近現代東南アジア史【4】フィリピン

1.スペイン領フィリピン

  • アカプルコ貿易…メキシコ銀をマニラに運び、中国産品を得て、アメリカ大陸へ運ぶ太平洋ルート
  • ②統治政策:政教一致体制
    • 住民をカトリックに強制改宗・新しく統治組織をつくってフィリピン人を長とする。
    • スペイン人教区司祭が信仰から行政にいたるまで絶大な権限をふるう。
  • ③マニラ開港…1834年、マニラを欧米勢力に開港
    • 砂糖、マニラ麻、タバコなどの商品作物生産が一気に進み、世界市場に組み込まれることになった。
    • 商人、高利貸による土地集積が進み、プランテーション開発が進んで大土地所有制が成立。

2.民族運動家

  • ホセ=リサール
    • スペインに留学中、民族意識に目覚め帰国後にフィリピン民族同盟。平和的な改革を目指したが、逮捕・流刑。秘密結社カティプーナンの武装蜂起を契機に処刑
  • ボニファシオ
    • フィリピン民族同盟に参加するがホセ=リサールの逮捕・流刑により瓦解。秘密結社カティプーナンを結成して武装蜂起しフィリピン革命が始まった。貧困層出身のボニファシオは首長層のアギナルドと対立し殺害された。
  • アギナルド
    • 米西戦争を契機に闘争を再開し、マロロス共和国を建国するも、フィリピンを買収したアメリカとフィリピン=アメリカ戦争が勃発。アメリカが勝利し、アメリカのフィリピン統治が開始。

3.米領フィリピン

  • 1907 議会が開設され立法や行政についてはフィリピン人への権限移譲が進められる。
    • ⇒しかし、経済的に従属し商品作物生産が進んだので窮乏化した農民たちが反乱
  • 1934 フィリピン独立法…自治が承認され、10年後の独立が約束された。
  • 1935 フィリピン独立準備政府の樹立(初代大統領ケソン)
  • 1942 日本がマッカーサー率いる米軍を駆逐し、フィリピンを占領
  • 1943 日本軍、フィリピン独立許与(大統領ラウレル)←フクバラハップの抗日武装闘争
  • 1945 米軍によるフィリピン奪回(←1944米軍のレイテ島攻略)
  • 1946 共和国として独立(大統領ロハス)←対米従属と地主支配に対するフクバラハップの闘争(のち鎮圧)

4.戦後フィリピン

  • ①マルコス政権(1965~86)
    • 長期政権の中で独裁化し腐敗が進む。83年に政治的ライバルのベニグノ=アキノが暗殺されると反マルコス運動が高まり86年のクーデタで亡命した。
  • ②コラソン=アキノ政権(1986~92)
    • 夫ベニグノが暗殺され政界入り。国防軍の支持を得て大統領に当選。新鮮なイメージで独裁政治からの脱却を図ったが、貧富の差は縮まらず経済も停滞し、クーデタの頻発に脅かされた。
  • ③ラモス政権(1992~98)
    • 共産党合法化、国軍右派との和解、モロ民族解放戦線との和平など、国内諸勢力の調和に努めたが、経済危機は解決できなかった。
  • エストラーダ政権(1998~2001)
    • 映画俳優出身で大衆的な人気で政権をとった。様々な利権と結びついてスキャンダルが発覚し、弾劾裁判で訴追されて退陣した。
  • ⑤アロヨ政権(2001~2010)
    • 経済再建、貧困の解決を課題とするが成果は上がらず。対米依存を進め、反テロ活動に同調してイスラーム急進派との戦いを強化した。