雑録

アニメ版『安達としまむら』観戦記 (全12話)

学校で授業をサボって時間を共有したことを契機に百合友情を育んでいく二人のJKの話。
当初はお互い適度な距離感を保ち、個人の事情に触れなかったからこそ築けた関係性であった。
その関係性は確かに二人だけのものであったが、しまむらにとってはその関係性だけが全てではなかった。
一方、安達はしまむらを唯一の存在とみなし二人だけの世界にズブズブと嵌り依存を深めていく。
人恋しさ故に懐いてくる安達をしまむらは受け止めるが、ただそれだけなのである。
安達に対するしまむらのドライさ(人間関係に対する無関心)が最大の見どころとなっている。
また思春期特有の人間関係に対する悩みが独白ポエムとして炸裂しそこが魅力の一つでもある。

【目次】

第1話 安達にはしまむらしか友達がいないが、しまむらには友達がちゃんといる

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  • 安達が心を開くまで
    • 安達(黒髪ショートの方)は学校公認の不良であると周囲から噂されており、授業もろくに出ていません。ある時、体育館の2階でサボろうとすると同じようにサボっていたしまむら(茶髪ロング)に出会います。安達は誰にも懐かない一匹狼の孤高の存在の様なキャラでしたが、根掘り葉掘り聞かず適度な距離感を取るしまむらとは同じ時間を共有するようになり、その過程において徐々に心を開いていくのでした。安達がしまむらに心を開く契機となったのがセミの死骸。自分たちにとってうるさいからという理由で窓を叩いたらひっついていたセミを落としてしまいます。ほっとくかと思いきや果敢にもしまむらセミを木に戻してあげるのです。何日生きて欲しいかと尋ねる安達に対してしまむらは15日と答えるのですが、ちょうどその日数経過後しまむらの手は汚れていたと安達によって述懐されます。直接セミの死骸を埋めた描写はなされませんでしたが、そのしまむらの行為は安達の心を打ったのです。

 

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  • しまむらにとって安達はone of themなんだけど安達にとってしまむらはonly
    • 授業に出ていないしまむらでしたが仲の良い友達はいました。安達はしまむらがサボっている理由として友達がいないからではと推測していたのですが実はそんなことはなかったのです。放課後、友人たちと街を流していたしまむらは偶然安達と出会ったのですが、お互いスルー。翌日、何事も無かったかのように二人でサボっていると、二人だけのアジールだった空間に、しまむらの友達が押しかけて来るのです。ビミョーな雰囲気になる中、しまむらの友人ズと昼食を共にする安達。いなくならなかったのはしまむらの交友関係を知りたいと願ってしまったからでしょう。翌日、安達がサボり場所に来なかったため、しまむらはその関係を諦めます。ここで読み切り作品なら二度と安達は来なかったで綺麗にまとまるくらいの完成度の高さ!いや個人的には本当にここでお別れのビターエンドでもいいくらいでした。しかしながら放課後には安達の方からしまむらに接触しまむらが友人と一緒にいなくて良かったと述べる安達は相当しまむらに拗らせてるなと視聴者に思わせるプレイが展開されるのでした。

 
 

第2話 安達はしまむらを独占したいが、しまむらは根底では人間関係など煩わしいと思っている

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  • 安達の沸点の低さ
    • 今回から安達はしまむらに誘われて授業に出るようになります。しまむらこそが安達の支え。ただし安達は束縛系女子であり好きな人が全部自分に向いていないと気の済まない面倒くさい女だったのです。だからこそこれまで孤独でいたのでしょうが、依存を深める安達はもう抜け出せない所まで来ていました。そのため、しまむらが安達の相手を忘れ、安達が知らない第三者とワイワイしていると機嫌を損ねて用があるから帰るねムーブをかまします。また、二人で昼食を摂っている際、しまむらの友人がご一緒するとこれまた気分を損ねてしまいます。今まで食べていた食事でも急に食べるのをやめ箸をおいてしまうほど。この安達という少女。すさまじく人間関係を拗らせてしまっています。これまでの描写で家族が描かれておらずバイトをしているという境遇からその背景が読み解けそうですが果たして。第2話の最終局面ではしまむらの足の間に座りたいとか言い出し、その唇に接吻したいという願望が漏れ始めるのですが、全くしまむらには相手にされていないのでした。

