが和解!!えーーーー、扱いが雑ッゥゥゥゥゥ。こんだけ主人公くんの負の感情の原動力となっていたのに!?モノローグで主人公くんがもう二度と会いたくないとか言ってたのに、再会して謝罪されたらすぐ仲直り。もっとこう葛藤というか煩悶というか怨恨とか・・・そういうのは今日日のサガプラを購入層プレイヤーには流行らないのかしらね・・・
    • そして終局部ではシルヴィアが気を利かせてくれて、サプライズパーティー。まずシルヴィアの伴奏で理亜が歌い、幼少期の悲願を達成。次に野球部事件の時に空中分解してしまったメンバーたちを集めて演奏会を実行。こうして心残りであったところを次々と回収し、ハッピーエンドで終わります。エンドロール後には、社交ダンスに誘われる主人公くんが、見事シルヴィアと華麗にダンスを踊り周囲を見返します。そうです、主人公くんは専門科目で社交ダンスを専攻し、この時を待っていたのでした。一度は人生の生き甲斐を喪失した主人公くんだったけど、愛する女のために「カッコつける」ことで人生の生存理由を見出すことができたのでした。めでたし、めでたし。