CLANNAD 第18回「逆転の秘策」 の感想・レビュー

今回は作品の分岐点にとって重要なおはなし。それすなわち、渚ルートの固定化が行われたということ。
椋の占いトークの時の選択肢分岐による並行世界のたとえが象徴的。おそらく作品的に今回のお話がセーブポイントになり、渚DEAD ENDを迎えた後に今回に戻って来て藤林姉妹と智代の光の玉を回収するのだろう。
今回で抑えておきたいポイントはこの「渚ルート固定化」と「智代による家族の役割」について。


渚ルート固定化


各々のヒロインの朋也に対する好感度がマックスな状態。だが朋也のココロは渚のことばかり。3日も会っていないと悶々としちゃうの。大切なことは「選択」すること。ことみ、杏、椋、智代のフラグを如何に爽やかに折るかが脚本の見せ所。脚本さんがとった手法は、「朋也が渚に惚れているとしか思えない描写を入れまくることによって、その他のヒロインたちが淡い恋心を諦める」といったもの。具体的には、「渚に微笑む朋也の笑顔は渚以外のヒロインには絶対に見せないようなもの」であること。最終的な決め手は「渚がテニスの流れ弾にヒットした時の朋也の心配っぷり」が該当すると言えようぞ。ある意味、自主的にフラグを折ったのだから残酷とも思えなくも無いが、気持ちを伝えずに青春が終わってしまうことも有り勝ちなこと。ただ杏なんて朋也を慕いすぎて、汐が幼稚園に入っても独り身で毎晩朋也を想って下着を濡らしているんだぜ?



そして上記にも記したが、選択分岐の話を入れたことで「たら・れば・もしも」のif的並行世界をにおわせたことに着目しないといけないだろう。クラナドという作品の本質として渚死亡後の「朋也父子家庭生活〜不条理編〜」が入らないことにはどうしても薄っぺらいものになってしまうので、渚の病気発動は必須条件だろう。その一方で、各ヒロインの光の玉がないと渚DEAD END回避は不可能。このジレンマ状況をアニメという映像で再現しなければならないとなれば、「時間巻き戻し」か「夢落ちループ」を使うことぐらいしか思いつかない。ここで「幻想世界」をどのように絡めてくるか期待が止まらない。一体脚本さん(構成さんか?)はどんな内容を視聴者の眼前に示してくれるのだろうか?

家族の役割について


智代シナリオの根幹となるのが「家族の象徴」なの。崩壊していた家族が弟の自己犠牲により再び一つにまとまった。その象徴としての桜並木を守りたいという智代の信念。智代曰く、家族とは「安心できる場所・ココロを許せる空間」というわけだが、朋也にとってそれはある意味残酷なの。智代の場合、既に家族関係の問題は解決しており、家族に対する認識が「大切なもの」となっている。だがその一方で朋也は未だ家族問題が解決していないのでどうしても父親に対するわだかまりを解くことはできない。そんな朋也に「家族の大切さ」を垂れることほど酷なことはないでしょう。



「どんなに崩壊してしまっていても心のどこかで繋がっている」というどこまでも性善説なKeyのコンセプトを朋也に示したのが、アニメ版における智代の役割だったと考えられるよね?家族の機能は何も本当の家族でなくてもよくて、トゥルー家族とか仲間でも良いっていうのが救いのポイント。前者によって朋也が古河家の一員として迎えられる余地を生み出し、後者ではリトルバスターズ!の仲間意識に繋がっていくと推測できるの。Keyお家芸の「安心できる場所・ココロを許せる空間」の提供が「家族」(クラナド)として発動するのか「仲間」(リトバス)として発動するのかが変わっただけなの。