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  • 奥村暁「「歴史総合」に向けての実践-神戸大学附属中等教育学校における「歴史基礎」の試み-」(『歴史と地理』第699号、2016年11月、16-25頁)

    文章の概要

    はじめに
    一 「歴史基礎」という名の「鵺」
    • 新設される「歴史総合」のための研究開発科目「歴史基礎」の目的
      • 日本史と世界史の統合
      • 暗記型歴史教育の脱却と主体的な学び(そのためのアクティブラーニング)の導入
      • 近現代史を重視し、現代的な諸課題を歴史的に考察する力の育成
    • 「歴史基礎」の難点
      • 世界史と日本史の要素を含みこめば必然的に取り扱う内容は増加するが、暗記脱却のためのアクティブラーニングの導入のため、議論や思考にまとまった時間が必要となり、授業の時間は不足する。
      • 現代に直結した諸課題の考察を考えれば、取り扱う内容も制限されてしまうし、現行の大学入試にそぐわないため、生徒の関心が薄くなる。
    二 主題的単元史学習の実践
    • 単元構成改革
      • 一年を通じた単元構成の構築無しに日本史と世界史が接近する部分のみをフォーカスしたり、形式的なアクティブラーニングの導入などの小手先での改革は圧迫をもたらす。
      • 「歴史基礎」実施において最初に必要なことは、抜本的な単元構成の改革。
    • 神戸大学附属中等教育学校の「歴史基礎」の「主題的単元史学習」とははどのようなものか
      • 単元ごとの「主題」を通して「キーとなる歴史概念」を獲得させる。
        • 文明・宗教・世界一体化・国民国家・アジア近代・総力戦・三つの世界・地球的課題
      • 一つの単元をA「問いの提示(1時間)」→B「資料と考察(4〜6時間)」→C「調査と発表(1時間)」というプロセスを構成する。
        • A「問いの提示」…生徒にとって身近な「当たり前」に疑問を持たせる。1単元を貫く「問」を生徒に提示する。
        • B「資料と考察」…Aの「問」を下地として、「問」を思考するために必要な知識を獲得させたり、思考を促す。様々な授業形態をとり、毎時間生徒主体の授業を行うわけではない。
        • C「調査と発表」…授業中に調査テーマを投げかける。複数の国・地域に分け、一つを選択させ該当国の歴史教科書とみずから選択した資料を合わせて小集団で調査する。生徒は個人→小集団のレベルで該当する資料をみずから探し、考察する。その内容をレポートにまとめるか、スライドを作成して5分以内でプレゼンを行う。
      • 単元の中心においた基礎概念の獲得を通じて生徒の歴史的思考力を高め、歴史的見方・考え方を育む。獲得した基礎概念は前後の単元へと展開し、最終的に現代の単元へと発展する。こすうることで通史というかたちをとらずとも時系列構成された単元史を繋ぐことで歴史の流れを理解できる。
    三 実践の成果ー「歴史基礎」の課題はこえられるか
    • 日本史と世界史をいかに統合するか
      • 日本史と世界史がつながっていることを並べるだけでは「日本史と世界史の統合」は実現しない。
      • 必要なことは、主題における歴史的概念を用いて地域の事例から世界の動きへと視野を広げ、そして再度、地域を見つめ直す思考力の育成。その思考こそが「日本史と世界史の統合」。
    • 暗記の脱却ーアクティブラーニングの「考え方」の獲得
      • 主体的単元史学習のプロセスそのものがALの導入に必要。「問→資料と考察→調査と発表」という単元全体を通して主体的な学びを担保すること、そして考えるべき「問」を明確に持つことで、生徒は主体的に学ぶことに必要性を感じる。
      • 評価の関連性も重要。レポートや振り返りの比重を大きくし、定期考査では概念部分を論述形式で必ず出題する。
      • 知識獲得について。教科書を教えるのではなく、生徒達に歴史の考え方を獲得させる。「考え方」という器に、みずから知識を選択し、流し込む方法を知り、実感を持つことで、生徒達は歴史を考える必要性を強く意識していく。
    • 近現代史の重視ー現代的な諸課題の「長期的」考察
      • 現代的な諸課題と単元の内容は「直結」させる必要はない。最後の単元で、従前の各単元で思考・獲得した「歴史的概念」と結びつけることを重視した。冷戦・代理戦争・ソ連の崩壊・地域紛争・地域統合について既習概念を用いて思考させる仕掛けを作った……それぞれの既習概念は一連の単元プロセス、主体的な調査、発表活動によって生徒に内在化しており、生徒はそれを最後の単元において現代の問題と結びつけて思考する。そのことによって生徒は、歴史と「今」のつながりを発見し、現代において歴史を学ぶ意味を「体感」した。
    四 「基礎」から「総合」へー結びに変えて
    • 抜本的な改革の必要性
      • 日本史と世界史の歴史概念部分での統合、アクティブラーニングを通した主体的・対話的な学びと深い学びの確保、歴史的な見方・考え方や思考力の獲得は、そのすべてが一体となって「総合」・改革され、施行されなければ意味をなさない。
    • 「総合」科目と「探究」科目の接合。および大学入試改革
      • 高校二年生以降の新設探究科目との総合的な流れをいかに構築するのかが歴史総合実施の要。大学入試という出口も大きく関わるため、新設探究科目と大学入試改革の行方も「総合」して考えなければならない。
    • 中学校歴史分野との関係性
      • 通史的な学習である中学校での学びを、より高次の歴史的な考え方への学びへと「総合」していく視点を欠かすことはできない。中学校の歴史分野から高校の探究世界史・日本史、そして大学入試までの歴史の学びの「総合」を促す科目が「歴史総合」なのではないだろうか。そのためには中学・高校・大学の連携が必要不可欠となる。

    文章を読んでの雑感

    • 主題的単元史学習について
      • この文章では神戸大学附属中等教育学校の「歴史総合」のカリキュラム編成として主題的単元史学習が紹介されていた。だが、この主題的単元史学習でカリキュラム編成の軸となる「キーとなる歴史概念」、つまりは文明・宗教・世界一体化・国民国家・アジア近代・総力戦・三つの世界・地球的課題を設定した根拠の正当性はどこから保証できるのか不鮮明のように感じた(教員の歴史観による恣意性の問題)。(確かに上記8つは学習指導要領でも触れられているし、世界史を学ぶ上での重要な概念であるが)。そして上記8つの基礎概念を統合して最終的に何を身につけさせたいのか、身につけることができるのか。文章中にはp.20下段l.18-20に「獲得した基礎概念は前後の単元へと展開し、最終的に現代の単元へと発展していく」とあるので、現代の地球的課題で統合するのだろうか?