なぜ東南アジアではヒンドゥー教ではなく仏教が定着したのか?


アンコールワットってヒンドゥー寺院として建設されたわよね。のち仏教寺院となったけど。アンコールワットにもみられるように、東南アジアではヒンドゥー教ではなく仏教が定着したけど、これはなんでなのかしら?


これ中学生に世界三大宗教は?って聞くとヒンドゥー教とか言っちゃう(インドの人口が多いから)のと通ずるところがあると思います。


あるあるだわね。ここでヒンドゥー教民族宗教に過ぎないことが力説され、仏教の普遍性が教員によって説かれるのだわね。


そう、わかってるではないですか。ヒンドゥー教はヴァルナやカーストを前提にしていて、インド固有の社会と結びついているのですね。東南アジアでは大陸部で真臘が、島嶼部でマジャパヒト王国ヒンドゥー教を信仰しましたが、あくまでも支配層の権威の確立のために過ぎなかったのですね。


あー、確か地理でやったわね。【インド-アーリヤ人侵入以後閉鎖的地理環境-固定化】に対し、【東南アジア-東西交易路-流動性のある社会】だったのだわ。


このような民族宗教的な特性のヒンドゥー教に対して、普遍性をもったのが仏教で、世界宗教として地域・民族・階層を超えて信仰を集めたのです。


仏教はまず大乗仏教が4〜5世紀に入ってくるのだわ。シュリーヴィジャヤやシャイレーンドラ朝で信仰されたわね。【シャイレーンドラ朝-ボロブドゥール寺院-大乗仏教】は写真判定問題で何度も出題される大人気問題だわね。そして上座部仏教。11世紀にセイロンからビルマに伝わったのをかわぎりにタイ・ラオスカンボジアなどの大陸部に定着したわ。


ここで注意しておきたいのが、仏教が定着したのは東南アジアの大陸部ということですね。島嶼部では主にイスラームが定着しています。イスラーム世界の拡大のところでムスリム商人の交易網により東南アジア島嶼部がイスラム化するのをやりましたよね。


タイトルに対する答えでは、「ヒンドゥー教民族宗教であり社会的流動性の高い東南アジアでは定着しなかったこと」と、「仏教が持つ普遍性」を指摘すればいいのね。