タマユラミライ(製品版) 共通ルートの感想・レビュー

怪異が残る山奥の田舎で、調和を維持するために活躍する霊媒師系主人公くんの妖怪譚。
妖怪変化がもたらす様々な解決しながらヒロインたちの好感度を積み重ねていく。
ヒロイン達もまた霊能関係について問題を抱えており、おそらく個別でその解決が図られるのだろう。
果たして主人公くんは、自然との調和を維持して多文化共生社会を形成することができるのか!?

第1章「魔法使いの御役目」

体験版第1章の感想はコチラ。

第2章「ゴンゲサマの恋文」

f:id:h30shimotsuki14:20190602160201j:plainf:id:h30shimotsuki14:20190602160204j:plain

  • 山神と水神の悲恋を通して、淫魔の秘めたる恋心を解放する話
    • 山神と水神の間の報われない恋に関する話。この悲恋を通して、主人公くんに想いを寄せながらも淫魔だからと自分を抑えようとするサキュバスヒロインの恋心が解放される仕掛けとなっています。
    • もともと物語の舞台となる田舎は湖沼地帯であり水神優位な社会が形成されていたのですが、湖沼が徐々に干上がっていき、そこへ山神が進出してきたのだとか。それ故、両者を調和するのが地元の霊媒師の仕事となり、主人公くんもまたそのお役目を受け継いだのでした。その一方で山神と水神の間で恋仲となり、それが悲恋となってしまうこともあったようです。今回は山神であり土着の村を守るゴンゲサマが、水神である沼の姫神様と恋仲になってしまったが故に発生した事例に焦点が当てられました。
    • 数百年前、ゴンゲサマは沼の姫様と恋仲になったのですが、当然のことながら周囲からの評判はよくありません。そして逢瀬をしようとしている隙に水神勢力によりゴンゲサマが守護するはずの村に火が放たれてしまうのです。これを機に恋に走り自分の役目を守る責務を放棄していたことことに気づいたゴンゲサマは沼の姫様との関係を断ってしまうのでした。そうこうしているうちに時は流れ、沼は干上がり、姫様も消滅。姫様は縁結びを行う鳥に姿を変えます。
    • そして現代、ゴンゲサマは数百年ぶりに姫様に対して恋文を送ろうと決意し、それを調停者である霊媒師に託します。しかしこの恋文騒動が山神と水神を二つに分かれた大抗争に発展してしまうのです。で、主人公くんは調停者としてこの騒動を解決に導きます。この時重要な役割を果たしたのが、主人公くんに仕える淫魔であり、恋文を媒介として姫様の想いを周囲の神霊や妖怪に感応させたのでした。こうしてゴンゲサマと転生した姫様(トリ)は想いを交わすことができました。また「秘めたる恋心」はゴンゲサマと姫様の間だけのものではなく、淫魔が主人公くんに寄せるものでもあることの伏線が張られました。こうして淫魔が主人公くん対してフラグを構築するためのロックが解除されたのでした。

f:id:h30shimotsuki14:20190602160158j:plainf:id:h30shimotsuki14:20190602160152j:plain

第3章「神域の泉」

水着回。ヒロインズを引き連れ、地域を統括する神の神域へ川遊びに行く。
ここで選択肢分岐が生じ、由岐奈・みだり・花子の三人を選べるのだが・・・
おーっと、白お姉ちゃんがいないじゃん!と思っていたら……白お姉ちゃん死霊だった!
本来なら成仏するはずが、霊媒師の主人公くんのせいで引き留めてしまっている展開。
自己の利益の為に霊能を行使していると述べる主人公くんの目的は白お姉ちゃんにありそう。
白お姉ちゃんとのノスタルジック悔恨の描写でOPが流れ、個別√へと突入する。

個別√分岐選択肢編

f:id:h30shimotsuki14:20190602204114j:plain

  • 弟子の選定
    • 高位の霊能力を持つ神掛姉妹。この姉妹の由岐奈と蒔奈のうちどちらか一方は霊体の具現化形であると主人公くんは考えており、どちらを弟子にするかで決めかねていました。3章ではこのうち由岐奈を弟子にすることが決定します。由岐奈が自罰であるかのように自分が人から愛される資格がないと思い込もうとする描写が見どころとなっています。由岐奈には小学校中学年程度しか性知識がなく、作中でもそのことがネタにされるのですが、人を愛し愛してはいけないと頑なに思い込んでいるためだったことが明らかにされます。弟子の選定には魔法の杖の授与が必要で、エクスカリバーを引き抜くが如きイベントがあるのですが、そこで由岐奈は杖と対話をすることになるのでした。その際、汚れを知らない幼き子を守るための転ばぬ先の杖とならんと、杖自身が由岐奈を選ぶことになります。それ故、自分が子ども扱いされていることに複雑な感情を抱く由岐奈。それに対し主人公くんは、悠久の時を生きる怪異にとって、寿命の短い人間は誰しもが幼き子であり、幼きまま成長し、幼きまま死んでいくのだと諭します。主人公くんもまた由岐奈の才能を認める一方で、自分と対比して劣等感を抱きそうになる所を紙一重の所でスルーしており、このギャップに耐えきれなくなった時の崩壊を考えるとワクワクが止まりません。また、由岐奈のトラウマがどのように解消され、蒔奈とどう別離を迎えるのかについても先が気になります。


f:id:h30shimotsuki14:20190602204107j:plain

  • 白お姉ちゃんは死霊
    • その一方で3章のクライマックスは全て白お姉ちゃんが持って行ってしまいます。周囲の人間から白お姉ちゃん認知されてないなーと思っていたら、やはりそれは伏線で、じつは死霊だったでござるの巻き。主人公くんは由岐奈が他者の為に能力を使えないと述べるのに対し、自分の為に魔法を使えばよい、自分だってそーすると返すのですが……。まさに主人公くんは自分の為に白お姉ちゃんを蘇生か成仏かをさせようとしているようです。本来なら死霊となっても、現世の知人に誰からも認識されないため諦めて輪廻に向かうのですが、白お姉ちゃんは主人公くんが気づいてしまったため、現世に留まってしまったのでした。嗚呼これもう別離の際に涙必須フラグじゃないですか。夕焼けを背景CGに二人で佇むその姿は筆舌に尽くし難いほどの感情を呼び起こしてくれます。


f:id:h30shimotsuki14:20190602204110j:plain