タコピーの原罪 第13話「タコピーの原罪」の感想・レビュー

タコピー過去跳躍の始原的理由は男を寝取られ母を殺したまりなの願望を曲解した為だったという話。
2022年の1周目の世界線αでは、まりなちゃんバッドエンド(雲母坂家心中√)に終わってしまう。
タコピーはポツリと漏らしたまりなちゃんの言葉を曲解し小4時に久世しずかを殺すことにする。
ハッピーママに記憶を消されながらもハッピー大時計を使って2016年に過去跳躍したというワケ。
全てを思い出し久世しずかを殺そうとするタコピーだがまりなの虐めとしずかの優しさを思い出す。
葛藤するタコピーの前に現れたのは兄により救済され覚醒した東くんであった!

聖杯としてのタコピー(人間の感情の機微を理解できず言葉を字義的に解釈し無邪気に願いを叶えようとするタコピー)

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タコピーにすら見捨てられ自殺する2022まりな
  • まりなはタコピーに一緒にいてくれることを望んだのにタコピーは久世しずかを殺しに過去跳躍する
    • 2022年1周目の世界線α。久世しずかは自殺をしたが未遂で終わり実は生きていた。まりなの彼氏となっていた東くんはしずかと再会すると即落ち1コマ漫画の如く寝取られてしまう。久世家の女に男を寝取られたことを知ったまりなの母は娘を殺そうとする。死の恐怖に晒されたまりなは正当防衛のため母を殺してしまう。まりなの手に残ったのは母親の遺骸のみであり、それでもタコピーに手を伸ばす。おそらくここでタコピーがまりなに寄り添うことができれば、まりなは母殺しの罪を抱えながらも人生を乗り越えられたのかもしれない。しかしここでタコピーはいつもの如く無邪気な善性を発揮し、小4の時に久世しずかを殺すという言葉を字義的に受け取ってしまう。

 

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無邪気に久世しずかを殺すことにしたタコピー
  • 2022年の世界線αから2016年の世界線βへ
    • ここで出て来るのが伏線として張られていたハッピー大時計。タコピーはかつてこれを使用していたのだ。勿論それは禁忌とされる行為でハッピーママはタコピーの記憶を消去する。だがタコピーはまりなの影響で暴力を振るうようになっており、ハッピーママを叩いて過去跳躍を強行する。こうして2016年の世界線βにおいて記憶を喪失した状態でしずかに出会う。これまでの話は全てこの世界線βの話だったというワケ。久世しずかにより命の危険に晒されたタコピーは、始原的動機であった久世しずかを殺すことを思い出す。だがタコピーの脳裡によぎるのは、世界線βにおけるまりなによるしずかへの凄惨なイジメとしずかから与えられた優しさであった。葛藤に苛まれるタコピー。そこへ兄により救済され覚醒した東くんが登場する。東くんの知恵によりストーリーはトゥルーエンドになるのか!?それとも覚醒東くんはブラフであるのか!?次回へ続く。

 

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タコピーは自分がハッピーにしたい対象を自分で殺してしまった
  • タコピーの原罪とは何か?
    • 今回13話のサブタイトルは「タコピーの原罪」であり、作品タイトルと一緒。すなわちその原罪とはハッピー大時計を使用し久世しずかを殺すために過去跳躍した事であった(ハッピーになって欲しい対象であるまりなをタコピー自身が殺害した)。だがこれは表面的であろう。もう一歩深めて根源的な原罪について考えれば、タコピーの無邪気なる善性ということが出来る。すなわち人間が本当に望んでいることを理解しようとせず口に出した言葉を字義的に解釈して叶えようとすること。例えば今回作中の表現からまりなは男を寝取られ母を殺し孤独なった状況においてもタコピーに寄り添ってもらえればそれで良かったことが分かる。しかしタコピーはまりなを置いて過去跳躍しに行く。それ故、まりなは孤独となり自殺したであろうことがコマ表現から読み取れる。これらのことを考えるとタコピーはFate/Zeroの聖杯のような装置だと思われる(願望を曲解し歪んだカタチで疑似的に叶える)。Fateの聖杯以上にタチが悪いのはタコピーが完全に善性に基づいているということ。様々な感情を抱く人類がタコピーに会うのは早すぎたのであろう。ハッピー大時計は世界線βでは未使用なので、全て無かったエンドにすることは可能かもしれない。だがそれだとシラケること間違いなしなので、どのように風呂敷を畳むのかに注目が集まる。
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タコピーの無邪気な善性

タコピー感想まとめ