抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?「畔美岬√」の感想・レビュー

過去の怨恨により閉鎖的な視点に囚われていた少年が自己矛盾を受け入れ敵対勢力と手を組み大団円。
どこにでもいそうなモブと作中で評され、デブであることを気にするヒロインが、やりたい放題暴れまくる。
個人的に好きなのが近現代日本文学ネタであり谷崎潤一郎について熱く語る描写が印象深い。
シナリオの構造としては奈々瀬√のアンチテーゼとなっており、奈々瀬√で否定した手法をフンダンに用いる。
個別√のなかで一番ぶっ飛んでいるギャグゲーであり、ヒロインのはっちゃけっぷりもスゴイ。

奈々瀬√のアンチテーゼ

  • 美岬√でのトラウマ克服法
    • 主人公くんは純愛を掲げる処女厨であり、愛がない性交を嫌っており、性に奔放な島民を毛嫌いしていました。そんな島の価値観に染まった代表的人物として描かれるのが美岬であり、主人公くんは美岬に貞操観念を植え付けていくことになります。美岬は自己をモブキャラと称し、影が薄いことから今まで純潔を保ってきただけであり、島民と同じように性的快楽大好きだったわけですね。主人公くんはモラルと道徳を説き、美岬に貞操観念を持たせていくのですが、島民代表である美岬と触れ合ううちに、自分の思想信条は逆恨みを正統化したものに過ぎないという自己矛盾と対峙せざるを得なくなるのです。主人公くんにはトラウマがあり、一つは巨根であることでイジメを受けたこと、二つ目は幼馴染問題(奈々瀬√参照)、そして三つ目は尊敬していた女性が島民から迫害され死んだことでした。このことから主人公くんは、島および島民に対して怨恨を抱き、自分の純愛が正しく島が間違っているんだと立ち上がったわけです。奈々瀬√では思想・信条の自由を説き、分かって欲しい人にだけ分かってもらいたいという境地に辿り着くのですが、美岬√ではそれを乗り越えるという手法を取るのです。そう、それは奈々瀬√で否定された、主人公くんの巨根を島民に振るうというものでした。


  • 全ての勢力を糾合して島を搾取しようとする暴力団に立ち向かえ
    • 美岬√のラスボスは本州の暴力団です。島が性産業の規制緩和の特権を受けているため、本州での市場が奪われてしまっていたのです。そんなわけで、暴力団は合法的な性的快楽を受けられる島を潰しにかかってきます。暴力団は二つの手段をもって攻めてきます。一つは非合法的な需要開発。島民たちは如何に性産業を観光資源としていても、そこでは何でもオッケーというわけでもなく、非道なプレイや虐待、余りにも幼い島民を犯すことは制限されていました。暴力団はその制限を踏みにじって隠れた需要を掘り下げ利益を出そうとしていたのです。そして二つ目が性産業を観光資源化する条例の廃止。しかしこれはグランド√のヒロインの命と引き換えに、知事を脅すというやり方をとっていました。こんなやりかたが許せるわけがありません。そのうえ、暴力団は島民を洗脳して自分の支配下に引き込み、野望を達成しようとします。
    • この暴力団を打破するのが主人公くんの役割!暴力団の洗脳は主人公くんの巨大な逸物による性交渉により解除できることが判明します。主人公くんが理想として掲げていた愛の無い性交渉については、主人公くんの愛する美岬がモブキャラ属性であることを利用して解決します。すなわち、トンデモメカによって全てのモブキャラが美岬に見えるゴーグルを開発し、ヤッている相手はすべて美岬なんだと言い張るのです。また美岬の事なら全てを理解できると豪語する主人公くんによって美岬として認識される敵モブは全て瞬殺できるという無双っぷり。
    • 主人公くんは美岬と交際することによって、かつて怨恨を抱いていた島民への蔑視を解消できました。こうして島民、県知事勢力、主人公くんグループが団結し、暴力団へとカチコミをかけるのです。最後の戦いでの美岬のはっちゃけっぷりがスゴい。皆の力で野望を打ち払い、ハッピーエンドで幕を閉じます。

谷崎潤一郎について熱弁をふるう畔美岬