天使のいない12月

 生きていても何も無く、死なないから生きているという主人公たちが織り成す青春群像。
どことなく実存主義を彷彿とさせます。おそらくハイデッガーの思想“死への存在”がモチーフとなっていると思う。「いつか必ず死ななければならない」という運命を引き受けた主人公達が悩み、苦しみながら這いつくばって生き辛い人生をなんとか歩んでいこうとする姿を描く。主人公は退廃的に生きている木田時紀。舞台設定は現代日本の学園。

                                                                  • -

◆栗原透子
頭が悪くてドンくさいため周囲からいつも蔑まされてきた女の子。別の居場所を求め主人公に体を売り渡した。体の繋がりしかなかったが、お互いに惹かれて行く。好きという明確な意識も無く体の関係しかない事を思いつめる主人公の衰弱っぷりをこれでもかというほど描ききった。

                                                                  • -

◆葉月真帆
主人公の友人の彼女。肉体関係を迫られたためにギクシャクした関係に。
そのことを主人公に相談しているうちに次第に仲が良くなり、主人公の友人とはもう関係修復不可能な状態になってしまう。性交なしに男女の関係は成り立つのかという視点に迫る。

                                                                  • -

◆榊しのぶ
透子の幼馴染で、彼女を世話する事を生き甲斐としていた優等生。主人公と透子の濡れ場を目撃してしまい、止めるつもりが発情してしまい主人公と関係を持つ。そのため、透子から嫌われてしまい生き甲斐を失う。生存理由を失った彼女は主人公との関係のみに生き甲斐を見出していく。優等生といわれながらも本当は中身もない空っぽな自分がいきなり支えていたものから放り出されてときの苦悩が秀逸かな。

                                                                    • -

◆麻生明日菜
共働きでほっぽかれた子供が離婚という家庭崩壊に巻き込まれ、それでも生きていかなければならないために背負った処世術。誰かに愛されたいと願いつつも結局はそれも叶わなかったが故に、自分が哀れみ愛してやる事で優越感を得ようとすることでしか生存できない。また、誰かに必要とされ甘えたいという主人公。お互いを愛するというわけでもなく、ただその役割というタイプに惹かれているだけの男女。そこに意味はあるのか・・・

                                                                      • -

須磨寺雪緒
幼い頃に亡くした愛犬の寂しさに取り付かれ、2度と哀しくならないために自分以外の存在と接する事を極端に避け続けるようになった少女。って書くと、なんか最近流行のチープな属性になってしまうけれど、そのために生きている事もどうでも良くなり主人公とともに飛び降り自殺を敢行するって・・・。結局は主人公に拠り所を見出せたため自殺に一瞬の躊躇が出来、重態でセーフ。一命を取り留めた後は、生きていようと思えるように漠然となる。



 時間潰しにはエロゲーがいい。やっている間は、辛い現実と向き合わなくてすむから。莫大な時間を潰すというのも大変なことよ。紙の媒体の本だと、どうしても目が疲れたり、飽きたりしてしまうから。
そんなわけでLeafの鬱ゲで有名な天いなをプレイ。