 

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  • 人間関係を煩わしく思いながらもそれを表に出さないからこそしまむらはコミュニケーション力が高い
    • しまむらしまむらで安達のことはプライオリティ的にそんなに優先度高くありません。また根底には人間関係など煩わしいとさえ思っているのです。ただしまむらはそんなことはおくびにも出さずにしれっとしているので良好な人間関係を築けているのでしょう。友人ズの二人に対しても、彼女らが幼馴染であり距離感が近く、自分とは異なる立ち位置だとしても、近づきたいとか取って変わりたいとかいう心情には至らないのです。安達に対してさえも関係を維持していくのは面倒くさいと心の底では思っており、それでも関係性を持っていれば良いこともあるというドライな立場を貫いています。安達にとってしまむらの足の間に座るという事は一大ビッグイベントだったのでしょうが、しまむらにとっては妹がいつもしてくれるフツーの行為なのであってここでも温度差が生じているところに面白みがあります。このままではしまむらに依存しきってしまう安達と、平然としているしまむらという構図が成立してしまいそうな予感。

 
 

第3話 しまむらの人間関係に対するドライさ(希薄性)

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  • 安達に対するしまむらの感情は3日経てば忘れる程度のもの
    • †「安達に無視されているのだとしたらいくら私だってそれなりに落ち込んでしまうだろう。でも3日くらいでそれも受け入れて、ケロリとしているんだろうなぁと思う。それを口にすることで反感ないし嫌な気分を生むことは分かっているので、誰にも語ることはないけれど」
    • しまむらの家に遊びに行った安達だが距離感を掴むことが出来ず唇を求めてしまいます。我に返った安達はその場を逃げ去り連絡も取りません。ここでしまむらのスゴイところは、わざわざ安達の家まで訪問しに行くこと。上記のようなドライなポエムを吐く一方でお姉ちゃん気質でもあるしまむらは安達のことを放っておけなかったのでしょう。または安達を自分にとって都合の良い存在として無意識に飼い馴らそうとしているのかもしれません。天然ジゴロというかタラシなしまむら劇場をお楽しみください。
    • 今回はしまむらの友人ズの百合友情タイムもあります。元気っ子お下げと眼鏡ホルスタインの幼馴染百合が展開されます。眼鏡の家に入り浸るオサゲに対し、眼鏡は一瞬なぜ当たり前のように家にいるのかと疑問に思いますが、その答えはすぐに思い至り、オサゲに対してデコチューをかますのでした。幼少期には1日中百合百合しくしていたそうです。安達としまむらの複雑な人間関係だけだと重すぎるので、メインにはならないけど幼馴染ズの百合もいいよね。スピンオフとかされそう。

 

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  • しまむらにとって安達は重荷にしかすぎない
    • †「私が少しずつ削れていって摩耗していく感じだ。でも一人は退屈だ。それは孤独よりずっと辛い。耐えがたい病気だ。それに対抗する薬は人との間に生まれる見えないものしかないんだろう。だから私はこれからも摩耗していく。自分を保つために少しずつ失っていくのだ」
    • 安達と復縁したしまむらは要望に応えてデートしにいくことになります。安達が息を切らしながら喜び勇んで待ち合わせ場所に辿り着くと、しまむらは超絶美少女とイチャコラしていたのでした。ここでも温度差が生まれており、安達にとっては何よりもしまむらと二人きりになりたくて仕方が無いのに、しまむらにとって安達は孤独を埋める為だけの手段にしか過ぎないのです。そのため、3人でワイワイできればそれでいいと思っていたのでしょう。逃げ去ろうとする安達を捕まえます。安達は安達で幼女に対抗意識を丸出しにし、しまむらを巡って闘争本能を滾らせます。それを見せられたしまむらは辟易。帰宅後、人間関係の煩わしさを露わにするのでした。しまむらが安達に引き寄せられたのはあくまでも学校空間においてサボりという非日常の孤独を紛らわせるためであり、必要以上に安達の好感度が上がってしまい適度な距離感を保てなくなるとめんどくささが先に立ってしまうのでしょう。

