論文講読用のレジュメ
- 本章の趣旨
- 関東州の統治が軍政から民政に移行される前に行われた二つの観光旅行(「ろせった丸満韓巡遊」および満洲合同修学旅行)について分析している。
「ろせった丸満韓巡遊」と満洲合同修学旅行の比較
- 11の比較点
- 著者は第二章の終局部において、二つの旅行を11の観点で比較しながら、満洲観光誕生の特徴と意味を述べている。
- (1)主催者
- (2)陸海軍当局の役割
- (3)参加者
- (4)費用
- ろせった丸
- 丁等から甲等まで36円から120円までの費用
- 合同修学旅行
- 交通機関と宿泊は陸軍が無料で提供。食費と雑費などで一人当たり凡そ25円。
- ろせった丸
- (5)旅行コース
- (7)旅行スタイル
- 共通点
- 携帯品(水筒、飯盒、雑嚢、脚絆、常備薬など)
- ろせった丸
- 服装は思い思い。航海はろせった丸、食堂付き貨車列車(四泊)と陸軍兵営(1泊)に寝泊まり。
- 合同修学旅行
- 服装は制服。航海は陸軍御用船。移動は貨車、食事と宿泊は陸軍兵営。兵営で食事を運ぶ当番も分担。軍の管理がより厳しい。
- 共通点
- (8)在満日本人へのまなざし
- 共通点
- 「国威」を基準に在満日本人を見ている。
- ろせった丸
- 各都市の官憲、居留民会、宗教団体から大歓迎を受け、多大な便宜を貰う。
- 招待にあたった在満日本人の階層が比較的高かったためと、在満期間が短かったため、在満日本人を好意的に捉える。在満日本人は「国威を発揮する誇らしい日本人」。
- 合同修学旅行
- 歓迎会は、大連基督教青年会主催の1回のみ。
- 街中をゆっくり見学した際、在満日本人にぼられたり冷たくされたりすることもあり、「無頼漢」、「醜業婦」など、批判的。在満日本人は「国威を汚した恥かしい日本人」
- 共通点
- (9)在満日本人からのまなざし
- (10)現地(人)へのまなざし
満洲観光はなぜ「早産」したか?
- 理由
- 「戦後まで続く「軍政」という特殊な実行条件のもとに誕生した」から → 「軍政」はのち「民政」へ移行 → 「早産」