【感想】葬送のフリーレン 第7話「おとぎ話のようなもの」

フリーレンが亡きヒンメルの足跡を辿ることで、その思慕を意識化していていく愛劇~顕彰像編・魔族騙され編~。
A-partはインフラ整備を手伝うことで集落祭に招待され、何故過去ヒンメルが各地で銅像を作ったかを知る。
ヒンメルが魔王討伐の旅で自らを顕彰させたのは伝承されることでフリーレンを孤独にしないためにあった。
その狙いは見事にヒットし、ヒンメルの死後30年近く経ってからフリーレンはヒンメルの想いに気付く。
B-partは魔族がクローズアップされ、過去ヒンメルとの旅の中で経験した苦い思い出を振り返る。
魔族が人の言葉を使うのは全て人間を欺く為であり、それ以外には無いことが語られる。
かつてヒンメルは子どもの魔族に情が移り情けをかけたが、結局は魔族に騙されることになる。
フリーレンは魔族が人の言葉を話す魔物であると語り、魔族は容赦なくぶっ殺すのである。

A-part:フリーレン、ヒンメルが自分のために各地に勇者像を作らせていた理由を噛みしめる

シュタルク、「様付け」呼びをやめさせようとするが失敗

シュタルクが仲間になり新たな旅路へ出るフリーレン。ここではインフラ整備を通してシュタフェルが展開され、御礼として招待された集落祭でフリーレンがヒンメルへの想いを再確認する。落ち着いた雰囲気の中で静かに展開される恋愛劇がここにはある。まずインフラ整備編。道中で一行は崖崩れで通れなくなった道を補修することになる。これに対しシュタルクは馬車だけを飛ばせばよいという現実的な意見を述べる。これ以降、シュタルクが視聴者視点で現実派としてのツッコミを担うことになる。視聴者の疑問に応えるように、後から来た人が困るでしょ、シュタルクは自分勝手だね、と窘められるのである。アニメ版だとフリーレンのロリババア感の声質がとても良く表現されていて良いよね。声優ってスゲーとなる瞬間である。またここではシュタフェルが展開され、シュタルクが様付け呼びをやめさせようとするが、突如フェルンが呼び捨てでタメ口をきき始めたため傷心なシュタルクは耐え切れず、失敗に終わる。後できっと大切な時に「タメ口・呼び捨て」イベントが発生するに違いないと視聴者は期待を持った。
 

勇者ヒンメルが死んでからその足跡を辿ることで彼の想いを知り思慕を深める

次に集落祭編。インフラ整備の御礼に集落へ招待されることになるが、ちょうどお祭りが開催されている時期であった。しかもこのお祭りは勇者ヒンメル一行を顕彰するためのもの。フリーレンは自分たちの像が今でもまだ讃えられている様子を見て、過去のヒンメルの言動を思い出す。ヒンメルは各地で魔族討伐などを中心とするクエストを引き受けいたが、その報酬としては勇者像を作らせることが多かった。現役時代においては、フリーレンはヒンメルの行動を理解できなかったが、彼らが死んでからその想いに気付くという構造を取っている。死後に強まる念ではないが、フリーレンは自ら恋愛感情や生殖本能が希薄であると述べるように、ヒンメルが死んで過去の足跡を訊ねるなかで、その恋愛感情に気付いていくのである。旅路の終わりでヒンメルの死者の魂に会ったら、フリーレン恋する乙女になっちゃんじゃないか(テキトー)
 

B-part:フリーレン、狡猾な魔族と対峙し、過去にヒンメルが魔族に騙された経験を振り返る

勇者ヒンメル、幼女の魔族に情が湧き、見逃してしまう

後半は魔族という生き物について焦点が当てられる。訪問先の防護結界都市において、偶々魔族との和睦が行われようとしていた。魔族の狡猾さを知るフリーレンは初期対応として殺害を試みるが衛兵に捕まり投獄されてしまう。ここでもシュタルクが視聴者を代弁する機能を果たし、話し合いで解決できるならそれで良いではないかと疑問を提示する。これに対し、フリーレンは過去を振り返り勇者ヒンメルが魔族に騙された苦い思い出を想起する。ヒンメルは子どもの魔族を討伐した際、憐憫が湧いてしまう。ちょうど村長が子どもの魔族を引き取るとか言い出したため、ヒンメルはそれに乗り、しばらく滞在して様子見することになる。フリーレンはさっさと殺すように忠告していたのだが、ヒンメルは子どもの魔族が村に馴染んでいく様子を見てニッコリしていた。だが最終的にフリーレンの予想通り、子どもの魔族は村長を殺害するに至る。理由は実に身勝手なものであったためヒンメルはようやく騙されていることに気付く。魔族は人間の感情の脆いところを知ってそれに付け込んでいるだけに過ぎないのだ。今回の魔族の和睦の使者も同様で、弁舌をこねくりまわし領主に取り入っていく様子が描かれる。このまま都市が滅亡するかと思いきや、魔族の配下が先走りフリーレンを殺そうやってきたため、彼女はこれを返り討ちにし、脱獄の機会を得る。

フリーレンの忠告通り、魔族は人間を騙す為だけに言葉を話していたことを痛感する

フリーレン感想まとめ