 
 

第4話 安達がしまむらに求めていたものは幼少期に得られなかった母親のアタッチメント

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  • 安達の家族問題
    • 第三話末尾で人間関係に摩耗したしまむらでしたが第4話ではアッサリ復活。母親と一緒にジムに出かけます。そこで出会ったのが安達の母親。通りすがりに若さで絡まれ、サウナでは娘に対する愚痴を聞いてしまいます。これを流せるほど、しまむらは人間ができてませんでした。安達が人間関係に不信感を抱くようになってしまった原因はその親にあったのだと義憤に駆られるのです。オイ、煩わしい人間関係が嫌いといった設定はどうした!?安達の母親はまだまだ子どもよりも自分を優先させたいお年頃。ママだって輝きたいとかいうキャッコピーが浮かびそうな勢いですね。しまむらはサウナ耐久勝負をふっかけ、子どもに良い母親面をしろと食って掛かるのです。ですが母親は母親で娘に対してどのように接すればいいか分からなかったのです。何かしてあげればそれに対する反応が欲しいというのが人の情かもしれませんが、無反応な子供に嫌気がさしてしまっていたのでした。しまむらは友人が悪く言われたからだけではなく自分の妹が人見知りが激しいこともあったのかもしれません。兎にも角にも、しまむらは安達が家族に問題があり母親の愛情が欠落していることを知ったのです。

 

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  • 人前で歌うのが苦手なら何故しまむらはカラオケを提案したのか(多分苦手と言ったのは安達に対する気遣い)
    • しまむらは友人ズと遊びにいくことになったのですが、それに安達を誘うこととします。カラオケ(しまむら)、食事(眼鏡)、川(おさげ)と三択が出され、安達はカラオケを選びます。ここで繰り広げられるのが安達のポエム劇場。この作品は本当にポエムが見どころ!思春期の少女たちの心情が痛々しいほどに表現されていて作品に情緒を醸し出させています。集団で集まってウェーイするしまむらを、どこか無理していると勝手に解釈し、二人でいる時のしまむらこそが本当のしまむらだと理想像を押し付けてしまう安達の姿は一見の価値ありです。カラオケ散会後、公園に立ち寄る二人でしたが、そこでしまむらに安達が求めたのは頭を撫でて欲しいという要望でした。この行為は、安達が母親からの愛情を受けていないことを知っているしまむらにとって重要なふるまいだと位置づけられるでしょう。またもしかしたら安達がしまむらを求めるのは母親の愛情の代替物であるとしまむらが解釈してしまうかもしれません。一方あだちはしまむらにおごってもらったジュースの空き缶を棄てずにとっておくという位病み始めています。そしてしまむらへの好意を自覚するのでした。

 
 

第5話 超巨大感情をぶつける安達に対して、それでもしまむらは関係破壊後の修復に要する労力ということが真っ先に浮かぶ

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  • Pity is akin to love.
    • †「なんでと言いそうになり言葉をとめる。なんでクリスマス、なんで私と、なんでと聞いてしまうと私たちの関係性の脊髄がぐにゃりと曲がってしまいそうな気がした。それは直すのに多大な努力と手間暇が必要で、私はそこまでするのかと考えると、寒々しい答えがすぐに見えてしまう。」
    • しまむらが安達に対して抱いているのは一種の憐憫の情のようなものであって、それは「よりもい」で例えるとめぐっちゃんが抱いていたようなものなのかもしれません。今回は安達がクリスマスデートにしまむらを誘いたいと思いながらも誘えずドギマギする様子を眺めることになります。そんな安達を見てしまむらは幼稚園時代における安達的ポジションであった友達を想起します。しまむらの後ろに金魚のフンのようにいつもくっついていたその存在。しまむらが抱いたのは憐憫か優越感か。そしてそのかつての友人が自分の興味を優先してしまむらから離れると喪失感を抱くという複雑な心境を思い出すのです。これは現代の時間軸においても再現されており、安達の一世一代のお誘いに対して、しまむらは安達の家庭環境に帰結させて、哀れみの観点から自分を納得させます。そのくせ、安達がイイワケをすると他に友達がいないから自分は代替品なのだと解釈しソウルジェムを濁らせるのです。

