ヴィンランド・サガ奴隷編 第8話「生きる目的を喪失した時」の感想・レビュー

トルフィンが憎悪を無くした自分はカラッポだと自己を客観視できるようになった話。
幼少の頃、父親を殺されたトルフィンはアシェラッドを憎むことで生きるための力を得た。
だがアシェラッドはトルフィンの第二の父であり死んだ後には憎悪は解消されていた。
それ故、生きる意味を失ったトルフィンは無気力となりただ生きるだけの屍と化したのである。
だがエイナルとの交流により徐々に農業を学ぶことでトルフィンは精神を回復していく。
今回はトルフィンが自分はカラッポな人間であると自己を客観視できるようになった。
それを聞いていたスヴェルケルさんは労働により一つずつできることを学べと助言する。
生きる目的を模索するトルフィンだったが、開墾して拓いた小麦畑は奉公人に荒らされてしまった。
ブチギレるエイナルを抑えようとするが煽り耐性が低いのはトルフィンの方であり喧嘩が勃発する。

生きる目的の喪失

生きる目的を喪失したトルフィンがエイナルに自分はカラッポだと語ることで自己を客観視する

いつものように悪夢にうなされるトルフィン。だがエイナルがやってきてから徐々に変化が起こっていた。それはトルフィンが自分を客観視できるようになっていたことであった。トルフィンは自分がカラッポな人間であったことをエイナルに告白していく。トルフィンが寝言でいった父上やアシェラッドというタームをエイナルが尋ねると、トルフィンは過去を語り始める。トルフィンは父親の仇討ちのためアシェラッドを殺すことだけが目的であった。だがアシェラッドはトルフィンに生きる動機を与えるため、自分を倒せるようになるまで強くするため、間接的に鍛えていたのである。まさにアシェラッドは第二の父であったのだ。トルフィンがそのことに気付いたのはアシェラッドが死んでからであり、今までの憎悪が消えたため、トルフィンはカラッポになってしまったのだと述べる。そんなトルフィンに新しい生きる目的を与えるのがスヴェルケルさんであり、トルフィンに労働によりできることを一つずつ増やしていけと助言する。屋根の修理すら知らないというトルフィンに魚捕りの網の使い方などを教えていく。大きく挫折する中で、それまでの価値観から転換が起こり、全てを喪失するというのは割と共感できる。自分の人生に意味なんてないのだ。だがそれを見出すのが生き甲斐というものなのだろうよ。無職になった時に読む本として松本零士の自殺アパートが挙げられるが、私はヴィンランド・サガ奴隷編をおススメするね。

トルフィンに労働を通して「出来る事」を教えていくスヴェルケルさん

荒らされた小麦畑

煽り耐性が低く先に手を出したのはトルフィンの方だった!

こうしてトルフィンは自分の生きる目的を模索していくのだが、ここでアクシデント。なんと開墾して拓いた小麦畑を奉公人に荒らされてしまうのである。当初トルフィンは始終エイナルを抑えるよう努力する。トルフィンは自分が奪う側の人間であったため、エイナルのようには怒れないと説得する。パテールさんに報告し、奴隷に対するいじめの経験を聞かされ、挫けるなと励まされエイナルの怒りも収まったかに見えた。だが道中で奉公人と接触するとエイナルの怒りが有頂天となる。あくまでもシラを切る奉公人に我慢できなくなるエイナル。だが煽り耐性が低いのはトルフィンの方であった!というオチ。奉公人に侮蔑の言葉を吐かれると我を忘れたトルフィンの殴打が飛んだ。これを見たエイナルは完全に吹っ切れ、自由身分の奉公人たちに対し反乱の狼煙を上げる。トルフィンはソッコーで意識を落とされてしまうのだがエイナルは激闘する。意識を失ったトルフィンは無間地獄の中でアシェラッドに出会う。

奉公人との喧嘩が勃発する!

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