鍵を隠したカゴのトリ-TRIAL VERSION-の感想・レビュー

殺人犯を自称し、自ら屋敷での幽閉を受け入れた幼馴染を救う話。
幼馴染は殺人事件の犯人とされるが証拠不十分で釈放された。
その代わり私刑として幽閉されることになるが、それを自ら進んで受け入れた。
屋敷には世俗からの断絶を求めるワケアリヒロインたちが集うことになる。
一種のアジール的な空間としての「鳥籠」の中で交流を深めていく。
幼馴染が殺人犯を自称する理由を解き明かし、ヒロインたちを救済せよ!
主人公もまた二人暮らしであった祖母が痴呆症になってしまった闇を抱える。

ワケアリヒロインズ、アジール的空間としての幽閉場所に救いを求める。

設定

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  • 世俗との断絶の中で
    • 本作の目的は、殺人犯を自称し自ら屋敷に幽閉される幼馴染を救済することです。なぜ幼馴染が頑なに殺人犯と言い張るのかを解き明かすミステリーAVG。キャラ設定としては少女救済モノにありがちなように全ヒロインがワケアリとして問題を抱えています。それゆえ、世俗との断絶を求めて幼馴染が幽閉されている屋敷に集まってくるのです。彼女等はこの事件にそれぞれ何らかの関係があり、幼馴染を救うためにはヒロインズも救う必要があるという寸法です。恐らくメインヒロインの幼馴染がグランド√になるのではないかと予想されます。一強ヒロインだしね。

 
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  • 主人公が抱える痴呆症の祖母との問題
    • 主人公はメインヒロイン透子の幼馴染。透子に家庭問題を救われた過去を持つ。主人公の母親は厳格な家庭に育ったものの妊娠してしまい、家出して主人公を生みました。しかし凄惨な母子家庭生活により主人公を虐待するようになります。主人公の祖母を探し出し、一緒に住むように手配してくれたのが透子であり、主人公は一生返せない恩義を感じています。そのため透子のためなら火の中水の中。現在は自分に愛情をかけて育ててくれた祖母が痴呆症になってしまった問題を抱えています。半年間で一気にボケが進んでしまい、その間何もできなかった無力感。施設に入ることになるため介護問題が解決されることに対する解放感と罪悪感。祖母は娘が家出したことに苦しんでおりその象徴である主人公を育てなければならなかったことが重荷となってしまったのではないかという自罰意識。そのような感情に苛まれながら透子の救済に挑むことになります。

 
 

体験版で出揃っている情報を備忘録程度に整理しておきます。

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  • 孔雀石透子
    • メインヒロインは孔雀石透子。物語に目的を与える役割であり、そもそも透子が自分が殺人犯であると自称していることからシナリオが始まっています。性格としてはクールで賢く頭が回るという設定で、人間嫌いであるものの心を許した相手には情が深いです。そのきっかけはっ両親との死別と遺産相続問題。資産家の娘であった透子には金に目が眩んだ親戚の魔の手が伸びるのですが、弁護士に相談して相続問題を解決し、財産を寄付したうえでその施設に入居するという行動力も持ちます。そんな命の大切さと人間のあくどさを知る透子だからこそ、主人公は殺人犯の犯人ではないと信じており、彼女を救おうと努力していくのです。
  • 青葉梟みおん
    • みおんは学園でイジメを受けた経験があり、それを救ってくれたのが透子。以来、みおんは同世代の人間を拒絶するようになってしまい、透子がいればそれで良いと透子べったりになります。殺人事件により透子が学校に通えなくなると孤立してしまうのですが、幽閉の事実を知ると透子の為に立ち上がり、主人公たちと屋敷に同居することになります。体験版の時点では事件の真相とはあまり関係が無く同居人たちとの交流を通して徐々に自立していく姿が描かれていきます。しかし透子を人一倍思っているのがみおんであり、何としても事件の真相を暴いて透子を解放しようと主人公と共に捜査に挑んでいきます。
  • 燕沢夜
    • 学校では主人公たちのクラスの学級委員を務めており人望も厚い少女です。しかし母子家庭のうえ毒親であるので奨学金がないと学校に通えなくなるため、良い子ちゃんを演じているというヒロインでもあります。事件関係においては被害者の男性が母親の交際相手であり、しかもその男性はあまりよろしくない人物であったとのこと。そのため夜は透子が殺人を犯してしまったのは、何らかの事情があるのではないかと推測しています。屋敷には毒親である母から逃れるために同居を志願し、主に家事炊事を担当します。一見すると透子とは逆ベクトルで完璧超人のように見えますが、その一方でソシャゲ廃人であるというキャラづけがなされています。幼少期にゲームを買ってもらえなかったことの反動でスマホゲーに嵌るようになり、今では無課金を貫きながらも(無課金だからこそ)常にスマホを手放せない中毒者となっています。入っているアプリは殆どソシャゲで学習用英単語アプリも入れられないほど!フラグ成立後の夜伽描写も主人公を無視してソシャゲに夢中になる中でのプレイとなります。
  • 瑞葉伊鶴
    • 妾腹の子であり、父親とは折り合いが悪く、母親からは捨てられたという過去を持つ少女。金はあるものの生きる目的を失っており無気力状態。学校もサボりがちで、卒業できればそれでよいと思っており、人生を投げてしまっています。透子の事件を聞いて屋敷にやってきて同居するのですが、その理由は透子の身代わりとして真犯人に成り代わろうとするもの。母が出て行ったときに自分だけ連れて行ってもらえなかったことが禍根となっており、社長の娘である自分が真犯人となれば一矢報いることができるのではないかという思考に陥ってしまっています。それにしても、主人公・夜・伊鶴と主要人物5人のうち3人が母親との関係を拗らせているというのもスゲーな。

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