1.営業報告書および有価証券報告書
1-1.営業報告書
- マイクロフィルムに収められている。
- 営業報告書には何が書かれているのか。
- 明治期のものは、「考課状」と呼ばれたこともある。要するに、会社が各決算期ごとに作成し、株主総会に提出、ないし株主に配布する毎期の経営活動の成果の報告書。企業業績の記録。
- 第二次世界大戦後
- 株主が膨大になるとともに、株主の地位・役割が低下したこと、株式取引所の上場会社については別に「有価証券報告書」の作成が義務付けられたことなどによって、公表の営業報告書は簡略化され、形式的なものになる。
- 戦前と戦後の株主総会の違い
- 警視庁株主総会特別警戒
- 株主総会、戦後になってから形骸化した。形骸化した理由、総会屋。暴力団が出ていて暴れる。
- なんでこうなたのか!? 総会屋は戦前期もいた。総会屋じゃ150人いた?株主総会に入り込んで暴れる人。racheteer 難癖をつけてカネをもらうと満足する。株主総会は戦前期は機能していたので、総会屋は例外的な存在であった。しかし、戦後になると、総会屋は増えてくる。大企業の株主総会は総会屋が暴れるというので警察が警戒するという仕組みになっている。
- なぜ総会屋が活躍できるのか? → 上場企業の株主総会では、株主の数が数万人になる。実際の株主総会の議決の際には、議場の賛成多数、満場一致で議決をしてきた。そこで声の大きい人が議場を仕切って自分の要求を通そうとする。すると会社は困る。総会屋はカネをもらって引き下がる。これが戦後社会には広まってくる。
- 最近の法改正で、総会屋が暴れるのはごく最近になってから減ってきている。戦後、8000人前後総会屋がいた。現在は法改正で2017年現在の総会屋の数は230人となった。
- 戦前の方が、株主総会が機能していたので、そこに出す営業報告書は貴重な資料ですよということ。
- 警視庁株主総会特別警戒
- 営業報告書の内容
- 庶務その他の報告事項
- 計算書類(決算諸表) バランスシートが重要
- 株主名簿
- 戦前は基本的に株主は個人、戦後の日本企業の特色は、個人株主よりも、機関株主が増えた。個人がたくさんいてカブを持っている状態から、企業間同士で株を保有しあう状態が増えた。戦前は個人のものなので、戦前のカネモチの名前が分かる!!
- 『営業報告書集成目録』
- 地方企業なども入っているので、地方史を書く際に参照される。
1-2.有価証券報告書
- 有価証券とは
- 財産権を表す証券。その権利の移転・行使をするには証券を用いなければならないもの。
- 上場企業、東京証券取引所などに上場しており、株が公開されていて、毎回大蔵大臣に提出しなければならない。
1-3.企業史料総合データベース
- データベースでオンラインで購入することができる
- 1950年の商法改正までが、営業報告書。以降は有価証券報告書。
2.営業報告書から何が分かるか。-満蒙柘植公社の事例-
2-2.営業状況
- 満拓の営業報告書、日本には第5回がない
- 中国吉林省の満鉄資料館にあった!!
- 貸借対照表(バランスシート)について
- 移民を開拓民に変更
- 政府が名称変更する。
- 何故かというと、移民の方から、自分たちのことを呼んでくれるなと要望が出される。これ以降、満洲開拓という言葉が歴史用語として定着する。
- ぜんぜん「開拓」ではない件について
- 満拓と満洲国で中国の土地を買うのだが・・・買った土地は既に耕されている農地。原野を切り拓いたわけではない。
- 買った土地の面積は、日本の耕地面積の3倍以上となっていた。
- 土地を買うときの買い方
- 満洲柘植公社がは中国人地主、中国人地主から土地を買い取っている。買収している。無理やり奪うことはしていないカネは払っている。土地買収は手続き的にはザル。一人一人の土地を買うのではなく、村長など有力者に取りまとめてもらって買う。
- 1ヘクタールあたり10円で買う。この時代の工場労働者の賃金が1ヶ月100円。当時の物価水準でみると、工場労働者の1ヶ月の給与の10分の1の値段!!