【感想】ラブライブ!スーパースター!!第4話「街角ギャラクシー☆彡」【レビュー】

拗らせた承認欲求。鬱屈した自尊感情。なまじ能力があるばかりに理想と現実に苦しむ少女の話。
平安名すみれは幼少期からショービジネスで活躍してきた実力派!
ただしそれはネタキャラ・脇役の需要であり「うっかり八兵衛」的ポジションだった。
ポテンシャルがあるからこそ高い地位を望んでしまい、それが少女を苦しめていたのである。
自分は一生輝けないネタキャラポジションを甘受すること、それが人生では最適解だが……。
本作品では主人公が「センターが欲しかったら奪いに来てよ!」と平安名すみれを滾らせる!
それでも色々と言い訳がましく逃げようとするすみれに「じゃあ試してみてよ」と追い打ち。
競争の無いなぁなぁな仲良しお友達ごっこではないかのんの本気度はすみれを突き動かすのであった。

「奪いに来てよ」「試してみてよ」は平安名すみれの人生観を変える!

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ネタキャラとしての平安名すみれ
  • 承認欲求と自尊感情の狭間で
    • 平安名すみれは李徴キャラ。高い能力があるが故に、理想と現実の差に苦しむことになります。さらに平安名すみれが李徴とだぶるのは、本当に活躍したいのならばもっと泥臭く足掻くべきなのだが、高いプライドがそれを邪魔してしまうというところ。尊大な羞恥心と臆病な自尊心。一歩間違えれば虎になってしまうかもしれない女、それが平安名すみれだったのです。世間的な渡世術では現実の甘受が李徴現象の快癒の特効薬なのですが、本作品はどのような答えを見出すのでしょうか?
    • 平安名すみれが主人公たちに近づいたのは、センターとして自分が主役になりたいがためでした。この時にはもう既に自分が輝ければその方法は何で良く、スクールアイドルは単なる手段にしか過ぎなかったのです。それ故、平安名すみれは自分の承認欲求が満たされることが第一義であり、ソッコーでセンターになることを要求してきます。創始者であるクゥクゥはかのんに入れ込んでいるため、これを許容できず、学内選挙にまで発展。結果としてかのんが圧勝すると、臍を曲げた平安名すみれは、ここでもまた投げ出してしまうのでした。作中ではカットされてしまいましたが、パフォーマンスを披露したことが描写されており、かのんが人前で歌えないというトラウマを完全に解消したことが匂わされています。(ついでに平安名すみれが0票なのに、クゥクゥにも票が入ってることも重要な伏線なのかもしれません。)

 

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「奪い気に来てよ」からの「試してみてよ」
  • 解決方法として現実の甘受では無く泥臭い実力闘争に答えを見出した所がエモい
    • センター選挙に敗れ去って行った平安名すみれ。しかし自分が認められたい、輝きたいという欲求はそう簡単に拭い去れるものではありません。いつもの如く、スカウトを待って街を徘徊する日々に戻っていきます。なぜこんなにも平安名すみれは承認欲求を拗らせているのか。本作のウリはコンプレックスを抱えた少女たちが、耐えられない自分の心情を吐露し、百合友情を結ぶことにあり、平安名すみれは自分が抱える薄暗い感情を澁谷かのんに吐き出していきます。そして最後に「私はさ、そういう星のもとに生まれているの。どんなに頑張っても真ん中で輝くことはできない」と言い残して去っていきます。クゥクゥによる屋上呼び出しも問題の解決にならず、降りやまない雨。よくある表現だけど天候でヒロインの感情を表すのもいいよね。
    • 平安名すみれのコンプを解消するためには、そういう星の下に生まれたのだという運命論を打破せねばならない。平安名の「拗らせ」に共感を示すかのんは、幼馴染に背中を押されて決意を固め、再度平安名すみれと対峙します。まずは平安名がコダワる「スカウト」という形で、その能力をスクールアイドルに貢献して欲しいと頼み、承認欲求をくすぐります。そして怒涛の攻撃。高すぎるプライドと報われなかった過去の努力により、泥臭い競争から目を背けるようになってしまったすみれを戦いの舞台に引きずり出したのでした。「センターが欲しかったら奪いに来てよ!」からの「じゃあ試してみてよ」の一連の流れはまさに必見といっても過言ではないでしょう。トドメは「諦めないかぎり、夢が待っているのは、まだずっと先かもしれないんだから」。澁谷かのんのコトバに感化された平安名のトラウマは寛解の方へ向かっていったのでした。新しい仲間が加わりハッピーエンド。
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お家芸!天候による感情表現の移り変わり

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