中世ヨーロッパ史【3】教皇権の伸長と失墜

1.教皇首位権の確立

(1)教皇権の高まり

  • 教皇権が高まった理由その2「脆弱な王権」
    • 王権が弱く大小様々な領主権力が並び立つ封建社会の状況 →諸侯や世俗の支配にキリスト教が必要

(2)教会刷新運動

  • クリュニー修道院の改革
    • 聖ヴェネディクトゥス戒律への回帰を掲げ、教皇直属の特権を獲得して教会改革運動の中心となる。
  • グレゴリウス7世による刷新
    • 聖職売買を禁止…教会の聖職位や財産を売買することが行われていた。
    • 聖職者の妻帯を禁止…カトリックにおいては妻を持つことは厳禁。妻帯は教会腐敗の代表例。
    • 皇帝・国王・諸侯による聖職叙任権を禁止 
      • 叙任権とは階層制の高位聖職者に当たる大司教・司教・修道院長などを任命する権限。カロリング朝以来、皇帝や国王が叙任権を握っており、聖職者にふさわしくない人物が任命されることも多かった。グレゴリウス7世はこれが腐敗の原因であるとした。

(3)聖職叙任権闘争教皇グレゴリウス7世VS皇帝ハインリヒ4世

2.十字軍

(1)各十字軍の経過

  • 第2回十字軍(1147-1149)
    • シリアにおけるイスラーム勢力の攻撃に対して行われる。
    • 皇帝コンラート3世と仏王ルイ7世の不和により失敗。

(2)十字軍の影響

3.教皇権の失墜

(1)教皇ボニファティウス8世VS仏王フィリップ4世

  • 教皇のバビロン捕囚…聖職課税問題において教皇ボニファティウス8世が仏王フィリップ4世にアナーニ事件で屈服。教皇庁はローマから南フランスのアヴィニョンに移転した。
  • ②中央集権的な統治…官僚制を整備。ローマ=カトリック圏のすべての司教区内の聖職叙任権を一手に握り、そこに様々な課税を行う。

(2)教皇の宗教的権威の喪失

  • 教会大分裂解消後の動向
    • a.教皇の巻き返し
      • イタリア半島で活発な軍事行動を起こして教皇領の拡大をはかる。
      • 異端審問を強化。
      • 学芸を保護して現世におけるローマ=カトリックの支配を美化。
    • b.しかし巻き返せなかった!
      • 人心の離反は進み、教皇の宗教的権威は失われていく。