ぼっち・ざ・ろっく! 第1話「転がるぼっち」の感想・レビュー

ぼっち少女が承認欲求を満たすためチヤホヤされたい一心でギターが上手になる話。
主人公の後藤ひとりは根暗陰キャぼっちを地で行くキモヲタ的インドア派の女の子。
ある日、父と見た音楽番組で陰キャでもバンドなら輝けることを知りギターを始める。
それ以外にやる事の無かった後藤さんは毎日6時間修行に励み、中学3年間を練習漬けで過ごす。
動画共有サイトにカバー曲を投下し続けた結果フォロワー3万の人気奏者として君臨していた。
だがバンドの夢を捨てきれず話しかけて欲しいと学校にギターを持っていったことで世界が変わる。
学校では誰も話しかけてくれず公園で黄昏ていたところ代打としてライブに出ることになったのだ。
後藤さんは自分の腕を披露しようと息巻くが他人と合わせるのは初めてで本来の力を発揮できない。
それでも勇気を振り絞り他人とバンドを組み、しかもライブに出るという一歩を踏み出したのだ。

後藤ひとりさんのキモヲタのようなモノローグが光る

父と見た音楽番組に影響されギターを始める後藤さんとそれを見守る家族
  • 誰かに認められたい承認欲求!チヤホヤされたい一心でギターを手にする
    • 思春期に入ると自我が目覚め、今までは生存するだけであったが、精神的な誕生を迎える。この第二の誕生の際に少年少女は自分が何者であるかという問題に直面し、アイデンティティを確立することが課題となる。本作の少女:後藤ひとりさんもそうであり、ぼっちであり自分と向き合う時間が長かったため、中学進学後に人一倍自分の存在証明やレゾンデートルに悩むことになった。そんな後藤さんが手にしたのはギター。父親と一緒に見た音楽番組でバンドなら陰キャでも輝けることを知ったからであった。それ以来後藤さんはひたすらにギターの練習に励み、中学3年間毎日ギターを6時間練習するという日々を過ごした。後藤さんに友達は一人も出来なかったが、ネットの世界では有名人。カバー曲を動画共有サイトに垂れ流すことでフォロワー3万人を達成し、電子の海ではチヤホヤされることに成功したのである。ネットにおける再生回数だけが後藤さんの存在証明だったのである!

  • ネットの世界では有名人でもリアルではミジンコ
    • だが後藤さんはバンドを組んでライブをしたいという夢を捨て去ることができなかった。けれども自分からは話しかけることなどできないので、学校にギターを持っていきピンクジャージにギター系Tシャツを身に纏い話しかけてくれるようお祈りタイムに入ったのであった。これが功を奏し、学校では誰も話しかけてくれなかったが、公園で黄昏ているところをスカウトされる。そしていきなりライブに代打として出ることになり、後藤さんの夢が今まさに実現!!後藤さんは3年間培ったギターの力を今こそ見せる時だと息巻くが、仲間と一緒に演奏するのは初であり、そのスキルを1ミリも発揮できない。精神崩壊しかける後藤さんを助けたのはやはりネットでの承認欲求。バンドを組んだ仲間がネットの世界の自分のことを知っており、後藤さんは自分の鬱屈がリアルに届いたことを確信するのだ。こうしてなけなしの勇気を搔き集めた後藤さんは拙いながらも初めてのバンドで初めてのライブを乗り切る事には成功する。こうして後藤さんはぼっちから脱却し音楽ライフへ一歩を踏み出したのだ!

  • 後藤さんの家族仲について
    • 後藤さんが救われているのが、良好な家族仲について。ぼっちであるものの家族愛には恵まれており、ギター環境を整えてくれる父親とぼっちな娘を受け入れてくれる母親、妹は卒業式で一緒に写真を撮ってくれるし、ペットの犬でアニマルセラピーもばっちり。特に後藤さんのレゾンデートルとなったネットの世界での実存を与えてくれたパッパの影響は大きいと思うんだ。
学校にギターを持っていくが誰も話しかけてくれず公園で黄昏ていたらスカウトされる
他人と合わせるのが初めてで高い実力を発揮できずにミジンコとなる後藤さん
後藤さんを奮起させるのはネットの世界で構築された自分
初バンド・初ライブで灰になるが新たな一歩を踏み出した後藤さん

漫画原作はコチラ


感想まとめ