前半が「学校教育の現状と課題」でアクティブラーニング中心。
後半が「問題行動の理解と対応」でLD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガーなどの発達障害について。
前半「学校教育の現状と課題」
- 主に日本のアクティブラーニングとアメリカのActive Learningの相違に関する話。
- 学習指導要領改訂の背景には、もともとアクティブラーニング、コンピテンシー・ベース、カリキュラム・マネジメントの3つの考えがあった。しかし、新学習指導要領では前二者がそれぞれ「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善、「育成すべき資質・能力」の三本柱(「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力の育成」、「学びに向かう力・人間性の涵養」)となった。
- アクティブラーニングの元ネタはアメリカのActive Learningであるが、それはもともとアメリカの大学初学者のためのものであった。全ての大学生が高校の全科目を履修しているというわけではない。そのため特定の領域を学んで来なかった学生のために大学初学者には基礎基本を学ばせる講義が存在する。その講義において知識の定着率を図るために導入されたのが、アメリカのActive Learningだったのである。大学生向けのものだったとはいえ、内容が初学者向けの基礎知識なら高校段階でも導入できようということで、日本の高校にアクティブラーニングが導入されたのであった。
- アクティブラーニングの問題点として挙げられるのが、学習内容多すぎて時間足りない問題。日本の教育で小中で活動形式の授業を行えるのは学習内容が高校に棚上げされていたから。アクティブラーニングは確かに理解は深まるが、内容量的にも時間が足りない。そこで反転授業が導入されたが、教科書読んで来いだけでは本当に理解しているか分からない。その問題を解決するためにアメリカのActive Learningの教科書が紹介されたが、QRコードがついておりスマホで読み込むと動画が流れ自学自習できるものとなっていた。
- アクティブラーニングで生徒自身が自分で考えを表明したり、根拠を示して討論したり、他者とやりとりをすると知識の定着は伸びる。しかし新学習指導要領では内容がそのままの量なのにさらに「探究」をやる。これが成功するかどうかは、高校教育の出口、つまりは大学入試によるところが大きい。大学入試が今の様な状況ならアクティブラーニングは根付かない。
- 評価について。逆向き設計。「生徒に、最後には何ができるようになっていてもらいたいのか」を設定してからカリキュラムや授業を作る。詳しくは西岡加名恵さんの研究を読め。
後半「問題行動の理解と対応」
- LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガーなどの発達障害について。
- まず講習に強制的に参加させれている層に向けての意欲付けとして、理論を学んで「見方」を増やそうと投げかける。つまり、現場の教員はかなり自らの理論で行動しているが、多様な見方が増やせれば、対応策が広げられるということ。
- 発達障害の対応として、(1)「できないことではなくできること」に注目する、(2)「できた時に“何”が起こっていたか」に注目する、(3)「一つの作業を複数に分割しスモールステップにする」ことが挙げられていた。試験問題は「カレーをおかわりする時にオタマが皿に触れるため食べ残しがついてしまう」という自閉症患者への対処法であった。オタマでカレーをすくうことができることに着目し、皿によそるまでの行為を細分化して、ステップの支援をさせる対処法を書けばいいのだと思う。
- この講義で参考になったのが、「生徒は変えられない」、「自分のやり方を変えるしかない」ということであった。つまり、授業を聞かなかったり寝たりする生徒がいるとむかつくがそれで怒ってしまったらもうオシマイ。切って捨ててしまったり放置してしまったりするのではなく、「変えられるのは授業の方」であるということであった。
- 講義形式がアクティブラーニングであったが・・・
- アクティブラーニングでもアクティビティでパターン入ると少しぐだる。アクティビティは楽しいが、途中でパターン入ってしまって「小テーマの提示→映像を見る→内容を小集団で話し合う→教授のまとめ」の繰り返しに陥ってしまっていた。もう少しアクティビティのパターンが豊富だったらよかったかもしれない。
- 私は見知らぬ人とも平然とグループワークできるタイプなので、積極的に話を振ったり、他者の発言を掘り下げたり話題を拡げたり、私見を述べたりと割と頑張った。その一方で、やはり機能していないグループも幾ばくかあった。自分がアクティブラーニングで授業する時も「話し合え〜」というだけでは、なかなか話し合わない子どもたちもいるので、そういう子どもたちへの指導も課題なのかもしれない。ペアワークとかしようとしない子どももいるし。