雑録

前近代東南アジア史

1.東南アジアの風土と社会

(1)東南アジア地誌

  • ①地域区分 → インドシナ半島の大陸部 + マレー半島含む島嶼
  • ②気候 ほぼ熱帯(A)
    • 熱帯雨林気候(Af)…島嶼部の赤道直下の地域。年中降雨。
    • サバナ気候(Aw)…大陸部の赤道から離れた地域。モンスーンの影響を受け雨季と乾季に分かれる。
  • ③東南アジアの厳しい自然:森林地域の香辛料・香木などに恵まれる豊かな地域だが・・・
    • →高温多湿な低地部や熱帯雨林マラリアなど伝染病の温床
    • →山野斜面に原始的な焼き畑農耕を行う住民が広く分布したが人口密度は極めて低い
  • ④全域を支配する国家・宗教・民族などは現れず!!

(2)水上交通網

  • ①商業と人の移動が活発で世界各地の商人が東南アジアを訪問!
  • ②他民族・他文化の融合! 
    • 国家や村落のまとまりは緩やかで外部に開かれている。
    • 家族・親族の構造や男女の役割分担も多様。
  • ③東南アジア独特の社会が形成

2.海の道と初期国家の形成

(1)海の道

  • ①前1000年紀…稲作や金属器文化が広まる 
    • ex.銅鼓…ベトナムのドンソン文化で支配者の権威のシンボル
  • ②紀元前後…海の道による東西貿易が始まる → 東南アジアは交易の中継地、輸出品の生産地
    • 島嶼部・大陸部沿岸の住民→中国・インドと貿易  
    • インド系・ペルシア系などの商人→盛んに来航。

(2)初期国家

  • ①背景: 貿易による富の蓄積+外来文明との接触 → 都市と国家の出現 (紀元前後の数百年間)
  • ②港市国家…交易に基盤を置く港を拠点に成立・発展した国家やその連合体。沿岸部や河川などの交易ルート沿いに中継港や風待ち港が成立し港市が誕生した。
    • a.扶南…1世紀頃メコン川流域に建設された国の中国名。外港オケオが有名でインドの神像・仏像、漢の鏡、ローマ金貨などが出土している。
    • b.チャンパー…2世紀末~17世紀にベトナム中部にチャム人が建てた王国。中国名は時代ごとに林邑・環王・占城。4世紀末からインド化が進み、インドと中国南部との中継貿易で栄えた。
  • ③中国に押し潰された国家形成 → 華南・雲南ベトナム(徴姉妹の反乱)など。

3.諸国の興亡と地域文化の形成

(1)東南アジアの「インド化」

(2)島嶼部 → マラッカ海峡を抜ける交易ルートが発達した7世紀以降に強大な国家が出現!

  • ①マレー・スマトラ地域
    • a.シュリーヴィジャヤ(7~14C)…パレンバンを中心に海上交易を支配し繁栄。唐僧義浄が大乗仏教の興隆を記している。クディリ朝やチョーラ朝と抗争した。
    • b.三仏斉…シュリーヴィジャヤも含むマラッカ海峡の小国家群。宋代以降の中国側の呼称。
  • ②ジャワ地域
    • a.シャイレーンドラ朝(752-850頃)…大乗仏教王国。9世紀にシュリーヴィジャヤと合邦し強力な海軍でマレー半島にいたる海域に影響力を行使。大乗仏教の遺跡ボロブドゥールは超有名!
    • b.クディリ朝(928頃-1222)…独自のヒンドゥー=ジャワ文化が栄え、ワヤンと呼ばれる影絵芝居において『マハーバーラタ』をジャワ語に翻訳した。
    • c.シンガサリ朝(1222-1292)…クディリ朝を滅ぼし建国。膨張政策により元と衝突し元寇を招くが直前の内乱で崩壊。シヴァ神と大乗仏教の融合などインド文化の独特のジャワ化が進んだ。
    • d.マジャパヒト王国(1293-1520頃)…シンガサリ朝滅亡後、元軍を撃退して成立。ジャワ地域最後のヒンドゥー国家だが、イスラームの進出で衰退。

