『働かないふたり』第306話の感想「頑張っても報われなかったらどうしよう→さぁ?ダメな時はダメっすからねぇ。」

今回のお話は、やりたいことをやることの不安。
頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、報われなかったらどうしよう。
そんな不安に対して安易に慰めるのではなく、ダメな時はダメっすからねぇという現実を突き付ける。
「努力を裏切らない論」や「すべからく努力している論」とかでは味わえない努力論の味わいがある。
努力して報われなかったとしても、その時は支えてあげようぜというオチがつくのだが。

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  • やりたいことをやることの不安や辛さ
    • ニート漫画で有名な働かない二人。ニートの視点だからこそ「正規雇用として労働力を提供し賃金を貰う」という「典型的な日本人モデル」を相対化していることに面白みがあります。多種多様な人物がニート兄妹によって救われていくのですが、その中の人物の一人に「戸川さん」なるヒロインがいます。登場頻度はたま~に出てくる程度なのですが、ニート兄に影響されてOLを辞めて小説家を目指し始めるのです。フツーの漫画だと、仕事辞めてやりたいことやって、やったぜ!となるところなのでしょうが、この漫画はやりたいことをやることがいかに辛いかという現実が描かれます。これまでの仕事の時間を小説執筆にあてたからといって作品の質と作業時間は比例するわけでもなく、また小説執筆しかしないことでノイローゼにもなったりします。そんな辛い現実ですが、この漫画のファンタジー的な救いもあって、戸川さんがダウンしかけると、そこをニート兄が救うのですね。

  • 頑張って、報われなかったらどうしよう
    • 今回のお話は、直接戸川さんが出てくるのではなく、戸川さんのマブダチが心配してニート兄に相談しに来ます。仕事をやめてやりたいことをやっているが、それはやりたいことに縛られているのではないか。頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、報われなかったらどうしよう?そんなマブダチの疑問に対して、ニート兄が言い放ったのが「ダメな時はダメっすからねぇ」理論だったのですね。この現実がスゴい。

  • そんときゃそん時で支えてあげよう
    • しかしまぁこの話にはオチがあって、やりたいことをやって、もしそれでダメだったとしても、そんときゃそん時で戸川さんを支えましょうというのです。この時のニート兄の爽やかな笑顔といったらありません。普段どんよりとした表情で描かれる分だけ破壊力抜群です。戸川さんがやりたいことをやれているのも、このニート兄が戸川さんを支える環境を作り出しているからなのかもしれません。やりたいことをやっている家族や友人知人がいれば、それを否定するのではなく、温かく見守ることが重要なのでしょう。

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