2022年放映の視聴アニメの感想まとめ

2022年に放映されたアニメのうち完走できたものの感想をまとめておく。
名場面と共に全話通した総評を行いながら各作品の振り返りを行う。
完走できた15作品のうち11作品が百合アニメであった……
各話ごとの感想リンクも貼っておくので作品に興味を持った方はそちらも参考にしてください。

【目次】

『スローループ』(CONNECT、2022年1月7日 - 3月25日)

再婚問題の地雷を踏んでしまう恋ちゃん

百合アニメ。父親が死亡し母子家庭となった少女が再婚相手の家族と釣りを通して絆を育む話。主人公の少女はお父さんっ子であったため死者の幻影に囚われ父が教えてくれたフライフィッシングをすることで孤独な寂しさを埋めていた。父の死は少女に影を負わせ、母親とも壁ができてしまい、仲良しの親友とも遠慮がちになっていた。そんな少女の寂寥を埋めるのが再婚して新しくできた義姉。この義姉は明るくポジティブであり、それが主人公の救いとなるのである。その義姉の破天荒さは主人公と親友の関係も回復させるに至る。こうして「釣り」を題材にしながら再婚家庭および友達との絆を描いていくのが、本作の醍醐味であり、同じく釣りをテーマにしたジェネリックきららである『放課後ていぼう日誌』と差別化が図られていた。

『明日ちゃんのセーラー服』(CloverWorks、2022年1月9日 - 3月27日)

セーラー服へのコダワリ

百合アニメ。僻地において同級生がいない小学校時代を過ごした少女が、セーラー服に憧れて母親の出身校である難関お嬢様学校に入学する話。天真爛漫で純朴な主人公の少女が持ち前の明るさと野性味でクラスメイトと友達作りをしていく姿がウリ。同級生の多くは受験戦争の勝者であったり、文化資本の高い淑女教育を受けていたりと多かれ少なかれ揉まれており、内面的な苦悩を抱えているのだが、そんな少女たちを主人公の無邪気さが救っていく。視聴の途中、主人公が自我に目覚めて闇堕ちするのでは?と思われたり、主人公の無邪気さをウザがる同級生によりイジメの対象となってしまうのでは?と囁かれたりしていたが、そんなことはなく、最後まで純朴さと野性味が押し通した。少女たちの関係性だけでなくセーラー服を自前で仕立てる服飾へのコダワリとそれを身に纏う少女のしなやかさの表現がすごかった。それにしても導入部分で母親の出身校だからといって制服がセーラーからブレザーに変わっているのにそれに気づかないとかいう設定ってアリなのか?

『その着せ替え人形は恋をする』(CloverWorks、2022年1月9日 - 3月27日)

魔法少女とコスプレに関する想いを語るジュジュ様

所謂「オタクに優しいギャル」のテンプレの一種。オタク趣味を持つギャルがコスプレをしたいのにその技術が無く嘆いているところに、人形職人の跡取りである主人公が現われて服飾に携わりギャルの夢を叶えていく。主人公はかつて自分の趣向である人形への愛着に対して女子から蔑視されたためトラウマを抱いているのだが、それをギャルによって救われるという構図である。だがこの主人公の男子高校生はかなりハイスペックでギャルの方が惚れていってしまう。確かに人形職人としての知見を広めるために様々な衣装作りにチャレンジし、様々なコスプレ衣装を作ることで技術を磨いていく真摯さは好感度高い。だが主人公の魅力が高まる一方でヒロインとしてのギャルの人気は衰退していく。途中からギャル以外にもレイヤーが登場するのだが、ジュジュ様や心寿ちゃんの方がギャルよりも圧倒的にカワイイのである。ひと昔前ならマルチエンド式のノベルゲーが発売されてジュジュ様や心寿ちゃんも攻略できるようになり、ギャルのメインヒロインとしての地位を脅かしたんだろうなと思うことしきり。

