【巡検】トーハクの古代メキシコ文明展に行ってきた

テオティワカン・マヤ・アステカの3つの文明に焦点をあてた展示。

トーハク古代メキシコ展
  • 高校世界史の配列と古代アメリカ文明
    • 世界史教育を受けた世代ごとに世界史の教科書における配列が異なることで有名な?古代アメリカ文明シリーズ。かつては大航海時代におけるスペイン侵略の前史として位置づけられていたが、「諸地域世界と世界の一体化」や「グローバルヒストリー」が重視されるようになってからは、古代文明の一つとして配列されることが多くなった。

  • 1階チケットもぎり~FGOコラボ~
    • まず平成館に入ると展示の前にゲームキャラクターとのコラボが待ち受けている。FGOと古代メキシコ展がコラボしているようであり型月かトーハクかどちらかの職員だが知らぬが、キャラグッズはこちらでーすと列捌きをしていた。私はFateは初期三部作まではやったが以後ついていけなくなってしまっていたので左程興味ももてず展示に向かうことにした。

  • 音声ガイドは上白石萌音さんと杉田智和さん
    • エスカレーターを上がると音声ガイドを借りることができる。旧式の子機は650円、アプリは700円。中身は旅行者の女性が古代メキシコの雨の神と小芝居を繰り広げるという内容。展示解説というよりも小芝居であるので上白石萌音さん(ナビゲーター役)と杉田智和さん(雨の神役)のファンの人向け。webサイトにはちゃんと書いてあるが、貸出場所ではそんなこと分からないので注意が必要。

  • オルメカ文明における3つの文明への影響
    • 展示はまずオルメカ文明から始まり古代メソアメリカに共通する根源を学習してからテオティワカン・マヤ・アステカと続く。オルメカ文明は世界史の教科書では丸首の石像の挿絵で有名なやつね。オルメカ文明の半獣半人の幼児像ではシャーマンキングジャガーマンを思い出したし、古代メソアメリカにおける球技の重要性は劇場版ドラえもんであったよなと想起した。

  • テオティワカン文明
    • テオティワカン文明はメキシコ高原で栄えた都市国家に関する展示が中心。高校世界史では太陽のピラミッドと月のピラミッドが出て来るかな。ここでは古代メキシコ文明における羽毛の蛇の重要性が唱えられており、音声ガイドのクイズでは、ケツァルコアトル信仰に繋がっていくと解説されていた。杉田智和さんが声を担当している嵐の神を祀った壁画もあります。口からなんか吹いてるように見える。

  • マヤ文明
    • マヤ文明は前1200年頃から後16世紀までメソメリカで栄えた。期間長くね?と思うのが第一印象。そのため王朝の交易・戦争などの外交的ネットワークを支えた権力の根源が展示の対象であった。マヤのピラミッドやマヤ暦、マヤ文字は王朝文化の世界観を体現するものだったというワケ。ここではやたらと「赤の女王のマスク」が推されていたが、個人的に印象的だったのは、チャクモール像である。腹筋しているのを途中でやめたような感じを横から見たような像。腹の部分が平たい皿になっており。そこに供物を捧げたのだという。古代メソアメリカ文明は人身供犠と関りが深く、この腹筋しているチャクモール像の腹に心臓が捧げられたこともあるのだとか。

  • アステカ文明
    • ラストはアステカ文明。14世紀から16世紀のスペインに征服されることになる文明ね。アステカ文明は何と言っても湖上都市に着目。テスココ湖の上に首都が築かれ、中央に位置するテンプロ・マヨール大神殿が宗教的な支配に使われた。展示では古代メキシコでは非常に珍しい金を用いた金製品の展示が目を引いた。また「鷲の戦士像」のインパクトは強く死を怖れず血を流すことも厭わないという戦士さが表現されていた。音声ガイドでは戦士が独白するコントを聞くことができる。スペイン征服はさらっと流され、戦争で服従させた勢力が解放をねらってスペイン人に協力したことが挙げられていた。今回の趣旨ではないのかもしれないがもう少し掘り下げて欲しかったな。

  • 延長戦
    • あと延長戦として常設展示も見に行く。平成館には特別展の他に考古展示がある。ここはホールを1周させる展示であるため、ホール形式の部屋でどう展示をするかが参考になった。通史的展示とテーマ的展示から構成されており、壁面展示を1周することで通史を把握でき、通史の背後の空間にそれぞれの時代ごとのテーマを設置していた。ホールだとエリアやゾーンを区切って導線を作るのが難しいので、壁面展示をぐるっと1周通史にするというのは参考にしたいところ。あとやはり埴輪の展示は群馬県出土のものが多く、テンションが上がった。