新京商工会から発行された『新京の概況』は建国10周年を記念として出されたものであり、「新京の観光について」という章立てが存在する。新京観光の意義、観光バスのすすめについて述べた後、各項目を立てて、それぞれの観光資源の説明を施している。その観光資源は以下の通り、「新京駅」、「中央通」、「日本橋公園」、「新京神社」、「児玉公園」、「大同大街」、「忠霊塔」、「大同広場」、「護国般若寺」、「宮廷御造営地」、「孝子廟」、「大馬路」。
新京観光
- 新京観光の意義づけについて
- 観光バスのすすめ
新京における各種観光資源概要
- 新京駅
- 中央通
- 駅前の広場を起点に、日本橋通り(左)、中央通り(中)、敷島通り(右)が放射状に走っており、中央通りは大同大街に接続する。満鉄支社、ヤマトホテル、新京神社、児玉公園などがある。
- 日本橋公園
- 新京神社
- 児玉公園
- 大同大街
- 忠霊塔
- 「ニツケビルと康徳会館の間、北安通を西に進むと高く聳ゆるものが忠霊塔」。
- 「東洋平和のため満洲の土を鮮血に染めた護国の英霊を祀る忠霊塔こそ、新京に来往する人々の第一に訪つて敬虔な祈りと感謝の念を捧げねばならぬところ」。
- 大同広場
- 護国般若寺
- 宮廷御造営地
- 「新宮廷の用地は南北二千二百米、東西約四百五十米、その面積は五十一万二千平方米で、南は興仁大路に面し他は東西両万寿大街によつて囲繞せられ造営予算約千四百万円、8ヶ年継続事業となつてゐる」。
- 「なほ現在の皇宮は城内東五馬路に続く興運路の奥にあつて、恐れ多くも御質素を極めたもの」。
- 孝子廟
- 「王夢惺といふ孝子を祀つたもの」。大同公園の正門の前を少し行くと右側の道路上に存在する小高い塚か古墳のやうなもの。「旅人に奇異の感を与える」が「大同大街の建設に当つて特に取り残されたほど満人の信仰の厚い孔子廟」。
- 大馬路
- 「日本橋通の先、朝日通入口の角の朝日座(映画館)を超すと、ここからが所謂商埠地大馬路街である。一名城内とも云ふ純然たる満人商店街である。」
- 「三馬路から四馬路への角に満系百貨店最大の泰発台」
- 「四馬路には同じく満系百貨店最新流行の品物を揃えてゐることで、その名を高くしている振興合が偉観を呈している」
- 「四馬路の十字路から少し手前に右へ入る細い横町があつて、入口に「新民戯院」といふ看板が上がつていゐる。横丁を入ると新市場といふ所で、煙草やマツチのかけ売りからあらゆる食べ物屋、占師、薬売りなど店を並べて雑踏を極めてゐる。ここに入り口の看板の示す新民戯院といふ支那風の芝居があつて正午から開演してゐる。茶荘といつてお茶を飲みながら日本の講釈か、浪花節といふやうなものを聴く席も数件ある。若い女が卓上の太鼓をたたきながら三味線の伴奏で勇ましいところを一席やつてゐる風景なども見られる。」
- 「四馬路を超すとすぐに左側に横丁があつて沢山の看板が弓型に上つてゐる入り口がある。狭い入口ではあるが中へ入れば縦横に道路が走つてゐて、古着屋から古道具屋、靴や帽子等の古物店が並んで非常な雑踏を極めている。」