【感想】葬送のフリーレン 第5話「死者の幻影」

深層心理にある大切なものや触れられたくない黒歴史などの記憶にまつわる話。
A-partはタイトルの如く、死者の幻影を餌に人を襲う魔物が登場し討伐することになる。
フェルンは養父ハイターの幻影に立ち竦み、フリーレンには勇者ヒンメルが出現する。
幸いフリーレンの中のヒンメル像はイケメン行動をする者であり構わず撃てと命じ事なきを得る。
B-partは戦士枠としてアイゼンの弟子であるシュタルクが登場する。
彼は当初こそ舐められないために尊大に振る舞っていたが魔物から逃げ出した臆病者であった。
故郷が襲われた時に一人だけ逃げ出した行為は過去アイゼンもまた経験した苦い思い出。
だからこそアイゼンはシュタルクを引き取り、自分の技を全て伝授したのである。
紅鏡竜が村を襲わないのは、シュタルクが修行を続け崖をも砕く力を持っていたからであろう。

大切なものであれ、後ろ暗いものであれ、触れられたくない過去の記憶

亡き養父の幻影により硬直するフェルン(フリーレンはヒンメルの勇者ムーブで我に返れた)

現在、黒歴史といえば教義的に元中二病患者の恥ずかしい過去を指す。しかし黒歴史は単に中二病だけでなく、他者には触れられたくない大切な過去や後ろ暗くて直視したくない過ちの過去をも指すであろう。今回はそんな黒歴史にまつわるお話で前編と後編が構成される。まず前編はタイトルにもなっている「死者の幻影」。ヒトの記憶を探り大切な死者を顕現させて、硬直しているうちに命を取られるという残忍な敵が出現する。フェルンには養父ハイターが出現。前フリで幼少期の記憶が反芻されていたこともあり、案の定動けなくなってしまう。フリーレンはドライにそれを対処しようとするが、彼女自身に対しては勇者ヒンメルが現われる。フリーレンはヒンメルが出て来るとは思っておらず、自分がどんなにヒンメルを大切に思うようになっていたかを直視することになり動揺する。だが幸運なことにフリーレンの記憶の中のヒンメルはイケメンムーブをする男であり、自分に構わず撃てといったことからフリーレンは我に返り事なきを得る。
 

紅鏡竜にヒット&アウェイを繰り返そうとしたフリーレンだがフェルンに拒否され前衛を探すことに

B-partは戦士枠としてシュタルクが登場。彼については、魔族と戦ったことが無く、故郷が魔族に襲われた際に一人だけ逃げ出したという過去を持っていた。シュタルクに向けて蔑視の視線を向けるフェルンだがフリーレンちゃんは彼の実力を評価していた。それはそうとこの蔑むようなフェルンの視線、ゾクゾクしますよね。色々な所でコラとして使われそう。情けないシュタルクの姿を見たフェルンは散々に彼をこき下ろすが、誰でも「初めて」はあるもので、自己を省みよとフリーレンに窘められる。シュタルクはフリーレンの旅仲間であったアイゼンの弟子であったが、師のアイゼンもまたシュタルクと同様に故郷が襲われた際に魔族から逃げた過去を持っていた。そのためアイゼンは思う所があり、シュタルクに全ての技を伝授したのであった。故に戦闘経験が無いだけでその実力は折り紙付き。だからこそ紅鏡竜は彼から逃げ出したのであり(作中では竜のきまぐれとされているが)、毎晩修行により崖割りをしている地響きから村を襲わないのであろう。フェルンはフリーレンに促され、シュタルクの様子を見に行くが、そこには修行に励む彼の姿があり、自分が表面的な判断しかしていなかったことを知る。

フリーレンに泣きつくシュタルクとそれを蔑むフェルン