死生観

『星空鉄道とシロの旅』の感想・レビュー

臓器提供者となった5人の死体の霊魂が、移植先の少女に生きる意志を灯させる話。 星空鉄道とはそれ即ち少女の生命であり、機関車が止まったら少女は死ぬ。 鉄道旅行を通して少女が献体の生き様を知ることで拒絶反応を克服するというギミック。 停車する駅は…

保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手 体験版 の感想・レビュー

現世の存在ではない魂人(霊魂具現化体)を送り還す送り人(霊媒師)の話。 送り人の主人公は魂人となった姉を探すべく各地を渡り歩いている。 霊媒師といっても強制的に成仏させるのではなく霊魂本人の納得を重要視する。 それ故、魂人である筈の炉利系キャラを…

アオイトリ「メアリー√」の感想・レビュー

尊厳死やモラルジレンマをテーマとして扱うシナリオで、ご都合主義的に全てが解決する話。 メアリーは2度死のうとする。1度目は諦念によって、2度目は人生を受け容れ満足して。 そして主人公くんには、メアリーが死んだ後にもたらされる苦しみを耐え抜くこと…

ルリのかさね ルリ√感想・レビュー

ヒロインが死ぬ鬱ゲー。分岐エンドは死亡・死なない・バカエロの3種類。片岡とも先生はルリ死亡エンド担当です。 死生観を描き、人間の存在証明を示すため、ひたすら死による別離が扱われ続けていく片岡とも作品。 しかも今回は早期治療すれば治ったにも関わ…

鬼が来る。「高嶺晴子シナリオ」の感想・レビュー

不幸な家庭環境に育った姉弟話。無能系我儘お姉ちゃんに振り回される主体性無き弟の図。 基本はギャグゲー・バカゲーなノリですが両親に愛されなかったことがフラッシュバック。 結局、主人公くんは自分の身を守りたいだけで姉に追従しているにすぎないこと…

凍京NECRO「自殺志願者編(宝形イリア√)」の感想・レビュー

臥龍岡早雲が過去と向き合いイリアの死を乗り越えて生き続けるはなし。 ♰「生きてる限り希望はあるんだよ」 父親は愛する女にとらわれて死体をリビングデッドにして性行為を行っていた。 早雲もまた愛するイリアを殺されて父と同じ選択を迫られることになる…

果つることなき未来ヨリ「リアルート」の感想・レビュー

愛する男のためにメガンテして「生きているってそれだけで素晴らしい」エンド。 不老不死であったリアはメガンテしたことにより千の風になってあまねくたましいとなりました。 現世編でのイチローと同じく自らの命を犠牲にして特攻をしたのだからそこをもっ…

果つることなき未来ヨリ「メルティナルート」の感想・レビュー

テーマ性は薄い。「愛は世界を救う」的なはなし。結構お気楽なノリである。 現実から目を背け自分を受け入れられなかった少女が悩み続けて答えを出す。 †「悩みを抱え答えを出そうとすること自体が大切で考えることを止めてしまうことの方がよほど危うい」 …

サクラノ詩「ZYPRESSEN(氷川里奈)」シナリオの感想・レビュー

死に憧れる死臭漂う少女を絵画によって創り変えるおはなし。劇中劇・視点交換・擬古典などの表現技法が駆使されており紙芝居ゲーの洗練ともいえる。物語の原動力となるのは主人公くんが母の死により抱えた「滅私奉公」の思想を転向させること。そのために里…

キミへ贈る、ソラの花の感想・レビュー

御厨みくり先生の死生観シリーズ。死者と生者の交流を描いた学園モノ。 生きる事が無目的になっている主人公くんが死者との交流を通じて人生の意味を考えていく。 人間は必ず死ぬからこそ、その死を見つめながら生きねばならない。 死霊ヒロインたちが安易に…

紅い瞳に映るセカイの感想・レビュー

真紅先生ゲー第3弾。真紅先生には過酷ないつも過酷なシナリオが待っている。 相変わらず日常パートは眠くなる眠ゲーだがそれはシリアスの前段階。 今度の真紅先生にはこの業界ではありがちな記憶リセット病の試練が与えられる。 記憶リセットによる初対面無…

サツコイ〜悠久なる恋の歌〜の感想・レビュー

サツコイは異種猟奇譚。ヒトを捕食する亜人たちの生き様を描く。 瑠璃シナリオのテーマは「屈折した家族の絆」。 直シナリオは「生きづらい社会でも生き抜け!!」。 悠シナリオは「人生における主体的な意志について」。 各個別は結構短いのでサクッと読め…

恋がさくころ桜どき「グランドエンド(ティナ√)」の感想・レビュー

ティナ√は記憶を食らうことを拒否した死神が消滅へと向かうおはなし。 「誰かに覚えておいて欲しい…この気持ちが恋なんだと思います」 死者の記憶を恋と認識したティナは恋の妖精として記憶を消去することを拒みます。 「時々でいいですから、わたしのこと、…

恋がさくころ桜どき「神鳳杏」シナリオの感想・レビュー

神鳳先輩シナリオは「死神のバラッド」。 死者と向き合い続け心をすり減らす少女を救え。 神鳳先輩は数百歳を優に超えるBBAで死神「エレオノーア」を内包している二重人格。 不死と永遠の命を持つ寂しさ、異種婚、死者の未練などが描かれる。 最後は死神人格…

恋がさくころ桜どき(体験版)の感想・レビュー

死神の命と引き換えに蘇生され、代償として他者の役に立つという自縛を背負った物語。 体験版ではみんなの幸せのためには自分も幸せになる必要があると悟る所までプレイできる。 幸せの為には誰かを好きになる必要があるということで生徒会の勧誘に乗ろうと…