 

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  • いやマジ日野と永藤は清涼剤
    • この作品は安達としまむらの距離感に絞って話を展開しているので、視聴者にとっては感情が動かされて仕方がありません。そのためしまむらの友達ポジションで出てくる日野と永藤が展開する百合友情描写は本当に心の安らぎになります。今回は日野が永藤の肉屋のゆるキャラを考える話なのですが、例の如くご褒美として永藤からデコチューが与えられることとなります。しかしながらデコチューではなくガチレズの雰囲気を漂わせるのです。結局はデコチューなのですが、永藤のママンにばっちり目撃されており、ホント仲良しねとコメントされると、日野はそれを否定しかけてしまい永藤にジト目を向けられた後に肯定するという凄まじい百合っぷりが展開されます。おススメ!

 
 

第6話 しまむらが永藤に安達の為のプレゼントだとは言わず妹へのプレゼントであると偽ったのは何故か

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  • 安達としまむらは相手のクリスマスプレゼントを買うため違う友達と出かける
    • しまむらをクリスマスデートに誘うことに成功した安達。クリスマス用のプレゼントを買わねばならぬが何にしたらいいか思い当たりません。そこでしまむらの友人の一人、日野の力を借ります。安達が何も言わなくても高い洞察力により、その関係性を見抜き受けいれる日野。お茶の葉の専門店でしまむらが香りを気に入ったという茶葉を購入しに行くことになります。無事に購入し、茶をしばいていた二人でしたが、そこでしまむらと永藤が二人で出歩いているところを目撃してしまうのです。ショックを受ける安達と日野。しかし視聴者が予想した通り、はいはい、お互いがクリプレ選んでたんでしょと予定調和のオチ。しかし注目しておかなければならないのが、しまむらは永藤に安達宛のプレゼントということを隠し、妹の為のプレゼントであると偽ったこと。そのためプレゼントの内容がブーメランとゴーグルになってしまうのでした。しかしそこは安達。しまむらからおごってもらったジュースの空き缶まで取ってあるほどの人物です。モノが何であれ、しまむらがくれたという事実が安達にとってウェイトを占めるのでした。かなり病んでしまっています。ところで日野もショックをうけいていたのですが、次回予告の場面で永藤からクリスマスの夕食のお誘いでチキンカレーを提示されるとアッサリ和解するのでした。それはそれとして日野が茶葉を選ぶとき頑なに家の人って言っていたのが気になります。もしかしたら永藤の家に入り浸るのには理由があるのかも。

 

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  • 友達に優劣や順序をつけるのはしまむらが安達に飽きる要因になりそう
    • クリスマス当日の夜。プレゼントのブーメランで遊び、良い雰囲気になったところで安達からの告白タイム。安達はしまむらの一番の友達になりたいと告げるのです。しかしここでもしまむらは塩対応を炸裂させます。言われた直後の表情は後ろ向きで判断できませんが「一番……?」と淡々と返し、能面のような表情で「そうですか」と述べ、さらに「良く分からない」と追加攻撃を決めます。最後は頭を撫でながら向上心があるのは良いことと綺麗な風にまとめてしまい、安達の超巨大感情を流してしまうのでした。安達が勇気を振り絞ってした告白もしまむらの心には届かず。クリスマスデートの際に、安達はしまむらが唯一可愛いといってくれたバイト先のチャイナドレスを着こむなど勝負服で挑んでいるのに対し、この温度差の違いがたまりませんね。安達自身も温度差を自覚しているし、自分の百合的感情を持て余しているので、いつかしまむらが安達との関係に飽きてしまった時や、維持する労力に見合わないと判断された時に安達がどうなってしまうのか恐ろしいですね。

 
 

