家庭環境に問題を抱える若者が耐えきれぬ孤独な夜の寂しさを紛らすために集う話。
抜き系ギャグゲーに見せかけたシナリオゲー。ぬきたし×サナちゃん×こんぼく×かぐこく。
学校で「陰キャぼっち」な主人公くんが、ぶっ飛んだワケアリヒロインたちと心の交流を重ねていく。
少女救済モノの典型パターンが予想され、事情の吐露→フラグ構築→根本的な解決となる予感。
いくらでもシリアスになりそうな展開を上手くギャグゲーで散らし物語を進める流れは秀逸。
主人公くんは武道の達人で、かつて不良から友達を助けたが裏切られたという過去を持つ。
ぬきたしの二匹目のドジョウだと思われても致し方ない。ぬきたしを超えられるか!?
- 同じ傾向を持つ作品
- 社会のレールからはみ出してしまった者たちが、群れになる。
- おすすめ箇所「耐えられぬ孤独な夜の寂しさ」
- この作品の良さは何といっても「耐えられぬ孤独な夜の寂しさ」を上手く描いていることです。幸せな家庭生活を送っている人には理解できないことのやりきれない気持ち。どうにもならない弱い心をギャグゲーで誤魔化しながらも、着実に表現して見せるのです。『かぐこく』をパロった男女の駆け引きで笑いを取りつつも、その根底にある人のぬくもりを求めずにはいられない寂しさを是非ご堪能して頂きたいところ。主人公くんを搾取する気満々のメインヒロインと夜の孤独感を共有するシーンは結構グッときます。
- 「トメフレ」の設定を上手く利用し、体験版の続きを読ませたいと思わせる構造になっているのも評価できるところでしょう。「トメフレ」はあくまでも一宿一飯の恩義。相手の個人的な事情に深入りをしてはいけないのがルールであり、これがヒロインたちのワケアリっぷりを際立たせているのですね。どう考えても問題を抱えていることは見え見えなのに、どんな問題かは知ろうとしてはいけない。知ることが出来る時は立入る覚悟をした時で、それ即ちフラグ構築した時なのですね。
- ヒロインの数だけ、それぞれが抱える問題を描くことが出来るわけで、もしこれできちんとした社会問題を扱ってテーマ性を深める事が出来れば、名作になれるだけのポテンシャルは秘めています。また主人公くんも、かつて友達を救って裏切られているというトラウマを抱えているため、これがどのようにして克服されていくかがポイントになるかと思います。安易なご都合主義に終わるのではなく、是非シナリオには頑張って貰いたいところです。
くっころ劇場