読んでいて苦痛。我儘・自分勝手・強引で自分を大正義と思っているヒロインの地雷シナリオ。
ハイカーストで学園のプリンセスをウリにしているがその要素は微塵も感じられない。
ライターが描写でヒロインの魅力を表現できず、所与の設定なので読者は従え的な感じ。
テキストもSMEEのお家芸であるはずのお馬鹿なギャグが完全に滑ってしまっている。
飼い犬の怪我で病院に付き添ったことを恋心の萌芽の契機としたのにその後犬は1回も出て来ない。
親戚が来ると気まずいから休日に家にいられないという伏線も完全にブラフであった。
学園編はこのヒロインだけだし、社会人編だけだと企画通らないから数合わせで用意されたのか？
あと普段は声とか気にならない方だけど、声優の演技がダミ声っぽく感じられてしまった。
なぜ「藤ヶ谷えいみ」シナリオは苦痛に感じられるのか？
- ヒロインの魅力を文章で表現できず、所与の設定として誤魔化している
- まずこのヒロインの魅力とされているのがハイカーストの学園のプリンセスであること。そんな学園の人気者が実は繊細で落ち込みやすく、それを主人公だけが知り得て理解してあげるという流れでフラグ構築が始まります。しかし肝心要の学園のプリンセスという要素が文中の描写で表現できていないのです。フツーだったら、何か具体的な描写があって、それを読んだプレイヤーが納得した上で、この子は学園のプリンセスなんですね攻略したいものですと思わせる工夫を凝らすことでしょう。しかし本ヒロインの場合は学園のプリンセスであることが所与のものとされており、ライターは全く魅力を表現せず、この子は学園のプリンセスだからプレイヤーはそれに従って読んでねと進めていくのです。このヒロインに学園のプリンセスたる要素がどこにあったんだ？と思わざるを得ません。すなわちギャップ萌えの不発と言えるでしょう。このヒロインはギャップ萌えを狙っているものの、学園のプリンセスとしての側面がろくに描写されず、読者は最初からヒロインの本性を見せられるため、辟易してしまうのです。繊細で傷つきやすいというのも、自分に不都合なことを指摘されることへの耐性の無さといった方がいいかもしれません。
- フラグ構築の杜撰さ
- そしてケチがついてしまうのがフラグ構築の杜撰さ。本ヒロインとはお互いの友人を恋愛成就させるためダブルデートで支援することから関係性が始まり、それ以来犬の散歩で度々出くわすようになり交流を深めていきます。さらにヒロインの恋心の萌芽の契機となるのも犬イベント。ドッグランの帰り道、ヒロインの飼い犬がスクーターに轢かれてパニックになってしまった際、主人公が動物病院へ連れて行き治療が終わるまで寄り添ったことで恋愛感情が芽生えます。このようにして飼い犬がフラグ構築の大きな要素となっているのですが……なんと一たびフラグが成立するとその後はほとんど犬が出て来ません。また二人でドッグラン行こうねと約束したのでデートイベントで公園を選択したのに、犬たちは出て来ず、ドックランで主人公が犬になるというテキストを読まされた。SMEEのお家芸はお馬鹿なギャグだけれどそれは決して単なるアホではなかっただけにこのイベントは正直残念だった。二人で飼い犬を連れて散歩したりドックランに行ったりする要素を掘り下げてもよかったんじゃない？この他にもヒロインが、親戚が来るので家にいたくないとかいうため、血族に対して何か問題を抱えているようにみせたのに、全く掘り下げられないで終わる等、フラグ構築で使用した要素を使い捨てにしたので、思い入れが湧きませんでした。
- 我儘・自分勝手・強引さが目立つヒロイン
- シナリオの後半、フラグ構築後は、好意的に解釈すれば、ヒロインが地を見せて自由気ままに振る舞えていると読むこともできるでしょう。しかし、それにしては傍若無人が過ぎ、我儘・自分勝手・強引という悪徳ヒロイン三箇条を引っ提げ暴れまわるのです。自分が手作りの弁当を彼氏に食べさせるという実績を残したいがために味見もせずにクソマズ弁当を食わせたり、凡人の主人公が彼氏であることを馬鹿にされるとハイカーストであることを利用してマウント取ったりとやりたい放題。ラストまでこのノリは続き、いい様に振り回される主人公が、逆襲のため校内放送でヒロインに惚気ると、ヒロインも校内放送返しをするというイベントでオチとなります。
- キャラゲーの場合、ヒロインが合う／合わないでシナリオの評価が分かれるかと思いますが、私は上記の理由により全く合わなかったので、プレイしていて大変苦痛に感じられてしまったのでした。
