1/1彼氏彼女「コレット・カルリーニ」シナリオの感想・レビュー

アンティーク家具の修復という設定を全く活かせず束縛系女のキレ芸に終始したシナリオ。
キャラ付けのために安易に専門分野の属性を付与するとシナリオが陳腐化する典型的な事例。
家具が好きだという割には家具の話は味付け程度にしか出てこず、とても残念である。
シナリオの主軸は欧州出身のお嬢様に日本の庶民文化を体験させるというもの。
フラグ成立後は主人公を束縛するお嬢様がその都度光沢を無くすキレ芸だけで押し通す。
ネグレクト気味の両親との和解は丁寧に描いて欲しかったがそれも掘り下げられなかった。

コレット・カルリーニのキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • キャラクターに専門分野を属性として付与することの是非について
    • キャラゲーよりのノベルゲーにおいてキャラ付けのために専門分野が属性として付与されることは多々あります。しかしこれは危険であり、ライターにその分野に関する知識が少ないと、シナリオが薄っぺらくなってしまうのです。本√のヒロインであるコレット・カルリーニ嬢もアンティーク家具が好きであり、その修復を趣味とするという部分がキャラクター造形の大半を占めます。で、あるならば、読者はフツー家具を中心としたシナリオを期待する事になるでしょう。じゃあコレット√で家具が語られたかというと全くそんなことは無かった。シナリオの主軸となるのは欧州出身の成金お嬢様に日本の庶民文化を体験させるというもの。具体的には居酒屋とかラーメン屋とかに連れて行って新鮮だわといって驚くというパターンを繰り返します。家具が好きという設定は味付け程度にしか出てこず、ヲタク特有の自分の趣味には早口になるというネタにのみ使われます。後はコレットが家具の修復をして時を過ごすとみんなに述べた時に可哀想とか否定的な評価を受けるのですが、これを主人公がフォローして趣味は人それぞれと述べてフラグ構築の一端とするくらい。家具そのものの話は殆ど展開されず、じゃあこれ趣味が地味で独特であるならば家具じゃなくても成り立つよねと思わざるを得ません。
    • そしてもう一つコレット√で重要な要素として両親の和解というテーマがあります。コレットの両親は仕事で忙しく、幼少期には祖父により育てられたという過去があります。ネグレクト気味だったコレットは両親の気を惹く為にワガママを言い、父親からはクソ女扱いされるのです。コレットはホントウのところはただのかまってちゃんであり、両親が仲良く仕事の話をして自分を入れてくれないので疎外感を抱いていたというワケ。これの解消方法として主人公が提示したのが、自分とコレットで夫婦になり、コレットが憧れる両親の関係性を自分たちも構築しようというもの。こうして結婚してエンド。シナリオの終局部には主人公が家具販売の新規プロジェクトに参加するのだが、これも深く掘り下げられずに終わってしまいました。なんかひたすらかまってちゃんのコレットが主人公を束縛するために目の光沢を失ってキレ芸をかますということだけで終わってしまった残念なシナリオでした。どうしてこうなった……どうして……

 
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