【感想】メイドインアビス 烈日の黄金郷 第12話「黄金」を見た。

母の悲願であった村の殲滅という役目を成し遂げた少女が呪縛から解き放たれ新たな旅に出る話。
ファプタは母を利用して創立された成れ果て村を滅ぼすことだけを生きる理由としていた。
だが村を滅ぼす過程において、様々な人々の想いの積み重ねを知っていくこととなる。
村を崩壊させるためにはかつて姉妹たちを食った村人たちを食うことが必要であった。
村人たちを食うことで初めて母が残した力の使い方を知るのであった。
また怨念だけを抱いていたと思っていた亡き母には愛する人ヴエコがいたのであった。
黄金郷はクズでも黄金に変えるという伝説があったがまさにヴエコの人生も変わったのである。

【目次】

原作におけるアニメ2期12話の該当箇所


成れ果て村の存在意義~-村を滅ぼすことで奈落の底に挑めるヒトを超えた存在黄金ファプタが完成する~

ヒト以上の存在を求めたが故にファプタを創ったのか

ガンジャ隊は居場所のなかった人々が自分たちだけの望郷を抱いて結成され奈落の底を目指した。彼らは差別を受けていたのかもしれないし、虐待を受けていたのかもしれないし、自らに生産手段が無かったのかもしれない。だがアビスの呪いがあるため奈落を穿つには人を超えた存在になることが必要だった。では超越した存在に成るにはどうすれば良いか。おそらくファプタを創り完全体とすることがワズキャンの狙い(の一つ)であったと言えるかもしれない。ワズキャンは未来視の力を持っていたため、村をファプタに破壊させることで彼女が完全体になれるよう誘導していた節がある。住民の殺戮だけではファプタは完全体に成れなかったであろう。ベラフの記憶を嗅ぐことで継承していない母の想い出が補完された。原生動物と戦う中、住民から差し出された身体を捕食することで血の使い方を学んだ。生き残った住民たちを食らうことで血の力を発動させ村を崩壊させることが出来た。最後にヴエコと対話することで母の呪縛でもある役目から解放され黄金となったのである。リコは成れ果て村編が終わった後でさえワズキャン程の人物が自ら冒険することを諦めるだろうかと疑問視しているため、真相はそうではないかもしれないが、ファプタ完全体を創るのはワズキャンの意図の範疇と感じられてしまうね。

イルミューイが望んだヴエコは母としての存在よりも愛する人としての側面の方が強いか。

イルミューイが求めたヴエコは彼女にとってどのような存在としてであったか

今回の終局部ではファプタとヴエコの対話が挿入される。そこではファプタがはじめに母から継承した記憶にはヴエコという存在が無かったことが明かされる。ファプタは母が強くヴエコを求めており、それ故母ヴエコを自分だけのものとしたかったのであろうと推測する。生殖能力を欠如したイルミューイは欲望の揺籃の使用により子どもを望んだが、望んだのは子どもだけでなくヴエコもまたその対象だったのである。ではイルミューイが望んだヴエコはどのような存在としてであったのだろうか。イルミューイの母親、家族としてのヴエコはもう既に叶えられていたのに。この疑問に対してはヴエコがガンジャ隊の「お世話」係であったことから推察できる。今回アビスの呪いで成れ果てて行くヴエコを命がけで救った人物としてパッコヤンが活躍した。彼女は原作ではヴエコと肉体的関係にあり、その夜伽の場面をイルミューイが目撃しているというコマが存在する。またヴエコの回想シーンではベラフとも寝ていたことが窺われる。これらからヴエコの「お世話」とは肉体的な慰安だったことが読み取れるであろう。それ故、イルミューイが求めていたのは子どもだけではなくヴエコもまたそうであったと描写されると、これってイルミューイは母としてのみヴエコを求めたのではないよねとも読めてしまうのである。

ヴエコと亡き母イルミューイの絆の深さを知るファプタ
成れ果て村に挨拶をし旅立つファプタ
ありがとうメイドインアビス2期

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