【感想】小林さんちのメイドラゴンS 第3話「課外活動(もちろん普通じゃありません)」【レビュー】

今回のテーマは幼少期の体験・服装・趣味に関する日常哲学の話。
異種族の立場から人間属(日本人)の文化体系を相対化していく。
幼少期については子ども時代を経験しないと歪みが生じるということ。
服装については自分が着たい服を似合わないと言われたことのトラウマ。
趣味については興味関心が無いと面白さを感じることが無いということ。
小林さんの家が溜まり場になっているのがほっこりする。

文化の相対化について

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  • 幼少期の体験について
    • 人間に村を焼かれたドラゴン。早くから大人として振る舞うことを強いられ、子どもとしての時代を過ごせませんでした。そのためトールと同い年であるものの、遅まきながら子ども時代を追体験していくことになります。きっかけになるのはカンナとそのガチ百合の少女。当初は自分の存在が和を乱してしまうと押し入れで膝を抱えていましたが、たまたま遊びに来た年長者のドラゴンの粋な計らいによって、心を開くことになります。ガチ百合少女は尿意ビームをくらうと一緒にトイレに閉じ込められることとなり、そこで胸襟を開くこととなるのでした。自虐ムーブに対しガチ百合は自分も良くない感情を抱いたこともあったと吐露し、生きている以上他社に対していやな気持ちを抱くこともあると語ります。こうして共感を得ることになり、一緒に遊びに加わったのでした。幼少期に人間と遊んだことが心象風景として強く残存しているこのドラゴンにとってトラウマが解消された瞬間でした。

 

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  • 服装について
    • 実はフリフリな服が好きだった小林さん。学生時代にフリフリの服を着たら家族に笑われ、それがトラウマになりジェンダーレス・ユニセクシャルな服ばかり着るようになってしまったとのこと。小林さんのことを想うトールは仲間たちを集めて、小林さんに似合うフリフリの服を考えることになります。すったもんだを経て、メイド服とは心の持ちようであり、メイドが着ている服はそれすなわち全てがメイド服になるという独自研究が展開されます。常にメイド服を着ていられるわけではないけれども、メイド服以外の時にメイドではないかといわれれば、決してそうではなく、学生服だろうがなんだろうがメイドなのだと。このメイドロジカルな語りを聞いた小林さんは自らの心情ともう一度向き合うことになります。小林さんが過去の自分を振り返ってみると、そこにはコスプレをしたかった自分がいたのです。しかしコスプレをするわけにもいかなかったので、その想いはフリフリの服に向かい、挙げ句の果てに自らが着たい服への感情をしまい込むことになったのです。トールと一緒にメイド服を着て、お揃いファッションをする小林さんはまさに悲願の成就。自己表現の手段としての服装がテーマでした。

 

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  • 趣味について
    • 主婦となったトールが暇を持て余したので趣味を探す話。才能に恵まれたトールは何をやらせてもうめぇ。しかしそこに想いや感情などがなく、木彫り職人にその心持ちを諭されるところが今回のハイライトとなっています。興味や関心が無いと趣味は面白くないのだと。では、トールにとって興味関心があるものは何かというと……。それは小林さんであったというオチ。クラスでアイドルが流行っているとカンナから聞いたトールは、推しを小林さんに見立て、厄介ヲタクムーブをかますのでした。写真・ポスター・楽曲・人形などを揃えて熱い思いを捧げるトール。しかもエンディングはなんと特殊モード。トールが小林さんへ情熱を捧げる歌が高らかに歌われたのでした。

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