『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』(CygamesPictures、2022年1月11日 - 3月29日)

ペコキャル百合友情~美食殿は疑似家族~

美少女動物園と見せかけた百合アニメ。第1期が何も問題を解決せず中途半端にペコキャル百合友情エンドで終わったが、2期では本当に世界を救います。登場キャラが多すぎて捌ききれなかった感はあったが、孤独に陥ったペコリーヌがクエストを通してもゼロから仲間と絆を育んでいき、最終的にその絆によりラスボスを倒すという王道の展開であった。ペコリーヌはランドソル王国のお姫様であったが、存在忘却の呪いによりその地位を簒奪されてしまい放浪することになる。両親や侍従、家臣たちから忘れ去られ居場所を無くし、孤独に陥っていたところを主人公やコッコロちゃんに救われるのである。そしてツンデレチョロイン:キャロと百合友情を育んでいく。稲作を一人でやることになったペコリーヌはその労働時間の中で虚無に陥るが、手伝いに来てくれた人々の姿を見て、忘れ去られた後に再び築き直した人間関係を噛みしめるところは是非見てほしいおススメの場面である。あと個人的に「それちる」や「おれつば」で有名な王雀孫が脚本に参加している姿を見て、生きとったんかいワレェとなった。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期』(サンライズ、2022年4月2日 - 6月25日)

ミアに続き栞子まで同好会に靡き自分の偏狭な思想が否定され闇落ちするランジュちゃんの図

百合アニメ。第1期で壮大な幼馴染百合を展開したことから2期も視聴することにした。1期ではアイドルたちがソロとして活躍し自分の目指したいアイドル像の確立がテーマだったのに対し、2期では唯我独尊な中華系アイドルが登場し、それとの対決がメインとなる。中華アイドルは華夷思想的な価値観を信奉しており、ニジガクのソロアイドルとしての在り方に一方的なシンパシーを感じていたのだが、ソロでも仲間としての連帯を持つ姿を見せつけられると勝手に裏切られた気分になり敵となるのであった。そんな彼女に対しニジガクたちは様々な人々の協力の上にアイドル活動が成り立っていることを知らしめて行く。見どころとしては中華アイドルが頼っていた仲間たちが次々とニジガクサイドに寝返ってしまい孤独を深めていく展開であろう。二次創作においてはランジュ曇らせ芸として確立された。最終的に中華アイドルが改心して仲間になりハッピーエンドになる。

『まちカドまぞく 2丁目』(J.C.STAFF、2022年4月8日 - 7月1日)

ポッキンアイスの誓い

百合アニメ。「シャミ子が悪いんだよ」のネットスラングで有名になった作品。魔法少女桃とシャドーミストレスとなったシャミ子の対決は次第に二人の絆を深めていく。2期では桃がシャミ子を想う余りついに闇堕ちしてしまう。桃との交流により成長したシャミ子はバイトを始め自分のセカイを広げていき桃の知らない人々との交友関係を築いていくのだが、それに対して桃は淋しさを感じると共にシャミ子が自分だけのものでは無くなってしまったことに嫉妬するのである。素直でない桃は自分の口からは言い出せないので、闇堕ちという手段でそれを表現し、シャミ子は改めて桃との関係性を結び直すのだ。それを象徴しているのが、第6話でのポッキンアイスの誓いであり、最終回と言っても過言ではない感動を生み出していた。まちカドまぞくはシャミ子の私服が毎回異なり女の子らしいフリフリな衣装になっているのがいいよね。

SPY×FAMILY Season 1 第1クール』(WIT STUDIO、CloverWorks、2022年4月9日 - 6月25日)

