【下馬評】2021年8月発売新作ノベルゲーは何を買ったら良いですか?

2021年8月で一番注目されているのは、何といっても『月姫』リメイクでしょう。ユーザーの期待にようやく応え、20年の時を超えて装いも新たに新登場。ゼロ年代の路線を規定したことで歴史的にも重要であり、絶対にプレイしなければならない作品です。だがしかし……なんと遠野家ルートがない分割商法とはこれ如何に!?さらには家庭用ゲーム機でしかプレイできないとのこと!?NSもPS4も持ってないのですが、どうすればよろしいのでしょうか?PC版が出てくれることを祈るしかないな。

その他の作品群を見るとコンシューマ版の逆移植やスピンオフ・外伝などが中心であり、完全な新作はアトリエかぐやの抜きゲーのみというラインナップ。逆移植はさかき傘先生の学園異能バトルである『クロガネ回姫譚』と曲芸商法でおなじみの『ダ・カーポ4』。スピンオフ・外伝はシャッフル2の続編である『Princess×Princess』とCLOCKUPの『眠れぬ羊と孤独な狼』のエピソード集となっています。

しかし月姫ダ・カーポ、シャッフルと書くとここはゼロ年代!?って感じになりますね。ノベルゲー業界が一番熱気があったと懐古されることの多い時代です。

月姫 -A piece of blue glass moon-(TYPE-MOON) (2021-08-26)

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分割商法

 

D.C.4 Plus Harmony ~ダ・カーポ4~ プラスハーモニー (CIRCUS) (2021-08-27)

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  • お馴染み曲芸商法
    • 同じタイトルの作品を様々な媒体で微妙に変えてだし信者から金を毟り取ることで有名な曲芸商法。一体何作品あるのか把握することは困難であり、どれを買ったら良いかが分からないというのが作品の代名詞でした。本作、ダ・カーポ4もPC全年齢版、NS版、PS4版とあり、さらにもう1度PCに帰ってきたという凄まじいメディアミックス展開です。ちょっと全年齢版「4」の体験版を見直してきましたけど、シナリオよりもキャラ萌えに特化したキャラゲー風味だったことを思い出しました。あと絵師が多くて立ち絵がバラバラで違和感を拭いきれないという特徴もあります。主人公が「お助け部」として活動するというのもありきたりな展開ですが、本編の評価を見るとシリーズ独自の伏線をきちんと回収しているみたいですね。あとルート差が大きい模様。


 

Princess×Princess (Navel) (2021-08-27)

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  • シャッフル2のスピンオフ
    • 月姫ダ・カーポと来てさらにはシャッフルですか!?そう、ここはゼロ年代祭り。前二つと違って本作はきちんと体験版あります。内容としては過去の飛行機事故を解決するという内容。側室制度と並行世界がギミックになっております。主人公は幼少期に両親を飛行機事故で亡くしました。しかしこの飛行機は墜落したわけではなく機体ごと失踪するという謎の事件だったのです。この飛行機事件の遺族説明会で顔見知りになった同志がおり、彼女とは長年同じ悲しみを背負ってきたものの敢えて仲良くはならないという微妙な関係性を構築してきたのです。しかしながら正妻となった神界の姫君が後宮生活のメンバーに彼女を加えようと画策するのです。すると、どうでしょう。長年行方不明になっていた飛行機が突如出現したではありませんか。主人公はこの飛行機事件を解明すべく、機体の中に乗り込むも、そこは並行世界に接続されて珍騒動を繰り広げる……というのが、物語のアウトラインになっています。果たして主人公は飛行機事件を解明できるのか、側室制度はどうなるのか!?といったあたりがセールスポイントでしょう。


 

クロガネ回姫譚 -絢爛華麗- (みなとカーニバル) (2021-08-27)

