【目次】
0.実存主義の背景
0-1.大衆社会の成立
- ①資本主義 → 人間疎外の状況(画一化) → 無力感・不安感・孤独感を日常の惰性的生活で癒す →大衆化
- ②大衆の特性
- 「個性的で主体的な真の自己」を創造していくことを放棄して、安易で怠惰な日常性(マイホーム主義、家族生活、大衆娯楽)へ逃避する。
- 無気力に世間的常識や流行に自分を順応させ、きびしい自己創造の自覚的努力を放棄し、一般的な平均人として生きる。
1.キルケゴール【超越者との出会い】
1-2.例外者と主体的真理
- a.現代はニンゲンが画一化・平均化している「水平化の時代」⇒個性的、主体的に生きる人間、真に実存する人間が必要 ⇒単独者、例外者として生きる人間!!
- たった一度しかない自分の人生を納得のいくように生きること・自分を見失わずに独力で己が人生を切り開くこと・自由な主体として生きること
1-3.宗教的実存
- 実存の三段階
- ①美的実存…官能的で享楽的な生き方 →絶望 → 倦怠、虚無、不安
- ②倫理的実存…良心に従う、あれか、これか → 絶望 → 自己の無力、有限性
- ③宗教的実存…単独者として神の前に立つ
- 絶対者と実存
- 自己の自由な決断(理性ではなく信仰の熱情)によって、絶対者としての神と結びついたとき、真の人間性の主体性が実現される。
2.ニーチェ【神の死と超人】
2-2.超人
①キリスト教道徳(奴隷道徳)からの人間性を解放せよ!!
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②「神は死んだ」:既成の道徳や価値観、人間が支えとしてきた一切の価値を破壊。
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③では、神に代わって何を目標とし、何を支えとすべきか?
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④「超人」…力への意志に燃え、イキイキとした人生をおくり、新しい価値を創造する人間
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⑤現実世界を「永劫回帰」と認識。(世界には目的もなく、意味もない、永遠の繰り返しであり、同一の姿・順序での生成流転の世界であるとする考え方)
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⑥運命愛…ニヒリズムの世界を直視、肯定し、愛し、「これが人生か、ならばもう一度」と運命を受容する。無意味な人生の悲惨さを乗り越え、ニヒリズムを克服しようというのが、神無き世界を生き抜く超人の姿。
3.ヤスパース【実存的交わり】
3-1.限界状況
①限界状況(死・苦・戦い・罪)に直面
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②自己の有限性を認識
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③包括者(超越者)との出会い
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④他者との実存的交わり(愛しながらの戦い)
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⑤実存に目覚める(理性的思考により解明)
3-2.自己の有限性の自覚
- 限界状況に突き当たることで、人は包括者を知ることができるようになる。
- 実存は、ともに生きる他者との全人格的な交流(実存的交わり)によって解明される。
4.ハイデッガー【死への存在】
4-1.「存在とは何か」
①事物や人間が存在するとはどういうことなのか?←フッサールの現象学の影響
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②現存在(ダーザイン)…「存在するとは何か」ということや「そもそも何かが存在するとはどういうことか」を問うことが出来る存在。事物的存在(モノ)は単に存在するだけだが、現存在(ヒト)は存在の意味を問うことができる。
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③世界内存在とは?…人間は世界の外部から世界を客観的に眺めることはできない。常に世界の内部から世界を解釈して生きている。現存在は世界の中に投げ出され(被投性)世界のうちで世界にかかわる。
4-2.「ダス=マン」への頽落
①世界内存在としての人間は、周囲に合わせて行動し、主体性を喪失
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②没個性的な、誰にもあてはまる既製品のような人間へと頽落した人間=「ダス・マン」となる
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③人間は本来的に死へと投げ出されている存在であるが・・・
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④不安から目を逸らし、逃避や気晴らしのため、日常生活に埋没し、おしゃべりにふけり、好奇心の虜になり、曖昧さに安住している。
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⑤存在の忘却(「存在」とは何かなど問わなくなる)と故郷の喪失(本当の自分とその拠り所を見失って生きる)
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⑥人間は「死への存在」であることを自覚せよ。「死への先駆的決意」
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⑦現存在としての人間は「死への存在」であり、死という有限性を自覚することによって、本来の自己の生き方である実存に達する。
5.サルトル【自由と責任】
5-1.「実存は本質に先立つ」…人間はまず存在し、そのあとで自らを作り上げていく。
①投企的存在…人間は将来を選ぶ自由をもち、自分自身を作り上げていく存在
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②事物はそれ自体で存在する「即自存在」だが、人間は未来に向かって新しい自己を形成しようとする「対自存在」である
5-2.「人間は自由の刑に処せられている」
・自己の人生は自己の自由な意志によって決められるが・・・その責任はすべて自分にある。
・自由であることは、きわめて厳しく、重荷のように私たちに覆いかぶさってくる。
・人間は自由から逃げられないので、不安を乗り越え、自由にともなう責任を貫く必要性がある