第7話 しまむらにとっての一番の友達とは2ヶ月後の進級時に途切れても仕方がないという程度の関係性

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  • しまむらは現在熱中できるものがないだけで何か見つけたら平然と安達を切り捨てそう
    • †「安達は日常を走る流れの中から踏み出そうとしている。踏み出す方向は何故かいつも私を向いている気がしてならないけど、その決意とか覚悟は大したものだなぁと感心してしまうのだ」
    • 季節はクリスマスから年末、そしてバレンタインへ。安達はまたもや挙動不審になっていきます。しまむらはクリスマス時における安達の決意に関し、安達はもう既に1番の友達とか述懐しながらも、それは温度差を意識したものであり、進級時に安達との関係が途切れる可能性も平然と視野に入れています。すなわちしまむらにとっての1番とはその程度の1番なのです。それ故、安達がしまむらに対しバレンタインでチョコの取り換えっこをしたいということをなかなか言い出せず、約束できた後に達成感を抱いていることについても心情的に何ら共感できないのでした。喜ぶ安達を尻目に自分たちの関係性を日野と永藤の関係性と対比し、そこまではないと断言した挙句「安達とは何年くらい一緒にいられるんだろう。高校卒業まで?いや、進級して別のクラスになったらそこで途切れることだって……」とあくまでもドライに捉えています。しまむらにとって安達の存在は常日頃、日常を退屈なものとしてきた人生にほんの一筋の明かりを照らす程度なのです。

 

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  • しまむらの過去の友達が現る。しまむらは彼女を平然と1番の友達とか言いそう
    • 視聴者が気になるのは、なぜこんなにもしまむらはドライなのか。人間関係どころか自分の人生にすら無関心なところがあります。これまでの放送でしまむらには幼稚園時代に仲の良い友人がいたことが伏線として張られていましたが、多くの視聴者はきっと彼女と過去に何か問題があったのだろうと推測していた筈です。そのフラグは見事ED後のC-partで回収されます。なんと数年の時を経て、永藤の肉屋で再会することになりました。しかも「また」と更なる再会を期しただけでなく、電話番号の交換まではたしています。つまりこれは、しまむらの友人としての優劣や順位を巡る争いになることが確定的明らか。第2話の時に人間関係の軋轢に辟易していたしまむらでしたが、これをきっかけとして安達を切り捨てることにも繋がりそうです。視聴者はいつしまむらの心が安達から離れてしまうのか時限爆弾を見るような気持ちで眺めていることでしょう。

 
 

第8話 依存を深める安達と依存されることに快感を覚えるしまむらだが、安達がしまむらではないといけないのに対してしまむらは自分を求めてくれる人がいればそれでよい

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  • 手作りチョコの画像を送りつけて自己嫌悪する場面が今回の安達ハイライト
    • バレンタインの日にチョコの交換っこを約束した安達としまむら。しかし二人の温度差は果てしなく、興奮した安達は占いにまで縋りついていきます。髪型をポニーテールに変えてみたり、桃鉄系双六ゲームに興じたりと占いに刺激されいつもとは違うことをすることで、安達はどれほど自分がしまむらを好きなのかを実感していくことになります。しかし時にはその溢れんばかりのクソデカ巨大感情をしまむらにぶつけてしまい辟易されてしまう始末。バレンタインに向けて手作りチョコに挑戦し、その練習風景をイチイチ送りつける安達の様子をご覧ください。我に返った安達が何をやっているのだと自己嫌悪しグチャグチャになったチョコをつまんで何もしない方が美味しかったと悔恨するシーンが注目ポイント。もしかしたらこれは安達としまむらの関係を表すメタファーであり何もしない初期状態の方が良かったであろうことを示しているのでは?と予想するのはさすがに深読みしすぎでしょうかね。安達がしまむらにとって特別な存在になりたいと思いながらも、しまむらの性格上決してそれは報われることがないのですが、そんなしまむらだからこそ安達の依存を受け止める壁になれるという複雑な関係。

 

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  • 他者受容願望により承認欲求を満たそうとするしまむら
    • 一方今回はしまむらの他者受容願望も描かれました。母親から妹たちの世話を頼まれ映画を見に街へ繰り出すしまむら。知り合いの幼女が学校にも行かずプラプラしているのを見過ごせないしまむら。幼少期には樽見の手を引いて面倒を見てあげていたしまむら樽見からお礼を言われて満更でもない気分になるしまむら。以上のように天性のお姉ちゃん気質であるしまむらは他者から頼られてその力になることに快感を覚えるタイプであったのです。即ち、安達を受け止めてあげているのも別に安達だからというわけではなく、たまたま安達だったからというだけ。それを浮き彫りにさせるために登場したキャラクターがしまむらの過去の女である樽見しまむらとっては安達でも樽見でもそれ以外でも自分を慕ってくれればそれでよかったのかもしれません。そしていよいよ次回は安達と樽見しまむらを巡って激突か!?人間関係にドライなしまむらがどのような行動に出るか楽しみです。

