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  • 【先行研究】「第二章 満洲観光の誕生」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、42-97頁)

    論文講読用のレジュメ

    • 本章の趣旨
      • 関東州の統治が軍政から民政に移行される前に行われた二つの観光旅行(「ろせった丸満韓巡遊」および満洲合同修学旅行)について分析している。

    日露戦争後の満洲観光ブーム

    「ろせった丸満韓巡遊」と満洲合同修学旅行の比較

    • 11の比較点
      • 著者は第二章の終局部において、二つの旅行を11の観点で比較しながら、満洲観光誕生の特徴と意味を述べている。
    • (1)主催者
      • ろせった丸
        • 主催者は民間機関(東京大阪両朝日新聞社の発案・主催)
        • 趣旨・目的は「戦跡」、「皇威」、「実地調査」
      • 合同修学旅行
        • 主催者は政府当局(教育者の提案、文部省と陸軍省の共催)
        • 趣旨・目的は国民精神の教育感化(文部省訓令第一号から推測)
    • (2)陸海軍当局の役割
      • 共通点
        • 陸軍の協力なしでは実現不可能。
      • ろせった丸
        • 陸海軍が多大な支援と便宜を供与
        • 満洲上陸後の旅程は、悉く陸軍省指導下に行われる(移動、宿泊、食事、衛生、日程作成、案内)。
      • 合同修学旅行
        • 陸軍が5隻の御用船を出し、全過程の面倒を見る。
    • (3)参加者
      • 共通点
        • 募集の仕方は同じく自由申込み。定員を上回る希望者が殺到。男だけの参加。
      • ろせった丸
        • 参加者実数379名。両朝日新聞のシェア数によって、東京と大阪を中心とする34道府県。商業を中心とし、「士農工商を全て網羅」(ママ)。
      • 合同修学旅行
        • 参加者実数3694人。沖縄を含むすべての道府県。各県の割り当て学校数と人数は均等ではない。中等学校以上の学生生徒、教員、小学校の教員。
    • (4)費用
      • ろせった丸
        • 丁等から甲等まで36円から120円までの費用
      • 合同修学旅行
        • 交通機関と宿泊は陸軍が無料で提供。食費と雑費などで一人当たり凡そ25円。
    • (5)旅行コース
      • 共通
        • 大連を振り出しに、営口、奉天、遼陽、金州、旅順を経過する
      • ろせった丸
        • 韓国国内の旅行も含まれる
        • 撫順炭鉱のある撫順(当時は「千金寨」)→利源調査の割合がやや高い
      • 合同修学旅行
        • 満洲が中心であり、一部の教員と生徒だけが安奉線で韓国を縦断するルートを経由して帰国。
        • 鉄嶺、柳樹屯などの戦跡→戦跡巡拝の内容がより多い
    • (6)旅行期間
      • ろせった丸
        • 発着は横浜港、前後28日間。満洲滞在は9日間。
      • 合同修学旅行
        • 発着は宇品港、24日間。満洲滞在は18日間。
    • (7)旅行スタイル
      • 共通点
        • 携帯品(水筒、飯盒、雑嚢、脚絆、常備薬など)
      • ろせった丸
        • 服装は思い思い。航海はろせった丸、食堂付き貨車列車(四泊)と陸軍兵営(1泊)に寝泊まり。
      • 合同修学旅行
        • 服装は制服。航海は陸軍御用船。移動は貨車、食事と宿泊は陸軍兵営。兵営で食事を運ぶ当番も分担。軍の管理がより厳しい。
    • (8)在満日本人へのまなざし
      • 共通点
        • 「国威」を基準に在満日本人を見ている。
      • ろせった丸
        • 各都市の官憲、居留民会、宗教団体から大歓迎を受け、多大な便宜を貰う。
        • 招待にあたった在満日本人の階層が比較的高かったためと、在満期間が短かったため、在満日本人を好意的に捉える。在満日本人は「国威を発揮する誇らしい日本人」。
      • 合同修学旅行
        • 歓迎会は、大連基督教青年会主催の1回のみ。
        • 街中をゆっくり見学した際、在満日本人にぼられたり冷たくされたりすることもあり、「無頼漢」、「醜業婦」など、批判的。在満日本人は「国威を汚した恥かしい日本人」
    • (9)在満日本人からのまなざし
      • 合同修学旅行に対してのみ記述
        • 生徒たちの不体面な恰好のせいで、「支那人」よりも文明度が高いはずのわれわれが見下されてしまう恐れがあるとの論調。
        • 「ゲスト」の内地客も、「代理ホスト」の在満日本人もともに、ホスト「支那人」を意識しながら、お互いに相手を「国威」を背負う存在としてみなす。
    • (10)現地(人)へのまなざし
      • 共通点
        • 満洲の地 → 血戦苦闘の戦跡、「皇威」の及ぶ所、開発すべき「富源」
        • 支那人」→「不衛生」、「亡国」。「彼ら」亡国の民との対比によって、帝国民としての自覚を自発的に高めることができた。
    • (11)メディアの報道
      • ろせった丸
        • 社会的に大きな反響。旅行期間の7、8月を挟む4か月間、満韓巡遊の話題が朝日新聞の紙面を賑わし続けた。
        • 旅行中から絵葉書が発行、旅行後には写真帖や記念誌
      • 合同修学旅行
        • 団員が全国道府県に遍く渡ったため、各地方紙が地元の「学生満韓旅行」の話題を取り上げる。参加者の通信や旅行記を連載した全国紙や地方紙も。感想文は県の教育雑誌、校友会誌などに掲載、独自に記念誌を編集した学校も。

    満洲観光はなぜ「早産」したか?

    • 理由
      • 「戦後まで続く「軍政」という特殊な実行条件のもとに誕生した」から → 「軍政」はのち「民政」へ移行 → 「早産」
    • 1906年満洲観光の内的条件
      • ろせった丸
        • 「ろせった丸満韓巡遊は、賠償金を取れなかった憤懣と屈辱を、「戦利品」満洲を見に行く興奮と祝祭へと転化するメディア・イベント」
        • 「「戦跡」、「皇威」、「利源」の語りは、国家観念の振興と戦後経営の促進を望む当局の目論見とも一致」
        • 「政府は惜しまぬ援助を提供することによって、満韓巡遊を、「皇威」の余光を負う主動的な「帝国民」に馴致する装置として利用した」
      • 合同修学旅行
        • 「教育層、学生層に広く戦勝の恩恵を享受させ、彼らを自ら「皇恩の有り難さ」を感じる自律的な「帝国民」として作り上げようとした」
    • 1906年満洲観光の外的条件
      • 「軍政のバックアップを得られたからこそ、満洲観光は、スムーズにこの年に誕生した」
      • 早産した原因は外的条件。移動や宿泊を担うのが軍政から満鉄になったため。
        • 「翌年の夏も、文部省が満洲修学旅行を企画したが、この年の4月に開業した満鉄が8割の大サービスを行ったにもかかわらず、乗車賃や宿泊賃などで、前年の軍政期より、一人当たりおよそ40円の出費が増えることとなった(※引用者註-前年は凡そ25円)。その結果、申込を取りやめた学生も多く、予定の3500人を大幅に下回り、1割未満の261名となった。」