(3)大陸部

  • ベトナム
    • a.ドンソン文化(前4~前1C)…ベトナムの初期金属文化。銅鼓で有名。
    • b.1000年以上にわたる中国支配(※40年徴姉妹の反乱。後漢より一時独立)
    • c.10世紀、唐滅亡後の五代の混乱に乗じて独立。短命な諸王朝が興亡
    • d.李朝(1009~1225)…ベトナム北部最初の長期王朝。神宗時代の宋軍を撃退。
    • e.陳朝(1225~1400)…元軍を撃退。民族文字「字喃」(チュノム)で有名。
  • カンボジア
    • a.扶南(1~7C)…外港オケオが有名。インドの仏像、漢の鏡、ローマ金貨など
    • b.真臘(6~15C)…ジャヤヴァルマン2世がアンコール朝を建国
      • ジャヤヴァルマン7世がアンコール=トムの王都造営
      • スールヤヴァルマン2世がアンコール=ワットの寺院造営
  • ビルマ
    • a.ピュー(4~9C)…ビルマ人進出以前の先住民。南詔に滅ぼされる。
    • b.パガン朝(1044~1299)…ビルマ人による最初のビルマ統一王朝。上座部仏教
  • ④タイ
    • a.ドヴァーラヴァティー(6~11C)…モン人国家。インドの影響を受けるが唐へも朝貢上座部仏教。アンコール朝に滅ぼされた。
    • b.13~14世紀には大陸北部でタイ族の勢力が拡大し、各地に国家を建設!

4.東南アジアにおけるイスラーム諸国家とヨーロッパ・中国の進出

(1)大航海時代における東南アジア

  • イスラーム諸国家
    • マラッカ王国(14C末-1511)…マレー半島南西の港市国家。15C半ばに支配階級がイスラーム教に改宗し、東南アジアのイスラーム化の拠点となる。ポルトガルにより滅亡。
    • アチェ王国(15世紀末~1903)…スマトラ島北部。ポルトガルのマラッカ占領後以後、反発するムスリム商人を受け入れ香辛料交易の中心地として繁栄した。オランダ進出以後、アチェ戦争で占領された。
    • マタラム王国(1580年代末頃~1755)…ジャワ島中部・東部。内陸部の稲作と交易で栄えた。内紛とオランダの介入で王家が分裂。オランダの影響下に置かれた。
  • ②ヨーロッパ勢:16世紀ポルトガル・スペイン → 17世紀オランダ
  • 大航海時代の東南アジアは全体として海上貿易が空前の繁栄を見せる。

(2)「17世紀の危機」の影響が東南アジアに集中

  • ①東南アジアの遠距離貿易不振
    • 背景:ヨーロッパでの香辛料価格の低落・中国の動乱・日本の貿易縮小
  • ②東南アジア島嶼部諸国への打撃 ←貿易への依存度が高かったため
    • 現代国家につながる統合が発展できず→ヨーロッパの植民地支配から独立する際に旧領域の復活という形をとることができず、植民地の領域に縛られる(インドネシア・フィリピンなど)

(3)18世紀 東南アジアにおける中国人の流入

  • ①背景
    • 明清交替期の難民・18世紀における中国の経済成長と人口増による東南アジア移民
  • ②華僑商人
    • オランダ・スペインの植民地を含めて、貿易や流通に大きな勢力を持つ。
  • ③技術者・労働者としての中国人→東南アジアを開発・生産
    • a.タイ・ベトナム南部…水田開発
    • b.ジャワ…砂糖生産
    • c.マレー半島・ボルネオ島・大陸部北部…鉱山開発(錫・金・銀)

(4)ヨーロッパ勢力の植民地経営の転換

  • ①オランダ
    • 18世紀にジャワ島全域を植民地化
    • 西部の高原でコーヒー生産、中部・東部の低地で砂糖生産
  • ②スペイン
    • 18世紀にフィリピンにおける砂糖生産を拡大

5.東南アジア大陸部における統合の進展

(1)ベトナム

  • ①これまでの流れ
    • 前4C~:ドンソン文化…銅鼓が有名
    • 前2C~:中国支配…1000年以上にわたる中国支配
    • 10C~:中国からの独立…唐の滅亡後、ベトナム人の短命な諸王朝が興亡
    • 11C~:李朝大越国…最初の長期王朝。宋軍の侵入を撃退
    • 13C~:陳朝大越国…チュノムで有名。元軍を3度に渡り撃退。
    • 15C~
      • 短命な胡朝…1400年成立。急激な改革を目指す(~1407)
      • 明の支配…永楽帝が軍を派遣し胡朝を滅ぼし約20年間支配
      • 黎朝大越国…1428年、明を撃退して建国
  • ②内乱の時代
    • a.北部:黎朝の実権を有力者の鄭氏政権が支配
    • b.南部:阮氏一族が独自の政権を打ち立て江南王国を称する。→カンボジアを圧迫してメコンデルタまで勢力を伸ばす。
    • c.両勢力ともヨーロッパ勢力や日本の朱印船と交易を行う。
  • ③タイソン(西山)の反乱
    • a.18世紀後半、中部の西山村出身の阮氏三兄弟が蜂起
    • b.北部の鄭氏政権、南部の江南王国を滅ぼし短期間ながらベトナム統一を果たす(西山朝)。
  • 阮朝越南国

(2)ビルマ

(3)タイ