 
 

第9話「連日別の相手と名古屋デートをするしまむら

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  • 安達と抱擁を交わし、慈愛を注ぐしまむら
    • バレンタイン当日、しまむらがデートの約束をすっぽかすのではないかと気が気ではない安達。しまむらの忘れてないからねと言う何気ない仕草が輝いて見えるほど。安達のバレンタインの作戦は、名古屋へデートに行きそこでしまむらの好きなチョコを一緒に選んでもらおうというもの。しかし、しまむらは妙に名古屋へ行き慣れている様子。一体なぜ!?……もしかしたらしまむらはもう既に樽見とバレンタインデートをしており今回はその焼き直しなのかもしれない……と不安に思いながら見守っていると、案の定予感は的中!前日、しまむら樽見とチョコを買いに名古屋に来ていたのです!!作中の放送ではしまむらが安達及び樽見と交遊する様子が対比的に描かれています。数年のブランクがあり過去の中のしまむらを求めて来る樽見とはぎこちなくなってしまった一方で、現在のしまむらを信奉する安達とは向けられる巨大感情にたじろぎながらも気安い時間を過ごすという演出になっています。しまむらからチョコを貰ってすぐ食べはじめホッペをムニムニされる安達の描写やしまむらにチョコを食べさせたがる安達の様子が見所となっています。最後は、しまむらが気まぐれに行った電光掲示板メッセージが炸裂します。しまむらが一番初めに思い浮かんだのは安達であったと。感極まった安達は思わずしまむらに抱き着きます。さらに「いきなり」抱き着くことを禁止されるとじゃあ許可を取ればいいのかと追撃し、しまむら公認のもとで抱擁を交わすのでした。孤独がちであるが故に人間の温かみを求める安達にしまむらの慈愛が降り注いだのでした。

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  • 幼友達を喪失する危機に直面して触れたくない黒歴史を受け入れるしまむら
    • 安達とのバレンタインデートの前に樽見と名古屋デートをするしまむら。その際、樽見は過去の中のしまむらを要求してしまったがために、過去を黒歴史と見なすしまむらとぎこちなくなってしまいます。おそらく樽見は過去のようにしまむらに甘えたかったのかもしれませんが、しまむらはそれに答えることはできなかったのです。樽見と接することを億劫にさえ感じてしまうしまむらでしたが、それでも孤独を極端に恐れるしまむらは人間関係の維持に縋ってしまうのです。前回樽見との別れ際には「また」と再会が約されたのに対し、今回の名古屋デートの別れ際で関係の終焉が匂わされれるとしまむら黒歴史を受け入れる決意をします。ここで恒例の思春期ポエムが発動し、しまむらのモノローグが入る所が今回のハイライト……「私の過去は茨で繋がっているから、触れるとあの頃の未熟な自分に傷つけられてしまう。それでも茨に手を伸ばしてみたくなる時だってある。棘が刺さり血を流すことになっても。」……しまむらが過去のような明るく人懐こい性格から、淡泊でドライになったのは一体何に起因しているのかを非常に気にさせるポエムとなっています。黒歴史を受容したしまむらが、樽見に対し「樽ちゃんって言ってんだろぉ~」をやるところはグッと来る展開です。それにしても連日違う相手と名古屋デートするしまむらのジゴロっぷりを見よ。