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  • ライターさかき傘先生の2015年作品のリメイク
    • 中二系学園異能バトル。刀使いの主人公が異能学園で修行を積みながら対テロバトルの仕事をするという流れです。コンシュマー版は2015年1月の発売であり6年前の作品で点数だけは高いようですが感想は微妙なようでもあり、データ数も少なく何とも言えません。一応、体験版をやった限りでは手に汗握るバトル描写が展開され、局地的な点だけみれば結構面白かったです。しかしながらライバルとなるもう一つの学園との抗争は陳腐なように感じるため、全体の構造がどうなっているかで、シナリオとしての出来不出来が変ってきそう。主人公はトラウマ持ちであり、かつてテロで姉と幼馴染を亡くしてることがネックになっているため、それらを解消しつつ、どのように物語にケリをつけるのか。体験版の時点では主人公たちは可能性を示すために飼われているだけの存在であり、第三者から観測されているモルモットである模様。こういう箱庭世界モノはプレイヤーキャラが観測者の意図を超えて世界のコトワリを打破するところがオモシロポイントとなりますが、本作の場合はどうなるんでしょうね。異能バトルが好きそうな人は十分に楽しめるのかもしれません。


 

眠れぬ羊と孤独な狼 -A Tale of Love, and Cutthroat- 外伝 (CLOCKUP) (2021-08-27)

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  • 歌舞伎町のヤクザ抗争を中心とするエピソード集
    • 主人公は歌舞伎町のヤクザに飼われている殺し屋。数年前のヤクザ抗争の直接の引き金を引いた張本人であり、それをバラされたら殺されるため飼い主の仕事は断れないという設定。普段はラブホテルの清掃員をしており、歌舞伎町という生態系を遠巻きに眺めています。くたびれた冴えないオッサンが凄腕の殺し屋でのっそりとアウトローで大活躍するので、そういうのが好きな人向け。題材的にフツーの学園モノとかに飽きた人がやるのがよさそう。社会からはみ出たオッサンたちがたくさん出て来て人生訓を語るのは結構好き。下手な社会人モノだと説教になりがちですが、こういうボヤキは押し付けにならない程度に共感できますね。体験版では仕事終わりの娼婦を狙ってカネを舞い上げる事件が連続して発生。中にはヤクザにみかじめ料を払う店に所属する娼婦もいたため、メンツを潰されたも同然。大っぴらに調査ができないため、駆り出された主人公がぼやきながらも地道に歌舞伎町を捜査していくという流れになっています。歌舞伎町の雰囲気とかが割とよい感じに表現されています。


 

ねぇねぇ姉 (アトリエかぐや) (2021-08-27)

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  • おばショタゲー
    • 社会人のおばさんに高校男児が食われてしまう話。抜きゲー。おススメポイントはおばさん。JKやJDでは表現できないBBAがそのオバサンボイスを披露してくれます。学園モノだとやたらとキャンキャン甲高い萌え声で頭が痛くなってしまうこともありますが、本作はそんな心配とは無縁となっています。主人公は高校男児にしては低身長で童顔な男の子。体操選手であり、小柄な方が有利なため大会などでも活躍しています。しかし自分の体格と童顔であることを気にしておりシャイなところもあるボーイなわけです。そんな主人公には近くに住む従姉のお姉ちゃん(OL)がおり、正妻っぷりを発揮していたのですが、あら大変。主人公を狙う人は結構多かったのです。主人公はスポーツ選手としてメンテのために整体と歯科に定期健診を受けいていたのですが按摩師と歯科女医にモーションをかけられるんのです。きっかけとなったのはオバサンギャルの按摩師であり施術中に主人公に手を出してきます。これに気付いた歯科女医は今までおっとり清楚な信頼できる医師として振る舞ってきたことを止め腹黒な本性を曝け出し主人公を食いにきます。最後に主人公の従姉が、これまで大切に育てて来た弟分を、肉食なご婦人に食われてはたまらんとモーションをかけてきて、三つ巴の戦いが始まるというオバサンバトルロイヤルが展開されていきます。オバサン好きにはおススメなのではないでしょうか?