真行寺由仁VS星野静流。「弟くん」の定義を巡る舌戦を楽しむ会話劇。
記憶喪失となった主人公くんがその手掛かりを求めて探索するルナの塔。
ユニちゃんは学術的興味により主人公くんに同行するがそこへ突如シズルお姉ちゃん登場。
他人を弟くんと呼びヤンデレ風味を漂わせながら依存と呼べるくらいズブズブのシズル。
ユニちゃんはそんなシズルと主人公くんの関係を何とかして正常化させようとするのだが……
シズルの主人公くんに対する「あねぢから」には対抗できず「先輩」としての領分を守ることに。
現実編では根暗陰キャぼっちコミュ障の真行寺由仁が完璧超人星野静流に翻弄される。
先輩VSお姉ちゃん~学問的背景を踏まえたマウント合戦とディスり合いの会話劇~
- シズルお姉ちゃんの在り方を「プレイ」と称するユニちゃんだが「あねぢから」に敗北する
- 主人公くんの喪われし記憶を求めてルナの塔を探索。ユニちゃんは学術的興味により同行するのですが、突如なぜかシズルお姉ちゃんが参戦します。ユニちゃんは姉と称するシズルを尊重するのですが、血縁関係も無くシズルが一方的に姉弟プレイをしていることが判明します。主人公くんにべたべたするシズルをユニちゃんは当然面白く思わないわけで、二人の関係性を改めさせようとするのです。当然、ユニちゃんと言えば文系の力。学問的背景をもとに姉と弟の関係の在り方を説得しようとするところが今回のオモシロポイントとなっています。字義的な解釈や国文法からのアプローチにより、シズルと主人公くんの関係は歪んでおり、一種のプレイに過ぎないと断罪するのですが……お姉ちゃんパワー論を唱え、独自の「あねぢから」を提唱するシズルにはユニちゃんの論理的な説明も通じません。一番のハイライトは、シズルがユングの思想を我田引水しながら集合的無意識によるグレートシスター論を唱えるところ。説明を聞く限りプラトンのイデア論に近いような説明っぷりでしたが、人類普遍のお姉ちゃん概念に自らの魂を近づけていくとか言い出してユニちゃんはドン引きし、シズルの思想を認めざるを得なかったのでした。
- 現実編では、根暗陰キャぼっちコミュ障である真行寺由仁と才色兼備で完璧超人の星野静流が対比的に描かれます。カースト底辺な由仁に対してハイカーストである静流のマウントっぷりをとくと見よ。あとカースト底辺であることを自覚している由仁の卑屈さが泣けてきます。ハイカーストの人達が底辺に対して向ける慈善的オーラがとてもよく表現されているテキストです。こうして由仁の陰キャ的思考が存分に楽しめるのですが……一方で現実世界でも静流がぶっ飛んでいることが判明。主人公くんに対する距離感はバグっており、ヤンデレといっても過言ではない程。待ち合わせに30分遅れると事前連絡が入ったのに、ヤンデレメッセを送りつけるのです。さらにはユニちゃんの前で主人公を徹底的に甘やかしその関係性にマウント。由仁ともっと遊びたいという主人公くんの申し出に、友達のいない由仁が歓喜して遊ぶ約束を取り付けようとすると、静流は圧力をかけてきます。あまりにもブラコンっぷりに由仁は思わず「ウワキツ」と言ってしまうのでした。