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第10話「安達との関係が自然消滅しかけるしまむら

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  • 物事に執着しないしまむらを繋ぎ留めておくためには
    • †「クラスが変わったら積極的に遊ぶほどの仲でも無いと思う。こう振り返ってみると、私は継続しない。人間関係をほとんど持ち越さない薄情なやつなのかもしれない。けど、私はこう考える。どこまでも共に流れていくほど強い関係はめったにない。運命の川に長く浸れば、絆もふやけて千切れてゆくものだと。」
    • 今回のお話では、安達と樽見を対比させながら、しまむらを繋ぎとめようとする二人の対応の違いが描かれていきました。安達は新学期に際してしまむらと同じクラスになれるかどうかで悩み、無事に同クラになると身体全体で喜びを表現します。安達の考えでは、しまむらと別のクラスになってしまえば、しまむらは安達に会いに来てくれることなどないだろうと危惧していたのです。しかし、同じクラスになったからといって安達の思惑通りに事が進むわけではありませんでした。なんと同じクラスになってなお、新しい人間関係が構築されると、しまむらは自ら安達に話しかけにいくようなことはしなかったのです。いや、しまむらは安達に話しかけようというムーブをみせたのかもしれませんが、安達はしまむらの新しい友人たちにビビってしまい逃げ出してしまうのでした。執着心の薄いしまむらにとって安達との関係はここで終了。学校に来なくなった安達を気にしながらも、自ら動き出すことなく終わってしまうのでした(『安達としまむら』【完】)って感じ。これはこれで思春期の少女たちの人間関係を描き出したビターエンドとして、ある意味完成しているとも言えます。
    • 安達との関係が自然消滅していくなか、幼馴染である樽見からしまむらに遊びに行こうという誘いが入ります。来るもの拒まずなしまむらはそれに応じますが、上の空状態。そんなしまむらを必死に繋ぎとめようとする樽見の必死の努力がいじらしく描かれます。お好み焼きを焼いてあげて空白の時間を埋めようとする樽見、雑貨屋に行ってお揃いのアクセサリーを求める樽見しまむらの執着心の無さを指摘する樽見、再び友達になりたいとしまむらを求める樽見。人間関係を途切れるままにまかせるしまむらと舫を結ぶためには、ここまでの労力が必要なのです。それでもなおしまむら樽見に対してドライな感情を抱いたまま。そして関係性に疲れてしまいアイデンティティ拡散の危機に陥ったしまむらを救うのはいつだって幼女。しまむらさんはしまむらさんですよーという言葉がしまむらを救うのでした。
    • 終局部ではついに安達のターン。安達との関係性を消滅させたしまむらの前に安達が現れます。次回予告から類推するに、しまむら新友人ズとのランチタイムに自分も混ざろうとするのでしょう。安達の行動に新友人ズはドン引きの様子。さらに、ついに安達と樽見に接点が生まれる模様。残り話数は少ないですが、しまむらが淡泊になった理由とかあるんでしょうかね。気になります。

 

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  • 日野と永藤のターン
    • 安達としまむらの陰で密かに進行している「日野と永藤」。いつもは永藤の家に入り浸っており謎のヴェールに包まれていた日野でしたが、ついにこれまで伏線として張られていた旧家のお嬢様フラグが回収されました。日野と永藤は今年も同じクラスになり、日野の家に遊びに行くことになります。その日野の家こそ和風建築の豪邸だったのです。さらに日野のママンは永藤の名前すらはっきりと覚えておらず、友人と遊んでいる時にも関わらず家の事情を優先し、客が来ているから挨拶せよと日野を連れ去ってしまうのでした。家制度に縛られている日野は自分が日野家の娘としてしか求められておらず、個人としての日野は見られていないことに鬱屈を感じていました。しかしそんな日野がグレることなく成長できたのは幼少期から日野に愛情を捧げてきた永藤のおかげ。まさに慈愛。日野が永藤からの愛情受けなかったら安達のようになっていたかもしれなません。お風呂で不満をもらす日野をその母性の象徴で包み込み頭を撫でるシーンは今回の名シーンでした。おススメ!

