RE:D Cherish! -Eternity Blood-(製品版)の感想・レビュー

イマカノとカコカノの問題を宗教的要素で脚色し最後はコピーロボットで主人公を分裂させて解決した話。
前作、組織人だったがトカゲの尻尾切りでアイデンティティを喪失した主人公が女に人生の意義を見出した。
正妻であるユニカ及び従業員となったその他攻略ヒロインと共に飲食店経営をすることで幸せを抱いた。
だが今作では主人公が組織人時代の任務で裏切ることになってしまったカコカノが登場する。
カコカノは聖職者で主人公を諦めイマカノとの関係を祝福するかに見えたが全くそんなことは無かった。
不安な気持ちを宗教により埋めることに縋ったカコカノは聖典と融合され聖女として祀り上げられる。
聖典からカコカノを解放するためイマカノはカコカノが聖女なのに男への恋情慕情を抱いていることを指摘する。
これによりカコカノの解放は成功するのだが……カコカノには主人公のコピーロボットが与えられ幸せになった。
最後のオチ以外はスゲー面白かったのに、コピーロボットで安易にハッピーエンドにするってどうなん?

ガンアクションや異能バトルの燃え要素と信仰を巡る宗教・哲学要素は上手く描けていたのだが……。

イマカノとカコカノの戦い
  • 分かったフリをして主人公への想いを燻ぶらせるカコカノの登場
    • 主人公はかつて諜報員をやっており、組織人として自分の持てる力を振るい仕事に取り組んでいた。だがある時、組織からトカゲの尻尾きりに遭い、これまでの自分の人生が否定されてしまう。生きる意味を喪失した主人公は流浪の身となるが、店の再興を目指す一人の少女と出会い、彼女に人生を救われることになる(るろ剣的展開)。こうしてハッピーエンドに至った主人公はイマカノと一緒に飲食店を経営し、その他攻略ヒロイン2人は店の従業員となり家族としての関係を構築した。こうして幸せに暮らしていたのだが、続編が作られることになり新キャラとしてカコカノが用意される。カコカノは主人公が組織人時代に任務のために接触した少女であり、結果として主人公はカコカノを裏切ることになってしまったのだが、カコカノは未だ主人公を慕っていたのである。だがもう既に主人公には正妻イマカノがおり、どうにもならない。このカコカノは聖職者であったため、主人公とイマカノの関係を祝福し、自分は物わかりの良いポジションとして二人に接することになった。だが、心の底では主人公に対して恋情慕情を募らせ続けていたのである。

  • 結局の所、全てがイマカノとカコカノの相克に帰結してしまった
    • カコカノはかつて児童虐待を受けており、それを救ったのが主人公であった。だがカコカノは純真さを持つ反面、主体的意志に欠け、将来に対する不安の解消をいつも誰かに頼っていたのである。不運なことにその純真さと主体的意志の欠如が教会側に利用されてしまう結果となる。誰かに頼ろうとするカコカノに救いとしての聖典が埋め込まれ、聖典と人格と融合してしまうのである。この聖典の教義を用いてカコカノは聖女として祀り上げられ、異教徒の改宗で大きな活躍をすることになる。だが融合の果てにカコカノの本質は喪失していき、聖女は暴走していく。この問題を解決するためには、聖典とカコカノを分離しなければならない。こうしてイマカノとカコカノ舌戦が繰り広げられることになるのだが、カコカノを聖女から解放するためにイマカノが説いたのが主人公に対する愛。いくらカコカノが聖女としてアガペーを説こうとも、その根底にあるものは主人公という一人の男に対する愛だ!とイマカノが暴くことで、聖女の神聖性を引き剥がすのである。こうしてカコカノは誰かに縋っていた弱さから決別し、聖女としての暴走は止まって、ハッピーエンドとなる……。ついでに主人公は司祭やカコカノの姉と熱いバトルを繰り広げるし、前作の攻略キャラ2人は家族の絆を紡いだりしてちゃんと見せ場がある。そのためここで終わっておけば名作であったことは間違いない。

  • コピーロボットによって主人公を分裂させてカコカノに与えるエンドってどうなの?
    • 名作となったかもしれない本作であったが、最後のオチが物議を醸しだすことになる。主人公に対する愛によって問題を解決したため、イマカノとカコカノと主人公の三角関係にどうケリをつけるのかが焦点となっていた。これに対してライターが出した結論が、主人公のコピーロボットをカコカノに与えることだったのである。カコカノは聖女として暴走した後、都合の悪い部分の記憶は消去される。そして体験版で主人公と再会する前の認識に戻される。こうして「ホンモノの主人公」≠「カコカノがかつて恋心を抱いた青年」という構図が打ち立てられ、カコカノには「主人公のコピーロボット」が「カコカノがかつて恋心を抱いた青年」として与えられた。一応、プレイヤーを納得させるために、コピーロボットの是非を主人公に問う描写とかもあったけどさ……。イマカノがカコカノを聖女としての人格から解放する時に主人公への愛を説いたんだからさ……。ここはイマカノとカコカノの二人で主人公を愛するエンドで良かったのでは?と思わずにはいられないのであった。
イマカノとカコカノの差とは何か
男女間の愛に対してアガペーを唱えるカコカノ
カコカノの反駁を否定するイマカノ
カコカノが本当に欲しかったのは主人公の愛だと責めるイマカノ
主人公の愛を得られなかったから宗教に縋ったのだと指摘するカコカノ
カコカノが抱く主人公への燻ぶった恋慕を見抜くイマカノ
自分の優位な立場でマウント取っていくイマカノ
主人公が愛しているのは自分だと確信できるからこその強さ
本性をさらけ出し主人公の事を求めることを選んだカコカノ
そしてコピーロボット
コピーロボットで主人公分裂とかにしないで、イマカノとカコカノの両方を受け入れてあげてよ!

メーカー「CRYSTALiA」過去作

参考