『現実が見えてきたので少女を愛するのを辞めました。』の感想・レビュー

孤独に耐え兼ね筆を折った同人作家が、結婚家庭で肯定され、再び筆を執る話。
脱オタ後の婚活パーティーで知り合った妻はなんと主人公の同人誌の狂信者だった!
妻は主人公の今にも壊れてしまいそうな姿を見て、癒しを決意し家庭に迎え入れる。
妻はバツイチであることは明かしていたが2人の子持ちであることは隠していた。
しかし家族全体で主人公の性癖や同人活動を肯定しイビツでゆがんだ家族を構築する。
全個別ルートクリア後には、楽しそうに即売会に参加する家族の姿が描かれる。

愛宮麻衣ルート

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  • 同人誌に人生を救われたバツイチ子持ち看護師
    • この物語の原動力。本作は孤独に耐え兼ねた主人公が婚活パーティーに参加するところからシナリオが動きだすが、麻衣が主人公を見初めて家庭に迎え入れる。体験版の時点ではなぜ麻衣が主人公にアプローチをかけたのか、その意図が焦点になっていたが、麻衣もまた主人公と同じ性癖を共有していたのであった。若き頃の麻衣は自己の性癖に苦しみ一時期は自殺まで考えていたものの、主人公が描いた同人誌に出会い救われる。(この気持ちはとてもよく分かる。私も伊東ライフ先生の『やわらからんさま』を読まなかったら確実に過労死していたと思う。)
    • 主人公の同人誌に人生を救済された麻衣は、その恩返しにと主人公を救いたいと願う。婚活パーティーで出会ったのは偶然であったが、それからは能動的に孤独に陥った主人公のことを癒していく。主人公は麻衣に対して性的欲求を抱けないことについて苦しんでいたが、麻衣から性癖を吐露されたことにより共感を覚える。麻衣の性癖は主人公の性癖であるも同じだと知れ。すると主人公は麻衣の肉体ではなく、精神の在り方に対して欲求を抱くことに成功する。紅葉合わせのシーンはルイ15世とポンパドゥール夫人の逸話を思い起こさせる。こうして主人公は麻衣の種付けに成功し、本当の家族になるのであった。

 

愛宮琴莉ルート

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  • 父親に理想像を抱いているJS
    • 再婚家庭の娘その2。実父との思い出がないため、父親という存在に対して幻想を抱いている。JSだが女児アニメを卒業できていない為そのことを気にしているが、主人公が理解者であることを知って仲良くなる。主人公に対しては最初から好感度が高く、父親がいたらしたかったことを叶えていくことがシナリオのメインとなる。だが、風邪を引いた時に座薬を注入したことから性に目覚め、一輪車のサドルで快楽を味わってしまう。母親の美顔ローラーの持ち手の部分を菊座に挿入した結果、取れなくなって主人公に助けを求めるのだ。主人公は理想的な父親像と本能的な欲望の間で悩むが、妻はその関係を許容する。なんと妻は主人公の同人時代からのファンであり元々即売会などでも顔を合わせていたのだという。そして主人公の作品が世に生み出されることを望んでおり、母親的ポジションになることを申し出るのであった。こうして主人公は再び筆を執ることを決意する。主人公にキツく当たっていた娘その1(JC)も主人公の同人誌のファンであることが判明、さらには義姉にも受け入れられ歪な愛宮家が歪んだ幸せを構築するのであった。

 

愛宮碧ルート

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  • 父親という存在そのものに絶望しているJC
    • 再婚家庭の娘その1。離婚前の母親と父親の仲違いを目撃しており、父親という存在を良く思っていない。両親の離婚や母子家庭後の母親の過労を自分のせいだと思い込んでおり、家族を維持するために私生活を犠牲にしている。そのことが逆に母親の負い目にもなってしまっている。主人公に対しては邪険にしつつも、その家事スキルを徐々に認めていくことになる。
    • そしてついに碧の本性が明らかに。なんと碧は自ら慰めること頗る多く、その内容も多岐に渡るものであった。かつて碧は自らの本性に戸惑い、落ち込むこともあったが、主人公の同人誌を読むことによって自分の性癖を受け入れられるようになる。主人公が描いた同人誌群は碧にとってもまた生き甲斐と言えるものであった。主人公が自分の崇拝していた同人作家であることを知ると嬉しさの反面、戸惑いを隠せなくなる。
    • 碧ルートで焦点となるのは家族問題について。碧は何よりも家族を大事にしているため、母と主人公が夫婦のままの関係を継続し、さらに自分を女として愛して欲しいと願う。この願いは歪んだものであり、世間からは認められないものであったが、愛宮家ではいびつだが幸せな家族が作られることとなる。最後は母親がこれまでに集めた飯大臣先生コレクションを家族の前に公開し、主人公に再び筆を執ってみてはどうかと提案し、ハッピーエンドを迎える。

 

愛宮真姫ルート

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  • 姉妹間相互コンプレックス
    • 愛宮真姫は主人公の妻:麻衣の姉。しかしながら童顔かつ幼児体形でとても30過ぎた女性には思われない程であった。真姫は手に職をつけるべく経理の道を選んだが、その性格故に長続きせず職を転々とし、現在は失業者であった。そんな真姫は主人公によって女として見られることに喜びを感じてしまう。また麻衣に欲情できない主人公に対し、真姫と麻衣が幼少期に瓜二つであったことから、成熟した麻衣の中に未成熟な真姫との共通点を見つけられれば、麻衣に対しても性的な魅力を感じることが出来るのではないかと提案しズブズブの関係になっていく。真人間になろうとする主人公と悩みすぎて自滅していく真姫の葛藤などが描かれていく。
    • 真姫ルートで焦点となるのは、姉妹間相互コンプレックス。幼児体形であった真姫は、麻衣が成熟し人生の成功の道を歩んでいる姿にコンプレックスを抱いていた。その一方で成熟していく麻衣はいつでも愛らしい姿のままの真姫を羨んでもいたのである。さらに幼少期には姉妹の性格が逆であり、真姫は活発な麻衣のようになろうとし、麻衣はお淑やかな真姫のようになろうとしていたことも判明する。こうしてお互いに腹を割って話した結果、主人公・真姫・麻衣の3人の間で関係を持つこととなる。最終的には麻衣のことも蔑ろにしたくないという主人公に対して、麻衣は自分が主人公の同人誌の信者であることをカミングアウトし、主人公に再び筆を執らせることに成功する。


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体験版


参考