お出かけをすることで家族の絆を深める

スパイ任務のために形成された疑似家族が、家族としての絆を育み、本当の家族になる話。スパイの男性、超能力者の娘、殺し屋の女性が家族になり、要人と接触するために娘を名門校に合格させるまでの奮闘は間違いなくとても面白い。だが娘が名門校に入学してからは完全に失速。テンポは緩慢になり、ひたすらお使いRPGのようなイベントをこなしていくだけになってしまう。入学するまでのテンポが良かっただけに、名門校編はひたすらダミアニャを眺めるだけのアニメと化す。名門校編サクッと終わらせて、もっと色々なスパイ業務にファミリーで立ち向かうのだとばかり思っていた。そのため1期は見たけど第2クールは切ってしまったよ。

異世界おじさん』(Atelier Pontdarc、2022年7月6日 -)

現世編はおじさん×たかふみの関係性とセガ愛がウリ

シュールなハルヒ同人で一世を風靡した殆ど死んでいる先生のギャグマンガがついにアニメ化。作中で一番かわいいのはおじさんとよく言われているがまさにその通りである。基本的な流れとしては現代パートと異世界パートからなり、おじさんが甥のたかふみに異世界での出来事を紹介するという体裁で話が進んでおく。現代パートのウリは90年代回顧。17年間異世界に行っており現世では意識不明の植物人間状態となっていたおじさんが90年代的価値観から2010年代後半を体験してカルチャーギャップを受けるというノリが面白い。そして何よりもの強みがSEGA信者。メガドライブセガサターンを愛するおじさんの偏狂さが本作の魅力として昇華され他作品の追随を許さないものとなっている。異世界パートは単なるなろう系とは異なりおじさんがSEGAの知識で一風変わった無双をすると共に超鈍感力を発揮してツンデレエルフの好意を全て粉砕するフラグクラッシュっぷりがスパイスを利かせている。カルト的な人気を誇った本作だがコロナショックをモロに受けてしまい未だ予定放送話を消化できずに年越ししてしまった。

メイドインアビス 烈日の黄金郷』(キネマシトラス、2022年7月6日 - 9月28日)

ヴエコが食べた肉はイルミューイの子どもだった

偉大なる探窟家を母に持つ少女が、ロボと共に大穴への探窟に挑む話。温和で可愛らしい絵柄なのだが探窟は過酷を極め、嘔吐や失禁・脱糞だけならまだしも欠損したり捕食されたりする。さらに烈日の黄金郷では、飢餓を凌ぐために少女を家畜化してその子を食うことが非常に大きな要素を占めており、イラストに惹かれて作品を視聴し始めた層を叩き潰しに来る。しかし本作のウリは単なるエログロだけではなく、探窟を通した人々との交流や未知なるものへのワクワク感、冒険してる感じがとてもよく表現されている。ドラクエとか不思議なダンジョンとか好きだった人は嵌れるかもしれない。アニメ2期では大穴の内部に形成された「成れ果て村」での出来事に1クール使っているが、その呪われた村の成り立ちと、呪縛から少女を解放するために村人たちが総力戦で立ち上がる姿は熱い展開である。成れ果て村の姫君の母を犠牲にして生き残った村人たちが、娘のために自らその命を捧げ全員死んでいくところは圧巻である。

『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』(シャフト、2022年7月3日 - 9月25日)

記念式典大成功エンド

百合アニメ。スト魔女の戦わないバージョン。スト魔女は異形の侵略者の発生によって第二次世界大戦が起こらなかった世界線。人間同士の戦争は無いが、侵略者との戦争が続いている。本編では思春期の少女だけが魔法を使うことができ、この魔法が侵略者に対して有効なため、少女たちが前線に立たされているのである。だが魔力に覚醒した少女たちが全て戦闘向きの異能とは限らず、戦力外となってしまうこともままあった。また成長と共に魔力は失われるため、加齢により役立たずとなった女性の行き先も求められていた。そんな軍隊からのハミダシものたちで作られたのが音楽隊であり、戦時下における音楽の力を証明するため、慰安活動に力を注いでいく。バラバラであった個性が一つになるというのが音楽モノならではの魅力であり、世界を巡って人々を慰問し、戦争で傷ついた人々の心を癒していく。ちゃんとズボンやスカートを穿いておりスト魔女よりもお上品な作風となっている。

