『美少女万華鏡 - 理と迷宮の少女』の感想・レビュー

前半は異類婚姻譚×狐憑き×ネットでの誹謗中傷トラブル。
愛した男を戦で失いヒトを呪った狐の怨念が、現世で世間を恨む少女に憑依する。
少女は放火で家族を喪った後、無残にもネットで誹謗中傷に晒されていた。
怨念の力を得た少女はネットを使って怪異を引き起こしヒトへの復讐を図る。
理-コトワリ-の万華鏡を操る蓮華は狐の残留思念を供養して少女を救う。

後半は主人公と蓮華が必ず悲恋になるツガイであることが明らかになる。
これまでの万華鏡シリーズで学んだ愛の形に支えられ輪廻転生に挑んでいく。
最後は転生した二人が再会し過去の記憶が想起されハッピーエンドを迎える。

前半戦:閉鎖的な有名お嬢様高校で起こる怪異を解決せよ!

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  • ネットで誹謗中傷に晒され絶望した少女が狐の怨念を利用して世間に復讐
    • 奈々山もよかは一見すると明るく元気なお嬢様学園の人気者。しかしながらオカルトを利用して怪異を撒き散らし一般生徒を呪いにかけていたのです。それというのも、もよかは放火事件で家族を亡くして天涯孤独となったうえ、さらに被害者であるにも関わらずネットで誹謗中傷に晒されていたからでした。しかも放火事件の現場では女学生の目撃情報があったにも関わらず警察はろくに捜査もしてくれませんでした。世間を呪ったもよかは、狐の呪詛の残留思念に取り憑かれることになります。この狐は戦国時代に人間の男を愛して添い遂げたものの祝言の日に戦で男を喪ってしまい、その呪いで地域全体を滅亡に追い込んだほどの霊力の持ち主でした。400年の時が流れもう既に狐の怨念は残留思念にしか過ぎなくなっていたのですが、霊感の強いもよかの復讐心に感応することとなったのです。こうして怨霊の力を手に入れたもよかは、願望を抱く女学生に甘言を弄し、アメとムチで発狂に追い込んでいったのでした。

 
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  • コトワリの少女蓮華が狐の怨霊を供養する
    • 主人公は怪異作家。出版社のパーティーで座敷童の蓮華がいる旅館が使われることとなります。パーティーの主役であるアンチオカルトの皇先生は、お嬢様学園の怪異事件を知ると、主人公及び出版社の月丘さんを連れて事件解決に乗り出します。初対面であるはずのもよかは何故か最初から主人公に懐いてくるのですが、それは主人公の前世が狐の異類婚姻の相手だったからでした。コトワリを司る万華鏡を操る蓮華は、狐の怨霊を供養すべくもよかとの対決に挑みます。攻撃手段を持たない蓮華は防戦一方だったのですが、主人公が身を挺して蓮華を庇うと戦況は一変。愛する男を傷つけてしまった狐は動揺し、蓮華はその隙をついて浄化に成功します。

 

後半戦:輪廻転生を乗り越えろ!

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  • 輪廻転生を繰りかえし恋仲になりながらも決して結ばれない関係
    • もよかの攻撃を受け魂が不安定になってしまった主人公を救うため、蓮華は主人公と身体を重ねることになります。クール系少女であった蓮華が主人公の為に尽くすシーンが一種の見どころとなっています。万華鏡の中でこれまでのシリーズ作品を振り返りながら蓮華とのイチャラブパートが実行されます。グランドエンドらしく様々な愛の形の回収という形でシリーズを総括していきます。
    • しかし万華鏡世界の中にいつまでもいるわけには行きません。主人公は蓮華から元の世界に戻る様に何回も促されその都度選択肢がでますが、頑なに戻らないを選びましょう。最後まで蓮華への愛を貫くと、二人の関係性が明らかになります。なんと二人はこれまで何回も恋仲になりながらも、お互いの身分や階級や立場により決して結ばれることはなく悲恋に終わる関係だったのです。今回のテーマであった狐と人間の異類婚姻譚も数ある悲劇のうちの一つだったというワケ(つまりもよかに取り憑いていた狐の怨霊は蓮華自身だったのです)。

  

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  • 転生後のハッピーエンド編
    • 真実を知った主人公は、今度こそ悲劇の運命を打破する決意をします。何度生まれ変わり、それが悲劇に終わったとしても、決して蓮華との愛を諦めない!そう誓った主人公は蓮華と共に死を選び、新たな人生に挑みます。ゲームの冒頭で名前の入力がありますが、それが生まれ変わった転生における名前だったのです。私はテキトーに「ああああ」にしてしまったため、転生ネームが「ああああ」になってしまった・・・皆さま、名前をつける時には慎重になさってください。転生後、お約束の如く主人公と蓮華は再会。蓮華は幼女形態から成長しJDへと変貌を遂げていましたが、一瞬で過去の記憶を思い出します。こうして運命を乗り越えて二人が結ばれ良かったねエンドとなります。転生後のイチャラブ描写も結構用意されており、本当に悲劇の連鎖から脱却した後日談を味わうことが出来ます。

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参考