Re CATION ~Melty Healing~ 体験版の感想・レビュー

やる必要のない仕事を自己満足で抱え込み自滅していくIT土方の話。
代替可能で喫緊でない仕事を自己都合で推し進め空回りするピエロ。
共通ルートでは延々と仕事パートが続けられ自発的社畜生活を読まされる。
ITインフラという仕事の面白さが表現出来ていないので正直苦痛。
仕事をメインにするなら、その仕事の魅力をまず提示する必要がある。
あとヒロイン達がグイグイくるので図々しく感じられてしまう。
フラグへし折り方式で管理人さん→事務員→バイト戦士となる。

自発的社畜が自滅した結果、癒しとして女性を求める話

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  • 自発的社畜という害悪的存在
    • 主人公はIT土方、本社から配属された支社勤務1年生です。転勤早々、大学の研究室から依頼されたプロジェクトのリーダーに任じられ大張り切り!しかしその頑張りは無意味な努力だと知れ。日本の軍国主義的な精神論だと「頑張る」こと自体が尊いとされますが、完全に空回りするピエロとなっています。それでもまだクライアントのムチャブリによる仕様変更に対応しようとするところまでは、それなりに読み進めることができました。しかしながら、依頼者がダメ元で言ってきた不誠実な予定の繰り上げについて、進捗管理担当の上司が蹴っていいといっているにも関わらず、引き受けてしまうところから雲行きが怪しくなってきます。プロジェクトチームは主人公の自己満足によって引っ掻き回されるのです。(主人公が新興企業の経営的ポジションで重要な取引先とコネを作るために無理をしなければならない局面なら努力話も感動するのでしょうが、断っても別に構わない仕事を一介のプロレタリアートに過ぎない主人公がやりたがるのは会社にとっても不利益)。しなくてもよいのに自発的に社畜している主人公のガンバリズム。体験版ではこういった労働観を延々と読まなければならないのです。ブラックジョークで言う所の勤勉な無能者。

 

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  • 代替可能な消耗品としての労働者とバブミブーム
    • 一応、シナリオの展開としては、上司が社畜根性を否定しており、資本家にとって労働者など代替可能な消耗品であると見なしていることが救いとなっています。恋人とか家族が大事よ?ということで、仕事で疲弊した主人公が癒しを求めることで個別√に入ります。フラグへしおり方式で大家さん→事務員→バイト戦士という順番になっています。女性を労働で疲弊した癒し役と見なすというのもバブミ系ブームを反映したものなのでしょう。
    • 攻略ヒロインは機械音痴のバイト戦士JD、レトロゲー配信が趣味の大学の事務職員、大工仕事が趣味のアパートの大家さんといった面々になっています。ヒロインズは総じて押しが強くてグイグイきます。ちょっと遠慮したいくらい。機械音痴JDは主人公がIT土方だと知るとIT機器を教えてくれと厚かましく言い寄ってきます(偏差値の高い有名な国立大学の学生でタブレット端末すらろくに使えないとかありえるのだろうかツッコミたくなりますが、ゲームのキャラクター表現ですから)。事務員は大学側のクライアントなのですが立場を利用して主人公を居酒屋へと誘うアルハラまじ勘弁帰りたい(コンプラぁ!)。最後は大家さんが無駄に暑苦しく料理のタッパー攻撃を仕掛けてきます(最初から距離感が近すぎ)。ヒロインたちに違和感を覚えてしまうのは、おそらく大した好感度蓄積イベントも無く関係性を構築していないのに、至近距離イベントを連発してくることに起因するのかと思います。一緒に居酒屋へ行ってもいいし、料理のお裾分けはありがたいのだけどイキナリ最初からゼロ距離射撃ではなく、もう少しフラグ構築を丁寧にして欲しかったかもしれません。

 

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