 
 

第11話「しまむらとの関係性を必死に繋ぎとめようとする安達は、求められるのも悪くないとしまむらから言われて感涙する」

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  • 人間関係を維持しようとするなら自ら動かなければダメだというお話
    • †「私としまむらの間に劇的な何かとか、特別とかそんなものは一片も生まれていなかった」
    • 高2に進級し同じクラスになったものの関係性が自然消滅しかける安達としまむらしまむらからは決して安達を求めることはないため、このまま「あだしま」(完)となるところでした。しかしこのままではシナリオが進まないため、安達を突き動かすきっかけとして用意されたのが、新キャラの先輩と占い師でした。占い師は巧みに安達を扇動するとウジウジしていた安達を焚きつけてその気にさせていきます。また新キャラの先輩は安達の悩みを巧みに見抜くと文庫本に栞を挟み、安達を後押ししたのでした。こうして人間関係を欲するのなら自ら動かなかければならないことを悟った安達は、しまむらとの関係を維持するため、己の悩みやプライドや葛藤などつまらない感情を全て捨て去るのです。自らの過ちを反省し、逃げないぞとしまむらを求める安達の姿は今回の見どころとなっています。安達は、しまむらが仲良く新しいグループでランチタイムを過ごしている中に乱入、なりふり構わずそこへ突撃。しまむらの人間関係を叩き壊してでも、自分がそこに割り込んだのでした。

 

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  • しまむらに求められるのも悪くないと言われ感涙する安達
    • 今までしまむらと触れ合えなかった分、過剰にしまむらを求める安達。樽見も安達もしまむらの手を握ろうとするのを見て、自身が飛んで行ってしまうと思われているのではないかと自己分析するシーンは言い得て妙。しまむらは安達の家庭環境を(偶然にも)知ってしまっているので、最早完全に対等な関係は崩壊しており、姉そして母のような気分で慈愛を注ぎ、犬のような安達の忠誠心に心くすぐられているという何とも歪んだ関係。しまむらと電話したがる安達には一応付き合ってあげながらも、安達との話が弾まないとさっさと電話を切ろうとするしまむらムーブをとくと見よ。樽見や安達からの好意を重荷に感じつつも、求められるのは悪くないと述べるしまむら。そんなしまむらの言葉に安達は(勝手に)感じ入ってしまい。感涙するのでした。人間関係に冷淡で希薄なしまむらだからこそ樽見や安達のクソデカ巨大感情を巧みにいなして付き合っていけるんだよなぁと。しかし人間関係をなぁなぁで済ませてきたしまむらに選択の時がやってきます。安達はしまむらがいればそれでよいと覚悟と決意を示したため、ここで安達を選んでしまうとしまむらは束縛されることとなります。果たしてクールでドライなしまむらが安達との人間関係にどのような落とし前をつけるのか。最終回へと突入します。

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第12話「しまむらがついに安達のために能動的な行動を起こす」

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  • しまむら「まっ、いいか」
    • 前回の放送で自然消滅しかけたしまむらとの関係を繋ぎとめた安達。今回はさらに一歩踏み込んでお泊りをねだります。きっかけとなったのは日野と永藤。二人して同じシャンプーの香りを漂わせていたことから一緒にお泊りをしてそのまま学校に来たことが判明。これを聞いて羨ましく思った安達は自分もしまむらと友情を深めるためにしまむらのおうちにお泊りしたいとか言い出すのです。はじめは渋るしまむらですが強くなった安達は猪突猛進し、許可を得ます。家族もおおらかだな!しまむらのマッマは娘のことをそれとなく心配しており安達が家に来るのは大歓迎のようで食事をもてなしお団子でティータイムにしゃれ込みます。
    • そんなお泊り回が展開された今回のポイントとなるのは、ついにしまむらが安達のために能動的な行動を起こすということ。今までのしまむらは、孤独になることを恐れるがゆえに人間関係を構築するも、その維持のためのモチベーションが続かず、表面的なあっさりとした関係しか持つことができませんでした。クールでドライ、達観しているしまむら。そんなしまむらが自らお揃いの髪飾りを安達に買ってくるところが最大のハイライトとなっています。やはりお泊りイベントというのは関係性を深めるうえで効果が高いのか……。
    • そしてそれは髪飾りだけにとどまりません。ドライなしまむらは将来には今の人間関係が崩れ、人は自立し一人になっていくことを十分に認識しながらも、自ら安達を求めるのです。こうして安達の熱心な想いがしまむらの心を動かす形でハッピーエンドを迎えます。1話を視聴した時点では安達としまむらの関係は対等なのかな?と思っていましたが、こんなにも安達が拗らせたクソデカ巨大感情を持ち、それを全ていなしていくしまむらという構図になるとは思いませんでした。すごい百合のかたち。

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