ラブライブ!スーパースター!! 第2期』(サンライズ、2022年7月17日 - 10月9日)

なんかサクッと全国制覇した。まるで全国大会がオマケのような扱い

百合アニメ。主人公は類稀なる歌声を持つ澁谷かのん。だがトラウマにより人前では歌うことが出来ず、高校受験の際にも第一志望の音楽科に落ちてしまった。結局普通科に進学したのだが、制服すら音楽科と異なっていたため、学校に通うのすら憂鬱となり学歴コンプレックスを発症させてしまう。だが中国からやってきたクゥクゥちゃんに巻き込まれるカタチでスクールアイドルという道を選び、そこからトラウマを払拭して歌えるようになった!!というのが第1期の内容であり、1期はまさに澁谷かのんの成長物語だったのだ。視聴者としては2期では中国からやってきたクゥクゥちゃんが抱える家族問題に焦点が当てられるかと思っていたのだが、クゥクゥちゃん問題は2期では華麗にスルーされる。しかも何かそんなに深刻な問題ではなく、娘が説明責任をきちんと果たさずに日本に行ってしまったことを心配しているだけでフツーに理解のある親っぽい感じが匂わされて処理された。じゃあ2期では何がテーマになったかというと、前半は新入生である1年生と、既存の部員である2年生の能力差の問題。全国大会で優勝するためには当然ハードな練習が求められるけれどもそれに1年生がついて来られるかといって意識差が語られる。後半になるとイキナリ謎のライバルが突如としてウィーンからやってきて勝負することになる。このキャラの掘り下げがあんまりないので敵役の為の敵として用意された感が否めないのであった。全国大会にはサクッと優勝し、澁谷かのんが留学するのしないのが最終的なテーマとなるが、折角澁谷かのんが留学を決意したのに何故か取りやめになって物語が終わった。

リコリス・リコイル』(A-1 Pictures、2022年7月2日 - 9月24日)

たきなが欲しい言葉を与えながら抱っこしてグルグル回る千束

百合アニメ。萌え豚の餌。ちさたきという百合的な関係性を提供したことに歴史的意義がある。仕事で功績を上げて出世することしか頭になかった少女が左遷先で人生観を広げて多様な価値観を知るという3話までは大変良く出来ていると思う。だがそこがピークであり、ちさとの人工心臓問題とか子どもたちの才能を開花させるためのアラン機関とかの問題は全く描ききることが出来ずに終わった。ちさとは人工心臓で活かされており余命幾許もない状況なのだが、自分で主体的な生を選び取ったのではなく、義父役であるオッサンが一方的に余命を与えてしまった。せめてここはちさとが自分で自分の命を掴み取って欲しかったものよ。また本当は死ぬべきちさとを死なせずに安易に生き延びさせたこと自体、死の有限性というカタルシスで感動を生み出しておいてそれを自ら踏み潰すというアッパレっぷりであった。そして本来ならば中ボス程度の真島をラスボスにまで引っ張ったことによって、アラン機関が希薄化してしまったのであった。放送序盤は令和のガンスリとか言われていたのに単なる百合萌え消費アニメになってしまったのであった。

ヤマノススメ Next Summit』(エイトビット、2022年10月5日 - 12月21日)