世界と世界の真ん中で「近江小々路」シナリオの感想・レビュー

近江小々路シナリオはホスピスに耐えきれなかった母親のはなし。 病気で死んでいく娘に向き合うことが出来ず精神崩壊してしまったママン。 そんなママンを見るのが辛くて遠ざけてしまった娘。 すれ違った二人の仲を取り持ち、安らかな死を迎えさせましょう。…

『12の月のイヴ』(体験版)の感想・レビュー

『12の月のイヴ』の体験版は幼馴染姉妹における三角関係の痴情のもつれとヒロイン殺し。 冒頭で出てくる家族崩壊少女はおそらく主人公の娘で過去改変に挑むという展開になるのでしょうか? 死んでしまったメインヒロインを引き摺ったまま別の女と子どもを…

向日葵の教会と長い夏休み 夏咲詠ルートの感想・レビュー

向日葵の教会の夏咲詠シナリオは「猫が人間になるおはなし」。 日本神話が持つ死生観を理解して未練を持つ死霊を成仏させます。 ヒロインが死ぬまでの過程が丁寧に描かれており古き良き泣きゲーを彷彿とさせました。 そしてヒロインの代替として猫が人間にな…

『僕が天使になった理由』をフルコンプしたので感想・レビュー

面白かった!!ビターエンド好きにはたまらんね、こりゃ。 最初は軽い気持ちで共通√読んでたけど、主人公の桐ノ小島が良い味出してる。 主人公が社会不適合者の信条を持っていると物語は面白くなるもんだ。 通り一面の恋ではなく、たとえ結ばれなくとも本当…

僕が天使になった理由 共通ルートの感想・レビュー

恋愛に関して否定的な主人公が、他人の6つの恋愛劇を客観的に眺めるはなし。 それらの恋愛劇は悲劇に終わるが、主人公くんが介入することで変化させることができる。 勿論、介入せずにビターエンドにすることも可能である。 この介入の仕方によって、主人公…

夏空のペルセウス「沢渡透香」シナリオの感想・レビュー

夏空のペルセウスの透香ルートは「死への存在」が扱われています。 不治の病におかされた少女と接することで、自分の存在を肯定します。 主人公くんが過去と向き合い現実と戦ったからこそ未来を得たと解釈もできます。 しかし「死生観」を描くのが本意ではな…

さくら、咲きました。消化試合回収プレイ

『さくら、咲きました。』グランドエンド後には、会長と妹さんが攻略できるようになり、その次は部長√も解放されます。 会長さんは孤独を孤高と読み替えて気高く振る舞うロンリーガールをオープンハート。 奏√は「姉に対する複雑な思い」 部長シナリオは、遺…

さくら、咲きました。解放√「さくら」「桜」シナリオの感想・レビュー

『さくら、咲きました。』でメイン3人をクリアすると、伏線回収劇場のはじまりです。 伏線回収劇場では、主に部長姉妹の過去話がメインとなります。 結局、隕石は軌道を逸れ、地球は滅亡しないことは既に分かっていたそうです。 地球脱出計画で不老不死技術…

さくら、咲きました。3周目「春野つばめルート」の感想・レビュー

『さくら、咲きました。』の春野つばめシナリオは「生きる意味」と「命の価値」がテーマ。 明るく元気な幼なじみの裏側には、引っ込み思案で泣き虫な本性がありました。 終末思想に怯えながらも、人はいずれ死ぬからこそ、今を全力で生きるんだ!! 実存主義…

さくら、咲きました。2周目「湊美羽ルート」の感想・レビュー

『さくら、咲きました。』の湊美羽シナリオは「死への憧憬」。 両親に捨てられたと思い込み厭世主義を気取る少女をオープンハート。 セカイ系を求める少女に対して現実を突きつけろ!!独我論は成り立ちません。 主人公くんの活躍で「生命の尊さ」を感じとり…

さくら、咲きました。1周目強制「烏丸都ルート」の感想・レビュー

『さくら、咲きました。』の烏丸都シナリオは「リアル宇宙船地球号」。 隕石直撃による人類滅亡の危機に対して、宇宙移民として地球をでていくまでを描く。 人間は死を考えることでまた、生きることをもまた考えられる。 男のエゴで女の未来を奪うことに苦悩…

さくら、咲きました。体験版2.0の感想・レビュー

『さくら、咲きました。』は、生存理由について考えるおはなし。 舞台設定は、老化現象を克服した近未来の世界。 突如訪れたセカイの崩壊の中でどう生きるかという終末思想系の展開です。 我らが日常生活を死なないことを前提に生きているが、それは逃避に過…

ナルキッソス3「小さなイリス」の感想・レビュー

今回のナルキは複数ライターとのことですが、片岡ともさん買いですから「小さなイリス」からプレイ開始。 「小さなイリス」は、生きるために個人主義に走らざるを得ないがココロは壊れてしまうというおはなし。 舞台は中世欧州、あとがき?でも述べているよ…

死神の接吻は別離の味 琥珀(日和)シナリオの感想・レビュー

『死神の接吻は別離の味』は日和ゲー。 愛する女の為に自分の命を爽やかに捧げて笑って死んでいこうぜ。 最後は二人で死亡し魂の解放を受け、時間巻き戻って並行世界は御都合ハッピーエンドって解釈でいいんですかね? 琥珀(日和)のキャラクター表現とフラ…

星空のメモリア 乙津夢シナリオの感想・レビュー

星空のメモリアの夢シナリオは「残酷な優しさ」。 不治の病で死亡寸前の少女が貫くのは「絶対に恋をしない」という思い。 夢の救済のためにはじめて洋は「人を頼る」という強さを示す。 友人に母に異父にメアに助けられ、夢は蘇生しメアも娘化してハッピーエ…