ウォーキング・トレイル「アプトの道」(碓氷峠鉄道文化むら)

漫画版『ゆるキャン△』においてレトロ電車に興味をもった主人公なでしこが行ってみたいと述べた「碓氷峠鉄道文化むら」。ここは旧碓氷線の区間の中でも、横川駅から熊ノ平駅までの廃線跡がハイキングコースとして整備されている。ジブリ版『風立ちぬ』でも「めがね橋」が登場する。当初は鉄道文化むらの見学だけするつもりであったが、毒を食らわば皿まで。折角なので、ウォーキング・トレイルをすることにした。


碓氷峠の関所跡

碓氷峠関所跡

上毛カルタでお馴染み「うすいとうげのせきしょあと」。一時期は撤去されていたが、解体・保存されていた門を復元したもの。門が立っている場所は当時とは異なる。解説パネルを読む前は、一瞬こんな坂の上に門を立てて、往来者をチェックしていたのか?と思ってしまったが、フツー関所の門は道に立てるよなと納得した。周辺の土産物店で碓氷峠の古文書の展示が行われており、歴史が分かるように整備されている。比較的最近の施設なのか展示ケースや吊り下げレールなどは新しいが、湿度のため貼りパネの一部がボコボコ浮き出てしまっていた。東山道から中山道への移り変わりが興味深い。また近世初期には入り鉄砲と出女を厳しくチェックしていたが、19世紀に人流が増大すると調査は簡易化されていったというのが幕藩体制のゆるみを感じ取れた。あと関所突破しようとする人を捕まえると、関所の役人も怒られるため、藪入りということにし、間違って藪に入ってしまったんだねと見なして解放していたというのが近世っぽかった。
 

丸山変電所

丸山変電所

碓氷峠を越えるために日本で最初に電気機関車にしたそうなのだが、その電力を賄うために作られたのが丸山変電所。明治期のレンガ造り建物ではあるが駅などの施設ではないため装飾性は薄いけれども門などの部位には装飾が施されていることがウリなのだそうな。
 

峠の湯

峠の湯

碓氷線跡の鉄道文化むらから峠の湯までは観光客用にトロッコ列車を走らせている。休憩できる施設があるのだが、私が行った時は丁度休館しており残念。ラーメンなどの昇りが立っていたので、軽食があったのだろうが、なんか職員のオッサンが眼球鋭く近寄りがたかったためスルーして先を急ぐことにした。
 

碓氷湖

碓氷湖

峠の湯を越えるといよいよトレイルっぽくなってくる。しばらくして歩くと碓氷湖の立て札が見え、トレイルコースから少し外れると坂本ダムにより作られた湖がある。魚を釣ることもできるみたいで漁券販売に関する看板があった。
 

めがね橋

めがね橋

上述したが『風立ちぬ』でも出て来るレンガ造りの橋。トレイルコースを辿ると、眼鏡橋の上を通ることになる。じゃあ写真撮れないじゃんと思う方もおられるかもしれないが、トレイルコースは要所要所で国道18号に降りられるように階段が着いている。無論、眼鏡橋も下に降りて写真を撮ることが可能である。飛行機作りに失敗し意気消沈する風立ちぬの主人公が気分転換のために軽井沢へ行くシーンが彷彿とされる。
 

熊ノ平

旧熊ノ平駅

めがね橋を過ぎると5連続トンネルが待っており傾斜も心なしかキツイ。それを乗り越えると、あぷとの道折り返し地点である熊ノ平駅に辿り着く。この場所にあるのは慰霊碑と神社。土砂崩れで無くなった職員の方々の霊魂が偲ばれる。廃線になっても電線やレールは残っているため、人類の文明が衰退し、自然に飲み込まれて還っていくセンチメンタルさが感じられる。
 

碓氷峠鉄道文化むら

アプト式

熊ノ平到達後、復路を引き返す。トレイル修了後、折角だから鉄道文化むらも見に行かなきゃねとノリで見学。鉄道各車両の生態展示や実際の列車の模擬運転がウリ。職員の方々が車両を推しながら動かしていたのだが、周りにいた鉄オタが摩擦が少ないから手動で動かせるんだとドヤ顔を決めてくれた。利用者の大半が鉄オタであったが、ファミリー層もそれなりに見られた。コンテンツツーリズムやキャラクターIPにも力を入れているようでシンカリオンやオリジナル萌えキャラのパネルがいたるところにあった。資料室では碓氷線の歴史を学ぶことができる。日本海側と太平洋側を結ぶ交通路であったため、人海戦術を投与して多くの犠牲者を出しながら開通させた歴史が偲ばれた。アプト式蒸気機関車から電気機関車への移り変わりがあったし、粘着式への変化も勉強になった。こうして日本の近代化により発展した地域も新幹線の開通により時代の役目を終えたとのこと。峠越えの客の為に出されたことで有名になった群馬名物「峠の釜めし」ももはや越えるべき峠は無いのだが、今もなお親しまれていた。
 

鉄道の静態展示がウリ
電気機関車の運転体験
謎のオリジナル萌えキャラ群
峠の釜めし