あまいろショコラータ「雪村千絵莉」シナリオの感想・レビュー

コンプレックスの塊である富裕層の令嬢が理想に囚われすぎて空回りする話。
意固地になって頑張れば頑張るほど独り相撲となり、その結果は逆効果。
努力の方向が間違っており、できないのを認めたくなくてガムシャラになっているだけ。
作中においてですら「面倒くさい」少女であると事あるごとに表現される。
そんな千絵莉が自己を受け容れ自分の性格をセルフ管理メントできるようなっていく。

雪村千絵莉のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • コンプレックスのカタマリ!面倒くさい少女の救済
    • 雪村千絵莉は富裕層の令嬢でコンプレックスのカタマリでした。家名ばかりが先行し、褒めて貰えるのは家柄であり、自分個人は見てもらえないという心境です。そのため千絵莉は雪村一族であることを大っぴらにはせず、それでも家名に応えられるだけの力を示そうと、勉強にもバイトにも妥協したくないと頑張り続けます。しかし、それは努力の方向性が間違っており、バイトではミスをし、勉強しても疲労で寝てしまうというどっちつかずの状況になってしまうのです。さらに千絵莉は身体の成長が遅いこともあってか、子ども扱いされることにも神経質になっており、フツーの人ではちょっと手が付けられない状態だったのです。そんな千絵莉を救うのが我らが主人公であり、大らかさで千絵莉を包み込んでいきます。鈍感難聴系主人公の割にはグイグイ行くところもあり、うまく千絵莉をノセていきます。雰囲気としては『かにしの』のみやびー√に近い感じでしょうか。そして千絵莉は猫(ロシアンブルー)の獣人であるためマタタビの成分が入っているキウイを食べると発情してしまうという設定を使いながら、フラグ構築が進んでいきます。

 
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  • 「できないのを認めたくなくて、ただがむしゃらになってるだけじゃ大人とは言えないよ」
    • 結ばれた後のテーマになるのは、千絵莉のバイトリーダーへの昇格物語。二年参りの帰り道、オーナーの娘からバイトリーダーになってもらいたいという話を受けると、千絵莉は大張り切り!しかし例によって例のごとく、千絵莉は空回りしてしまうのです。今まで千絵莉の役割はホールスタッフであり、コーヒーを淹れることが出来ませんでした。しかしバイトリーダーになるからには、コーヒーを淹れられるようにならなければなりません。そんなわけでミルクのフォーミング技術を身につけようとするのですが・・・不器用な千絵莉はちっともうまく行かないのでした。そして気ばかり焦ってしまった千絵莉は憔悴し、そこをまた主人公が救うという流れ。子どもじゃないと息巻く所作が子どもである証左なんだと言わんばかりに、できないのを認めたくなくてがむしゃらになってるだけじゃ、大人とは言えないよと諭します。こうして主人公の存在により自己を受け入れられるようになった千絵莉は、現実を踏まえた上で努力をしていくことの大切さを知るのでした。周囲から「めんどくさい」と言われていた少女が、自分が「めんどくさい」性格ということに気づき、その性格とうまく付き合っていくことを学んでハッピーエンドを迎えます。

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