富士登山に成功!
百合アニメ。JKにオッサンの趣味をやらせるシリーズ登山編。ゆるキャン△との双璧。制作陣による丁寧な現地取材により聖地巡礼が加速する。行ったことが無い場合は行きたい気分になるし、既に登った山であればキャラたちと感動を分かち合うことができる。山の魅力や自然が存分に描かれているためアウトドアの楽しさを教えてくれる。そして何といっても群馬県の山々の素晴らしさが描かれているのが良く、メインキャラであるあおひなの思い出の聖地である谷川岳には是非行って欲しいものである。私もちゃんと行ったぞ!赤城山にも伊香保温泉にも榛名神社にも行った。ただアニメ版は原作改変が多々行われるためメディアミックス展開を許容できない原作厨には向かない。確かに原作は「女の子たちだけのゆるふわ登山」とは程遠いものとなっており安易な気分で聖地巡礼すると登山舐めんなとなり、初心者の女の子が登山するレベルではなくなっているため、アニメでは改変・ナーフされる要素も多いのは仕方が無いのだが。それにしてもここなちゃんの高校進学と転校問題がナーフされ最終回でイキナリあおひなと同じ高校に進学しているのを見せられたときにはモヤっとした。

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第1クール』(サンライズ、2022年10月2日 - 2023年1月8日)

トマトの誓い
百合アニメ。プロローグでガンダムを操った少女が敵を殲滅し無邪気に「ろうそくみたいできれいだね」とはしゃぐ残酷さを見て視聴を決めた。メイドインアビスの原作者によるツイートによるところも大きい。本編を開けてみればガンダムで学園モノで決闘で百合で会社経営だった。何を言ってるか分からねーと思うが1期において全てはスレミオを描くための舞台装置なのであった。父親に構って貰えず、死んだ母の故郷が恋しいと嘆くだけのワガママ女だったミオリネ。そんなミオリネを水星からやってきたスレッタが決闘で勝利し意に添わぬ許嫁問題から解放する。スレッタとミオリネの間に育まれる百合。だが物語の序盤では貴公子の王子様的なつよつよ人間に思われていたスレッタが、中盤以降は田舎から出てきたポッと出の小娘であることが暴露されていく。そしてスレッタのおかげなのにミオリネの方が先に大人になってしまい、置いて行かれたスレッタと亀裂が生じる。百合モノでよくある喧嘩回であり、「雨降って地固まる」パターン。こうして二人の関係性が再構築され、お互いの絆が強固になるということが第1期で描かれた。すなわちスレミオであった。

『ぼっち・ざ・ろっく!』(CloverWorks、2022年10月9日 - 12月25日)

喜多からの目配せにより絶望の淵にいた後藤が覚醒するシーン!
百合アニメ。きらら系百合漫画のアニメ化の際、原作の行間を巧みに解釈して、それを実写や手工芸、パロネタなど様々な表現手段で再構成したことに歴史的意義がある作品。きらら系百合漫画のアニメ化の新境地を切り開いた。特に本作はロック・バンド・ライブをテーマにしているが、原作で詳細な歌詞があるわけでもないし音楽が演奏されているわけでもない。そのような状況の中、実際に作品の中の楽曲を見事に作り上げ、アニメ制作会社のポテンシャルの高さを現出した。この楽曲は単なる音楽ではなく、キャラクター自身が実際に作った曲として違和感なく機能しているのが大変素晴らしい。本作は音楽抜きにしても、根暗陰キャコミュ障ぼっちの少女がロックバンドを通して仲間たちと絆を育み自分の居場所を見つけていくというサクセスストーリーになっており見ごたえがある。そんな後藤ひとりの伝記映画的物語を多様な楽曲が彩ることで感動を倍増させているのである。そして何より後藤ひとりの思考回路が哀愁を誘う。本作の魅力の一つとして後藤ひとりが根暗陰キャコミュ障ぼっち的な考えを巡らしてつい空想に耽り現実を悲観してしまうことに面白みがあるのだが、ぼざろを視聴するような層の人々は誰しもが後藤ひとりのような考え方したことがあるだろう。『山月記』を読んで李徴は俺か!?と思うように、『ぼざろ』を読んで後藤ひとりは俺か!?と思うのである。後藤ひとりというキャラクターにより、現代社会の中で上手く生きられない人物像をありありと描き出したのだ。尚且つ自分の得意分野を磨き続けた結果、最終的に評価され、救いがもたらされるのである。みんな好きでしょこういう展開。私も大好きです。